「ZOZOって会社、テレビでよく取り上げられているけど、何がすごいの?」
「ZOZOTOWNって働く先としてはどうなんだろう?」
アパレルECモール「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZO(スタートトゥデイからZOZOに社名が変更しました)にあこがれて、就職を考えている人も多いと思います。ですから、就職や転職を考えている方は、ZOZOの強みを事前に理解しておくべきです。
本日はインターファクトリーで、シニアアドバイザーを担当する筆者が、ZOZOTOWNの5つの強みについて詳しく解説いたします。
国内上位の売上高を誇るZOZOTOWNの業績は右肩上がり
まずは、ZOZOTOWNの売上について見てみましょう。下記は、株式会社ZOZOの業績推移を示したグラフですが、売上高、利益ともに右肩上がりとなっており、2021年3月期は、コロナ禍のECシフトによる需要促進のため大きく伸長していますが、それ以降も反動なく堅調に推移しています。
◆株式会社ZOZOの売上高と当期利益推移
決算期 | 売上高(百万円) | 当期利益(百万円) |
2019年3月期 | 118,405 | 15,985 |
2020年3月期 | 125,517 | 18,804 |
2021年3月期 | 147,402 | 30,932 |
2022年3月期 | 166,199 | 34,492 |
2023年3月期 | 183,423 | 39,526 |
2024年3月期 | 197,016 | 44,341 |
データ引用:株式会社ZOZO 過去決算資料より筆者にてグラフ作成
EC業界全体においても常に上位企業のポジションに位置しており、2022年度のEC売上高ランキングでは、1位:Amazon、2位:ヨドバシに次ぐ売上高を誇っています。
◆2022年度 ネット販売実施企業売上高ランキング(一部のみ掲載)
引用:【EC売上ランキング2023年版】1位アマゾン、2位ヨドバシ、3位ZOZO、4位ヤマダHD、5位ビックカメラ、6位ユニクロ(ネットショップ担当者フォーラム)
このように、2024年7月現在、ZOZOTOWNは名実ともに国内トップのアパレルECモールであり、運営会社も業績好調のため、就職先としては申し分のない優良企業であると言えます。
それでは、ZOZOTOWNの強みについて詳しく解説してまいります。
強み① ZOZOTOWNの最大の強みは、ささげ業務、集客、出品、梱包&発送、サポート対応まで、全てを一貫して行うこと!
まず、ZOZOへの入社を考えるのなら、ZOZOTOWNの強みをしっかり理解しておくべきです。ZOZOTOWNの最大の強みは、ECサイトに必要な下記の工程を全て自社で行っていることです。
① ささげ業務(撮影、採寸、原稿)
② 集客(コーディネートアプリのWEAR)
③ 出品(EC商品ページ)
④ 梱包&発送(ZOZOBASE)
⑤ サポート対応
例えば楽天市場では、上記工程を基本的に出品者が担当しますが、ZOZOTOWNは全てを一括で受託します。そのため、全体のコントロールを自社で行うことができ、大きな物流倉庫などの拠点は作るのは非常に大変ですが、一度作ってしまえば、取扱い量をどんどん増えてやすことができ、スケールさせやすいのです。
強み② サイズ選択はアパレルEC最大の弱点だが、ZOZOは独自のバーチャル試着サービスを提案!
アパレルECは、ZOZOTOWN以外にも無数にあります。有名どころだと、ユニクロやNIKEにもECサイトがあります。これらのアパレルECには、共通する大きな悩み(弱点)があります。それがサイズ感です。
実店舗だと、服を実際に着て、サイズ感を試すことができます。しかし、ECサイトは、実際に試着することができないので、サイズ感がわからないという大きなデメリットがあります。そのため、アパレルECではサイズを細かく表記したり、サイズが合わなければ、無料で返品できるサービスを行っています。
ご存じの方も多いと思いますが、かつてZOZOTOWNではZOZOスーツというバーチャル試着サービスを提供しておりました。(現在は一旦サービス終了)
ZOZOスーツを着て、スマホにアプリを入れて、そのアプリで身体を360度撮影することで、自分の体を正確に採寸することができ、ZOZOTOWNで服を買う際に、ジャストサイズの服を買うことができるという、アパレルECの課題を見事に克服したサービスでした。
しかも、このZOZOスーツは、発表当初は無料(送料は200円)で配布しており、2018年9月には約100万枚配布しました。無料で配った意図は何だったのでしょうか?
その理由はカンタンで、ZOZOで一度でも採寸してしまえば、ユーザーもECサイトで服を選ぶときは、真っ先にZOZOを選ぶようになるでしょう。そういったユーザーがどんどん増えると、必然的にZOZO以外にECサイトでは服が売れなくなります。
そうなると、他のアパレルは、自社のアパレルECよりも、ますますZOZOへの出店を強化していくようになるでしょう。
現在は、一旦サービスは終了しましたが、今後は「ZOZOスーツ2」のサービス展開を予定しております。また同じようなサービスとして、足の採寸ができる「ZOZOMAT」や、メガネタイプの計測ツール「ZOZOGLASS」など、多様な試着サービスを提供しております。
強み③ ECサイトは集客が難しいが、ZOZOには1,600万ダウンロードのコーディネートアプリ「WEAR」がある!
ECサイト(アパレルECを含む)のデメリットの一つは集客が難しい点です。ユニクロや、NIKEのような有名アパレルECならば、ブランド力があり、自然にECサイトにもアクセス数が集まりますから、苦労しません。ZOZOTOWNにも、すでに強力なブランド力がありますが、それに加えて、コーディネートアプリのWEARがあります。
◆ZOZOが運営するコーディネートアプリの「WEAR」
このアプリがあれば、最新の服のコーディネートや、アイテムを検索して、自分の好きな服や靴のコーディネートを探すことができますし、自分の服のコーディネートを投稿することもできます。
このWEARの中には、「ウェアリスタ」と呼ばれるカリスマ的な存在のユーザーが多数おり、その方のコーディネートを参考にするだけでなく、ZOZOTOWNで連携することで、その服がそのまま購入することができます。
話を戻しますが、このようなファッション好きにはたまらないアプリが世界で1,600万ダウンロードもされています。ここからの集客は質(服を買う見込客)も高く、ZOZOTOWNは集客に困っておりません。
これが、他のECサイトですと、自社アパレルECに集客するために、莫大な広告費を使いますが、それでも集客が思うようにいかない企業がほとんどなのです。
ちなみに、ユニクロでも似た手法をとっており、ユニクロとGUが共同開発した「StyleHint」というアプリは、WEARのようにユーザーやインフルエンサーが投稿したコーディネート画像から、直接ユニクロの商品ページに遷移し、商品を購入できるようになっております。
◆ユニクロのファッションSNSアプリ「StyleHint」
今後は大手企業を筆頭に、このような自社のマーケティングにつながる、ユーザー参加型のアプリやサービスが増えてくることが考えられます。
強み④ 在庫リスクはZOZOでなくメーカーが負う!
通常のアパレル事業者であれば、洋服の在庫リスクは頭の痛い問題です。コストをかけて作った商品の在庫は資金とも言えますが、お金の資金と違ってアパレルの在庫は、シーズン中に売ることができなければ、価値がどんどん下がりますし、またお金のように自由自在に動かせません。
服の在庫はスペースも取るので、スペースを確保するにもコストがかかります。
このような在庫過多を恐れて、在庫を持たないように、小ロット生産だけをしていると、売上を最大化することができないのです。こういったリスクを在庫リスクといいます。
しかし、ZOZOTOWNでは、直接は在庫を持たず、在庫リスクを持つのはZOZOTOWNに出店しているメーカーです。ZOZOTOWNは、ZOZOBASEと呼ばれる習志野の倉庫で集中管理しており、多くのメーカーの在庫の保管を担っています。
このため、在庫の保管はしますが、在庫リスクをZOZOTOWNは持たないで良いのです。さらにZOZOBASEは、新たな物流拠点として2023年8月にZOZOBASEつくば3の稼働を開始しました。
強み⑤ 徹底的にチューニングされたZOZOTOWNのECサイト
何気なく使っているZOZOTOWNのECサイトは、ユーザーからたくさんの服の注文がされるように徹底的に画面がチューニングされています。例えば、ZOZOTOWNのTOP画面には、常に目立つところにクーポン券が表示(下記の赤い四角)されております。
「そんなの当たり前じゃないか?」と思われますが、ZOZOTOWNのターゲット層は若いユーザーが多く、若いユーザーは、クレジットカード保有率が低いため、なるべく安く買える仕組みは、注文件数に強く影響を与えます。
また、ZOZOTOWNで初めて購入する方が、注文方法などで手間取らないように、クレジットカード番号の入力で戸惑っていると、サポートのチャット画面が出てきます。
なぜなら、ZOZOTOWNの初めての買い物で、失敗(クレジットカード番号を入れたら、エラーになったなど)をすると、その人は二度とZOZOTOWNで買い物をしてくれません。逆に買い物を成功していれば、リピーターになってくれます。何百万人が使うZOZOのサイトでは、この小さな違いが、売上に大きな影響を与えるのです。
このような仕組みとともに、上の画像内にもあるように、新規会員登録限定クーポンにより「初回購入は絶対に成功させる!」という強い意志が働いており、 ZOZOTOWNのいたるところに、ユーザーが快適に買い物できる工夫がなされているのです。このようなECサイトの改善については、私の書いた下記の記事をご覧ください。
ZOZOTOWNの強みのまとめ
以上、5つのZOZOTOWNの強みをまとめました。
しかし、本当の強みは、社長や社員達の事業に対する思いです。私は、打ち合わせで、ZOZOの関連会社に行ったことがありますが、社員一人ひとりが、自社のサービスに対する思いは非常に強いものがあります。こういった社員たちの力が、ZOZOの本当の強みではないでしょうか。
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