ECサイトにおいて初回購入を成功させるためには、どのような施策が考えられるでしょうか?
クーポンやポイントを付与するスタンダードな方法から、ユーザーレビューを増やして購入率を高める方法まで様々ですが、本日は初回購入を成功させるための7つのマーケティング手法を紹介します。
② 決済方法を広げる
③ ゲスト購入を勧める
④ チャットの設置
⑤ かご落ちツールの導入
⑥ レビューを増やす
⑦ 返品無料
これらの施策を実施して初回購入を高めることで、リピーターやファンが増え、必ずECサイトの売上を安定することに結び付きますので、ECサイトを開設したばかりであれば、まずは初回購入に意識を集中させてください。
本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、初回購入を成功させるための7つの施策について解説いたします。
国内のEC市場はAmazonと楽天市場が独占している!
まず、自社ECサイトのマーケティングを考える前に、ユーザーについて考えてみましょう。下記は2022年度のEC売上高ランキングですが、Amazonの売上は圧倒的であり約3.2兆円です。これは2位のヨドバシドットコムの約15倍にもなります。2位~30位までの売上高を足してもAmazonの売上高には届きません。
◆EC売上高ランキングTOP30(2022年度)
出典:【EC売上ランキング2023年版】1位アマゾン、2位ヨドバシ、3位ZOZO、4位ヤマダHD、5位ビックカメラ、6位ユニクロ(ネットショップ担当者フォーラム)
また、楽天市場は出店型のため、上記のランキング外ですが、同じく2022年度の国内EC流通総額は5.6兆円を達成したと発表しており、このことを考えると、日本のEC市場はAmazonと楽天市場の2社でほとんど独占に近い状況であると言えます。
話を戻すと、ECサイトを利用するユーザーは、Amazonと楽天市場を利用することがほとんどであり、小中規模のECサイトの利用はECの売上高から見ると、ごくわずかであることが推察されるのです。
初回購入の重要性が高まる!
このような状況で、ECサイトにおいては「初回購入を成功させること」が非常に重要になってきます。多くのユーザーがAmazonと楽天市場を利用していますが、それらのECサイトを利用する理由の一つに「Amazonや楽天市場を利用するのに慣れている」という理由があります。
筆者もECサイトの利用はAmazonがほとんどですが、その理由は、やはり何度も購入したことがあるため、慣れているという点が大きいと感じます。
しかし、もしアロハシャツが好きなユーザーがアロハシャツ専門のECサイトで「アロハシャツ」を一度でも購入したとしたらどうでしょうか?
一度でも商品を注文し、自宅に届いて商品に満足したという経験があれば、再びユーザーがそのアロハシャツ専門のECサイトで購入する可能性は高まるはずです。
では逆に、そのアロハシャツ専門のECサイトで、クレジットカード番号の入力でエラーが出て購入に失敗していたらどうでしょうか?おそらく二度とそのサイトを利用しないはずです。
つまり、初回購入が成功していれば、ユーザーが複数回購入する可能性も生まれますが、失敗することで新規ユーザーの売上が上がらないばかりか、将来の購入可能性まで減るのです。
そして、これが積み重なることで、売れるECサイトとそうではないECサイトに分かれるものであり、初回購入は非常に重要となるのです。では、初回購入をどのように成功に導けばよいのでしょうか?マーケティング施策の面から解説いたします。
初回購入を成功させるための7つのマーケティング手法
それでは、ECサイトで初回購入を成功させるための7つのマーケティング手法を紹介いたします。
手法① 初回購入者限定の特典を付ける
手法② 決済方法を広げる
手法③ ゲスト購入を勧める
手法④ チャットの設置
手法⑤ かご落ちツールの導入
手法⑥ レビューを増やす
手法⑦ 返品無料
手法① 初回購入者限定の特典を付ける
まず、基本的な施策からですが、初回購入者限定のクーポンやポイントを用意してみましょう。初回購入への特典としては、以下のようなものが考えられます。
◆初回購入者限定特典
・送料無料
・割引
このような特典を用意することで、例えば、以下のような気持ちにさせることができるのです。
初回購入者限定特典の実例として、アパレルECサイト「SHOPLIST」を紹介します。サイトに訪れると、まずはクーポンが全面に表示されます。SHOPLISTの場合は、新規会員登録限定で割引クーポンが付与されるといったものですが、次回以降の買い物ではなく初回の買い物から利用できるため、初回購入率が大きく高まります。
◆SHOPLISTの初回限定特典
特に、SHOPLISTは若者向けのリーズナブルな価格帯の商品をメインに取り扱っていますので、5,000円分もの割引を実施すれば、利益はほとんどないはずです。つまり、初回購入の売上は度外視してリピート購入に狙いを絞っていることがわかります。
また、ECサイトのコンサルティング方法の一つに、赤字覚悟の売れ筋商品を作って、その商品を購入させて、リピート購入につなげるという手法もあります。ECサイト全体として売上を増やすことができるのなら、そのような初回購入につなげるための特別商品を設置するのも良い手法と言えるでしょう。
手法② 決済方法を広げる
通常のECサイトであれば、以下のような決済方法をそろえていると思います。
・コンビニ決済
そこに、ユーザーがなじみのあるAmazon Payや楽天ペイなどのID決済を増やしてみたり、あるいは後払い決済なども、手元のお金が少ない若年層のユーザーには魅力的な決済方法です。
特に、ID決済を導入することで、面倒な会員登録の手間を省くことができますし、自分がすでに所有しているアカウントの決済方法が利用できるため安心して購入することができます。
下記をご覧ください。商品購入画面の情報入力の際にAmazon Payを選択すれば、以降の情報入力が必要なくなり、購入完了までの手間が一気に短縮されます。
◆ID決済が導入された注文者情報入力画面
このように決済方法を増やすことで、初回購入の成功確率を上げることができます。
手法③ ゲスト購入を勧める
ユーザーの中には、会員登録を絶対にしないユーザーが一定数います。そのようなユーザーに対して、会員登録を促すマーケティング施策は意味がありません。
そのようなユーザーに対しては、ゲスト購入を促してみましょう。楽天グループでは、楽天市場、楽天トラベルにおいても必ずゲスト購入ができるようになっています。
◆ゲスト購入(楽天市場の購入画面)
画像引用元:楽天市場
ゲスト購入したユーザーでも、自社のECサイトでリピート購入してくれる可能性はあります。一度でも購入を成功させることで複数回購入してくれる可能性が発生します。もし、独自の商品を展開していたり、専門店の場合はさらにその確率は高まります。
ただし、ゲスト購入の訴求は会員登録訴求と相反するもので、本来会員登録してくれるユーザーがゲスト購入してしまう可能性があるので、ゲスト購入の露出を見極める必要があります。
手法④ チャットの設置
例えば、会社の営業時間だけでもチャットを開設して、決済が上手くできないユーザーの手助けをしてみましょう。カート周り(注文画面)では、数々のエラーが発生します。
そのようなユーザーの購入を手助けするのです。下記は、アパレルECサイト「ZOZOTOWN」の決済方法選択時に表示されるチャットボットです。決済画面での滞在時間が長かったり、決済方法を変更したりするとバナーが出現する仕組みになっています。
◆カート周りにチャットボット設置
画像引用元:ファッション通販 ZOZOTOWN
チャットボットを設置すれば人手を使わずに手助けすることもできますが、チャットボットを上手く機能させるには、最初は人の手でサポートを行い、よくあるエラーを事前にデータとしてまとめておかなければなりません。
手法⑤ かご落ちツールの導入
ECサイトの利用はジャンルにもよりますが、多くはスマートフォンからです。スマートフォンユーザーの特徴は、スマートフォンで何かを見ている最中にも通知が入ってしまうことです。例えば、ECサイトの利用中に、他のアプリの通知が入ることもあります。
そうすると、ECサイトの買い物を途中でやめてしまうユーザーが一定数います。これが「かご落ち」です。
しかし、かご落ちツールを導入することで、これを改善することができます。データはありませんが、このかご落ちツールを導入することで10%程度は買い物を復活させることができるはずです。年間を通すと、かご落ちツールを導入することで大きな売上の違いが出るはずです。
初回購入の可能性を増やすには、導入を検討するべきでしょう。
手法⑥ レビューを増やす
ユーザーの多くは、ECサイトの利用に際し、他のユーザーのレビューを買い物の決め手とします。だからこそ、Amazonも楽天市場も、商品購入後にレビュー依頼のメールが来るのです。
ユーザーの多くは、レビューを参考にしているのです。つまり、ユーザーレビューを増やすことは、そのまま、初回購入の成功につながります。ユーザーレビューを増やすコツについては下記の記事をご覧ください。
手法⑦ 返品無料
例えば、アパレルECサイトの場合は、商品のサイズ感が気になって購入に至らないことはよくあります。しかし、返品無料を訴求することでユーザーに気軽に商品を購入してもらうのです。これを上手く行ったのが、靴の大手ECのロコンドです。
ロコンドでは、商品発送から14日間は、室内での着用などの条件を満たしていれば「着払い」で商品の返品・サイズ交換が可能になっています。
参考にすべきECサイト:ロコンド
このように、ユーザーに対してサイズ感の不安感を減らすことで初回購入に結び付けます。ただし、ロコンドは大手事業者です。中小事業者が実施すると大きな負担もあるので、限定的に実施して業務やコストの負担を考えながら展開してみましょう。
まとめ
初回購入を成功させることは、ECサイトで売上を安定させるための最初の一歩です。赤字分をマーケティング費用と考えるのも手です。購入しやすい商品を設置して、とにかく初回購入につなげてみてください。
そうすることで会員登録が増え、あなたのECサイトで買い物することに違和感のないユーザーが増えてくるはずです。
弊社では、EC支援サービス「ebisu growth」にて、EC事業の成功を支援いたしますので、初回購入の秘訣について知りたいという方もぜひご検討ください。