近年アパレルECサイトの市場規模が増加しています。
アパレルの一つである古着を扱う事業者がECサイトを始める場合、どのように運営すべきか分からない事業者も多いのではないでしょうか?
実際に古着ECサイトで成功している事例では、InstagramなどのSNSをうまく活用しています。
なぜなら、古着好きのユーザーは情報収集や自身の投稿のためにInstagramなどを利用しており、事業者がSNSを活用することで集客がしやすくなるからです。
今回は、インターファクトリーでマーケティング部署に所属する筆者が、ECサイトにて古着商品の販売を行う上で効果的な集客のポイント3つを、上記のようなSNSの活用方法や成功事例を用いて解説いたします。
古着ECサイトで効果的に集客を行うポイント3つとは?
SNSを用いて古着ECサイトの運営を行っている株式会社yutoriの事例を通して、古着ECサイトで集客を行うための3つのポイントを解説します。
もともと株式会社yutoriはInstagramで古着のリポストをメインとしていたのですが、現在はフォロワー総数が70万人近くにまで増加し、実店舗とは別にECサイトをいくつか立ち上げるようになりました。
株式会社yutoriの詳細は以下の通りです。
〈株式会社yutori 詳細〉
〇会社名:株式会社yutori 〇Instagramフォロワー総数:約70万人(2021年11月4日現在) 〇展開しているECサイト |
特に、Instagramで運営している「古着女子」のアカウントは、フォロワーが約27万人います。
その人気ぶりからインフルエンサーによるフリーマーケットの開催や、古着のトレンドを発信する書籍を出版するなど、幅広く活動をしています。
ここからは、株式会社yutoriが古着ECサイトでの集客を成功させたポイント3つをご紹介します。
ポイント1 ブランドごとにECサイトの世界観を確立する
古着ECサイトを運用する場合は、ブランドごとにどのような世界観のECサイトにするのかを決めることがポイントです。
なぜなら、ECサイトの世界観を確立させることで、その世界観に興味を持つ日本中の古着好きがフォローしてくれるようになるからです。
株式会社yutoriは下記の3つのECサイトのブランドがありますが、それぞれコンセプトを明確に分けて運営をしています。
9090 | ストリート系。90年代のファッション。デザインはポップだが、メッセージにトゲのある商品を多く販売 |
spoon | 古着や喫茶店、バンド好きで下北沢にいそうな女の子・男の子をイメージして展開。ほっこりさとエモさのある商品を販売 |
centimeter | ストリート系。「BACK TO THE CHILDHOOD」をコンセプトに、オリジナルキャラクターのルーラー君を用いてアパレルやアクセサリーを販売 |
このように、それぞれのブランドで世界観を分け、各ブランドのECサイトでターゲットを絞り込むことで、多くのユーザーを獲得しやすくしています。
ポイント2 Instagramの3つの機能を使って集客を行う
ECサイトでアパレル商品を販売する場合、SNSの利用、特に、Instagramの活用は行った方が良いでしょう。Instagramを使った効果的な集客方法について3つ紹介します。
2-1 ユーザーのニーズに合わせた投稿
Instagramに投稿する際は、ただ投稿するだけではなく、ターゲットとしているユーザーのニーズに合わせた内容を投稿することがおすすめです。
なぜなら、ユーザーのためになる情報提供ではない場合、「またこのアカウントを見てみたい、参考にしたい」と強い共感を得られないからです。
例として、株式会社yutoriが運営するアカウント「古着女子」について紹介します。
◆古着女子のInstagramアカウント
「古着女子」が行っているアカウント運用の特徴は以下が挙げられます。
・一般人のコーディネートのリポスト ・ユーザーを引きつける投稿タイトルや文言 ・古着以外の投稿(ヘアアレンジやカフェの紹介) |
「古着女子」は、もともと行っていた一般人のコーディネートのリポストだけではなく、投稿タイトルでの引きつけ、ファッションの他にもヘアアレンジやカフェなどの紹介を行っています。
タイトルを設置する際は、「フルジョが着こなすメンズライクコーデ」「思わず目を引く配色コーデ」「お洒落さんの素敵ワンピース」のように、タイトルの文言や、手書きのような字体でユーザーの興味を持たせ、フォロワー増加を狙いましょう。
「古着女子」では、コーディネートの紹介だけではなくヘアアレンジやカフェの紹介も行い、フォロワーに刺さるような内容の投稿で統一し、フォロワーを増やしています。
2-2 ストーリーズを活用しアカウントへ誘導する
Instagramでアカウントを運用する際は、投稿だけではなく、24時間で投稿が消えるストーリーズ機能も活用してユーザーをアカウントへ誘導することがポイントです。
なぜなら、日本国内でInstagramのアカウントを持っているユーザーの70%がストーリーズ機能を利用しているというデータもあり、よく閲覧されるストーリーズも使うことで運用しているアカウントに誘導でき、それがECサイトへの誘導にもつながるからです。
先ほど紹介した「centimeter」のストーリーズの活用例を挙げると、
このように、centimeterの公式Instagramでは、投稿した内容やユーザーが投稿したストーリーズを公式アカウントのストーリーズにも投稿することで、ユーザーの目に留まるようにしています。
2-3 ライブ配信でユーザーのニーズを知る
ライブ配信をする際は、ライブ中にユーザーの質問やコメントを積極的に取り入れたほうが良いでしょう。
ライブ配信は、ユーザーと直接コミュニケーションが取ることができるツールのため、ユーザーのニーズをダイレクトに知ることができ、今後の販売方針に生かしやすくなるからです。
フォロワー約27万人の「古着女子」はライブ配信を通じて、古着のコーディネートに関する相談から恋愛相談までを「古着女子」のスタッフが答える企画を行っています。
また、「centimenter」も「本日21時販売開始アイテム紹介」のようなタイトルでライブ配信を行い、ユーザーの質問やコメントに答えながら新商品を紹介しています。
このように、ライブ配信でInstagramのユーザーと距離を縮め、ユーザーの意見を反映させることでリピーターを増やしたり、販売側としてもターゲットとしているユーザーのニーズや流行を知ったりすることができるので、ぜひ使ってみてください。
ポイント3 人気TikToker、YouTuberとのコラボレーションでブランドのファンを増やす
ECサイトを運営する際に10代や20代をターゲットにしたい場合は、人気のTikTokerやYouTuberをモデルに起用し、コラボレーションすることもおすすめです。
なぜなら、ターゲットとしているユーザー層に、人気の有名人とコラボレーションした商品をアピールすることで、商品やブランドの知名度向上につながるからです。
特に、近年テレビ離れといわれている中、10代や20代を中心に人気になっているのがTikTokやYouTubeです。
「9090」を例に見ると、多くのTikTokerやYouTuberをモデルに起用していることが分かります。
〈有名モデルの例※2021年11月4日現在〉
・コムドットゆうた(TikTokフォロワー48万人、YouTube登録者262万人) |
また、モデル起用だけではなく、上記にあげたYouTuberのコムドットゆうたや、歌手のAdoとは商品のコラボレーションをするなど、多くのコラボレーションを行っています。
このように、知名度を上げる施策を行うことで、新規のユーザーを増やしたり、リピートにつなげることができます。
ECサイトで古着を扱う際の3つの注意点
株式会社yutoriは古着テイストのオリジナル商品を多く販売していますが、ECサイトで実際に古着を販売するときの注意点について解説します。
注意①古着の状態について記載する
古着をECサイトで売る際は、ダメージなどの状態について明記した方が良いでしょう。
なぜなら、届いた後に商品状態に気づくとユーザーの満足度が下がってしまうからです。
ダメージの話ではありませんが、例えば、韓国より輸入しているアパレルのECサイトでは、商品紹介の画像でフロントの画像しか掲載されていない商品が見受けられます。
筆者も上記のようなECサイトで、フロントのデザインが凝っていておしゃれな商品を見つけたため、バックのデザインも同じだろうと思い購入したのですが、実際届いた商品はバックが真っ白で何もデザインがなく、ショックを受けたことがあります。
これは古着でも同じことがいえると筆者は考えます。
たとえフロントの状態がどれほど良かったとしても、バックに汚れやほつれがある場合は正しい商品状態をユーザーに伝えないと、ユーザーが不満に感じてしまう可能性があるからです。
そのため、写真で分かりやすくダメージの部分を撮影したり、どこにどのようなダメージがあるのかを細かく記載し、ユーザーに注意を促すことをおすすめします。
注意②サイズを分かりやすく載せる
古着は新品の服に比べてサイズ感が分かりづらい面があります。
なぜなら、海外表記だとサイズにばらつきがあったり、商品によっては洗濯して縮んだりしている場合があるからです。
商品紹介の際は、どのくらいのサイズなのかを記載するために、着用モデルの身長を記載したり、着用イメージが分かるような紹介をした方が良いでしょう。
注意③素材について細かく記載する
素材についても、商品紹介の説明文で細かく記載することをおすすめします。
古着の状態やサイズのように、写真で伝えるのには限界があるからです。
筆者は以前、ECサイトで古着を販売しているお店にて柄シャツを購入したのですが、実際着てみると静電気が発生しやすい素材で、着なくなった経験があります。
ECサイトで古着を販売する場合、実店舗と違い商品を手に取って見ることができないため、こちらも商品説明や写真で工夫して紹介することがポイントです。
古着ECサイトのまとめ
ここまで、古着ECサイトで効果的な集客を行うポイントを事例を用いて紹介したり、ECサイトで古着を扱う際の注意点について解説したりしました。
古着が好きな方がECサイトで古着を売るのであれば、SNSの活用や細かなペルソナの設定を行い、そこからブレずに販売することがポイントです。
そして、ユーザーにリピートしてもらえるように、商品説明を丁寧にすることもおすすめします。
ECサイトで古着を売る場合にカスタマイズが必要であれば、カスタマイズ可能な弊社のebisumartをご利用ください。
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