EC業界に転職する前に知るべきEC業界特有の5つのポイント

Cropped shot of a group of unidentifiable businesspeople standing in line while waiting to be interviewed

「そもそも、EC業界ってWEB業界と何が違うの?」
「インターネット広告の営業から、EC事業者に転職しようかな?」

EC業界への転職を考えていたり、これからEC事業部への異動がある方にとって、「EC業界ってどんな、業界かな?」と思われるのではないでしょうか?

EC業界とはWEB業界に属するインターネット上の電子商取引のことですが、WEB業界の中でもECにはEC業界ならではの知識や経験が必要になる分野です。具体的には、ECのシステムについて知見や、EC特有の広告戦略などがあげられます。

しかし、心配はいりません。この記事を書いている筆者も38歳からEC業界に入ったのですが、すぐにEC業界のことが理解できました。なぜなら、ECは皆さんが普段からAmaoznや楽天市場を利用しており、すでに既知(すでに知っている)の部分も多いからです。

本日はインターファクトリーでマーケティングを担当する筆者が、EC業界について詳しく解説いたします。

EC業界特有の5つのポイントとは?

それでは、WEB業界の中でも、EC業界特有の5つのポイントを解説いたします。

ポイント①商品登録業務
ポイント②ECシステムの知識
ポイント③EC特有のWEB広告戦略
ポイント④バックエンド作業
ポイント⑤オムニチャネル施策

ポイント①商品登録業務

例えば、税理士や英会話スクールなどの企業のサービスサイトであれば、1度ページを作ってしまえば、WEBの更新業務はさほど多いものではありません。こういったサイトはキャンペーン用のページやリスティング広告用のランディングページ作成を通常行っていますが、更新頻度は多くても週に1度あるいは月に1度くらいでしょう。

しかし、ECサイトでは新商品の入荷は、即ECサイトへの商品登録業務を意味するため、ECサイトの更新頻度は高くなります。そして商品登録には写真が必要です。写真撮影はスタジオで行い、商品の上下左右は写真はもちろん、商品を魅力的に見せることに注意を払って、写真撮影を行います。

特にアパレルは、ECサイトでは実際に試着ができないためにサイズ感がわかりずらく、モデルが服を着て、サイズ感やコーディネートがわかるように工夫を重ねます。また「ECサイトではモデルではなく衣服が主役」のため、モデルは顔が目立たないように下を向いて写真を撮るなど独自の工夫を重ねます。

更新頻度の高い大規模ECサイトでは、こういった写真撮影や登録業務を毎日行います。そのため、商品を魅力的に見せつつも、業務の効率化も検討する必要があります。

しかし、単品ECと呼ばれる一つの商品しか扱わないECサイトもあり、そのようなECサイトでは更新頻度は多くはありません。主に青汁やサプリメントなどを定期購入で販売しているECサイトのことです。

ポイント②ECシステムの知識

EC以外の企業のWEB担当者であれば、問われるシステムの知識は

・CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
・MA(マーケティング・オートメーション)
・メールマガジンの配信システム
・タグマネージャーなどタグ管理システム

といったところですが、EC担当者はこれに加えて、ECシステムの知識が必要になってきます。ECシステムの知識とは、具体的には以下のような観点の知識です。

・ECシステムで独自のデザインが可能かどうか?
・ECシステムの商品登録数
・繁忙時期に注文止めないためのECトラフィック制御
・業務効率化のための社内システムとの連携
・実店舗と会員データやポイントデータの一元化
・決済システムの導入
・WEB接客ツールの導入

つまり、ECシステムには、安くてすぐ使えるASP-ECと呼ばれるものから、ゼロからつくるフルスクラッチまで、様々な手段があり、どのECシステムを検討するかは、サイト年商で決まります。年商1億円を超えるシステムになると、ASP-ECでは、バックエンド作業が対応できなくなるため、システム連携を検討し、業務効率化をしなくてはなりません。ECサイトの構築方法は5つあり、それぞれの手法は下記の記事で紹介しております。

過去記事:EC初心者がECサイトを0から構築するための5つの手法を解説!

また、実店舗を持つECサイトならリピート施策を最大化し、売上を高めるためにECと実店舗の会員データとポイントデータを一元化して、オムニチャネル施策を進めます。こういった施策には、社内システムの知識とともに、高いITリテラシーが必要になります。

EC担当者は、プログラム開発などコーディングができる経験は必要ありませんが、これらを会議や業者との打ち合わせで不自由なく、理解できる知識は必要です。また、WEB接客ツールやブログシステムを利用するにしても、特に新人はツールのサーバーがどこにあるのか?など全体像やシステム構成を把握しながら進めていくことが自己の成長のための欠かせません。

ポイント③EC特有のWEB広告戦略

ECサイトと、EC以外のWEBの広告戦略は大きく異なります。例えば英会話スクールや税理士などの数万円~数十万円する高額サービスでWEB広告を行う場合は、最も効率良く顧客を獲得できるリスティング広告を行うのがWEBマーケティングの基本となります。

1件あたりのリスティング広告による顧客獲得単価は、業界や企業の知名度によって大きく違いますが、私の経験ですと1件あたり3,000円~1万円程度の広告費を使うと顧客を獲得することができます。

しかし、ECサイトの場合は獲得効率の高いリスティング広告を実施することができません。なぜならECサイトは、1商品あたりの売値は1万円以下の場合が多く、そこから仕入れ値や原価や人件費、システム利用料を引くと、利益はわずかで、広告を打ち出す余裕はありません。

しかも、リスティング広告の1クリックあたりの費用は50~500円もかかり、しかも1クリックでCVするわけなく、CVするには50~200回のクリックが必要になるため、そうすると1商品が売れるために安く見積もっても2,000円以上は必要になるため、採算がとれません。

例えば「子供用プール」など検索しても、下記のように表示されるは大手企業や楽天市場などのショッピング広告だけです。

もちろんECサイトには、単価の高い商品(化粧品や健康食品)が存在するため、全てのECサイトがリスティング広告やショッピング広告を出稿できないわけではありませんが、多くの小売業のECサイトにおいては、費用対効果が悪いため、リスティング広告やショッピング広告のために費用を捻出できないのです。

つまり、費用を捻出できる大手企業でないとWEB広告を出稿することができません。このためECサイトのWEBマーケティングは、EC以外のサービスサイトを運営するWEBマーケティングより難易度は高く、広告費のかからない、自社で行うSEO施策やSNS施策で、競合他社との違いを出すなどの集客が非常に重要になるのです。

そして、競合他社の違いを明確にして、自分達の強みを明確に世界観として打ち出していくことが、売上にも結び付く大切なこととなります。なぜなら、違いがなければ、Amaoznや楽天市場でユーザーは購入することになり、あなたのECサイトで買う理由を与えなくてはならないからです。

ポイント④バックエンド作業

ECサイト特有の仕事にバックエンド作業があります。ECサイトで注文が発生した場合、以下の作業をしなくてはなりません。

・受発注処理
・倉庫からのピッキング作業
・梱包作業
・発送作業

ECサイトが、電子書籍やゲームソフトである場合は、オンライン上で全て完結しますが、商品が存在する小売業のECサイトの場合は、商品をユーザーに届けるためにバックエンド作業が発生します。月間受注件数が100件を超えると、バックエンド作業の自動化やECサイトと物流や配送システムとの連携が必要になってきます。

もちろん、ECサイト以外でもバックエンド作業は存在します。例えば仮想通貨の取引所であれば、バックエンド作業は、本人確認作業を行ったり、必要書類の発送作業がありますし、英会話スクールの無料体験レッスンでは、問い合わせに対して、教師やカウンセラーをアサインして、来校者との日程調整を行います。

どんな業種でもバックエンド作業は存在しますが、ECサイトには、ユーザーに商品を届けるという特有のバックエンド作業が存在するのです。そのためバックエンド作業をどのように効率化するか?あるいはECシステムの乗り換えが必要なのか?といったことまで考える必要がるのです。

ポイント⑤オムニチャネル施策

大手企業が顧客満足度をあげて、リピーターを増やすための施策として、オムニチャネル施策があります。オムニチャネル施策とは、ECと実店舗の会員データやポイントデータなどを全て統合し、会員のユーザーは、実店舗でも、ECサイトでも、電話でも全てのチャネルで購入、配達、返品を自由に行うことができます。

特にアパレル企業では、高いシステム投資を行いオムニチャネル施策を行うことで、高い成長率をあげており、オムニチャネルを実施している企業と、そうではない企業では、業界の勝ち負けの明暗がはっきりしております。

例えば、オムニチャネルを進めている企業のユニクロでは、ECだけの利用者、店舗だけの利用者よりも、ECと店舗の双方を利用する人が最も購入金額や購入回数が高いというデータがあります。

◆ユニクロ(国内)の購入チャネル別の平均購入単価と平均購入回数(年間、2019年8月期報告)

ユニクロのユニファイドコマース購入金額や回数

引用:2019年8月期 期末決算説明会資料「ECを本業に。」(株式会社ファーストリテイリング)より筆者作成

このような結果からも、ユーザーの利便性がたかまり、店舗やECを問わずに利用率が高まるオムニチャネル施策は、店舗を持つ大手事業者には絶対にとりいれるべき施策なのです。しかし、大手であればオムニチャネルのシステム投資は最低でも1億円以上の投資となりますし、またシステム構築まで1年以上もかかるので、会社全体でオムニチャネルを追い求める覚悟が問われるのです、

EC業界のまとめ

これからEC担当者になる方向けにEC業界特有の5つのポイントについて解説いたしました。要約するとECサイトの成功は下記の3点にかかっています。

✔WEB集客を確立する
✔独自の世界観(ブランド)を演出する
✔バックエンド作業を効率化することを検討する

これからECサイトを運営する方は、WEBマーケティングを確立し、ECサイトへの集客を実現して、注文件数が月間100件を超えるようになれば、システム連携を検討しましょう。

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