ECサイト改善を実施し、劇的に成果を上げる方法はあるのでしょうか?
実は、小さい改善の積み重ねにそのヒントはあります。この記事ではトップページ、カテゴリページ、商品ページの観点から9つの改善ポイントを提案します。いずれも、すぐに改善できるものばかりなので、該当するポイントがあればすぐに実行してみてください。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトの改善方法について詳しく解説いたします。
トップページの改善方法
改善方法① 売れ筋商品を設置する
まず、トップページにどのような商品を設置するかは非常に重要です。なぜなら初めてECサイトを訪れたユーザーが、トップページを見て興味を引かれる商品がなく、そのまま離脱してしまうのは、中長期的に見て、大きな売上を失っているのと同じだからです。
初回訪問したユーザーが離脱してしまうと「あのECサイトには良い商品がない」という印象が残り、二度とECサイトに訪れてくれない可能性が高くなります。そのため、トップページには「売れ筋商品」を設置する必要があります。
◆売れ筋商品の例
・自社にしかないオリジナル商品
・ECサイト内で最も売れている商品
このような商品をトップページに設置することで、新規ユーザーが買い物をしてくれる可能性が高まります。これをEC業界では「初回購入」と言います。
極論ですが、初回購入分が赤字であっても、新規ユーザーが、一度でもECサイトで商品を購入したという経験があれば、そのユーザーは再び購入する可能性があります。しかし、逆に一度も購入しなければリピート購入は行われません。
つまり、ECサイトの改善において初回購入を成功させることは非常に重要なことなのです。ECサイトを改善する場合は、初回購入を促すことを強く意識してみましょう。
本記事の主旨とは逸れますが、初回購入の重要性については、下記記事でより詳しくまとめていますので、EC担当者の方はこちらもぜひご参考ください。
改善方法② クーポンを活用する
改善方法②も初回購入についてです。
新規ユーザーが買い物をする可能性を高めるためには、「お得感」を演出する必要があります。そのためクーポンは、ユーザーにとって非常に魅力的です。会員登録と同時にクーポンを配布すれば、ユーザーがそのクーポンを使って初回購入する可能性が高まります。
このクーポンは、広告費用と割り切って、大きい金額で用意すれば、それだけ初回購入の可能性が高まります。しかし、もちろん利益は減るので、どの程度の費用をクーポンに割くことができるのか、事前にシミュレーションをしてみてください。
改善方法③ ハンバーガーメニューを見直す
これは微細な修正ともいえますが、年間で考えるとECサイトの売上に大きな影響を及ぼします。まず以下の、ユニクロのECサイトをスマートフォンで見た画面を見てください。赤い枠ですが、カテゴリを直接ヘッダーに配置していることが分かります。
◆ユニクロのECサイトをスマートフォンで見た画面
ユニクロのECサイトは、売上1,000億円を超える大規模ECサイトです。そのようなECサイトでは微細な差であっても、大きな売上の差となります。
トップページの一番の役目はユーザーを目的のページに「振り分け」ることです。ユーザーがトップページに訪れたときに、すぐに目的のページに移ることができるようにするためには、ハンバーガーメニューだけでは、直観的に目的のページを見つけられない、あるいはそこまでクリックしないユーザーは離脱してしまいます。
そのためスマートフォンの場合は、ハンバーガーメニューだけにユーザーの振り分けを依存するのは避けるべきなのです。ハンバーガーメニューを設置する場合は、主要なページはユニクロのように、併せてヘッダー表記することで、年間の売上に大きな差が生まれるのです。
改善方法④ ブログの導線は置かない
もし、SEO対策の一環でブログ施策などを実施している場合は、トップページの中でブログを訴求してはいけません。なぜなら、トップページを訪れるユーザーというのは目的を持っているユーザーです。ECサイトの場合は、購入意欲が高いユーザーなのです。
しかし、メニューをクリックしてブログを見つけたら「ブログもあるんだ、見てみよう」と記事を読んでいるうちに、買い物を忘れてしまう可能性があります。そのためブログの導線は、トップページで強く訴求するのは好ましくありません。
ブログ施策は、ユーザーをECサイト(公式サイト)に集客する役割なので、トップページにブログの導線を設置するのは本末転倒となります。
×ECサイト ==> ブログ
ブログの導線は、「ブログを探している人には見つけられる」くらいの露出で良いので、フッターのような目立たない場所に設置しましょう。
カテゴリページの改善方法
改善方法① カテゴリ分けを工夫する
カテゴリ分けを検討する際、一般的には種類や特徴やサイズ、あるいは価格などでカテゴリ分けします。例えば、下記のようなケースです。
◆アパレル商品のカテゴリ分け
・性別
・トップス/ボトムス
・半袖/長袖/7分丈
◆家具商品のカテゴリ分け
・素材
・ファミリー/単身
このように“外見的”なカテゴリ分けは、ECサイトのユーザービリティ施策としては基本のカテゴリ分けになります。しかし、さらに工夫して下記のように分類することで、ユーザーが求めている商品をより迅速かつ容易に見つけることが可能になります。
◆「お悩み」でカテゴリ分けする(化粧品の例)
・乾燥、小じわ
・毛穴の黒ずみ
・紫外線対策
◆「用途・目的」でカテゴリ分けする(ギフト商品の例)
・お歳暮
・父/母の日
・結婚内祝い
このように、自社製品の特徴やセールスポイントを見直した上でカテゴリ分けを工夫します。
改善方法② カテゴリ名を分かりやすくする
カテゴリの名前が、自社関係者や一部のファンにしか分からないような名称になっていないか、改めて確認してみてください。例えば、お酒を扱うECサイトでは以下のようなものです。
◆分かりにくいカテゴリ名の例
・泡もの
・アルコールが苦手な方に!
このような形容はカテゴリ名には不向きであり、新規のユーザーが非常に戸惑います。もし、上記を改善するなら以下のようなカテゴリ名にすべきです。
◆分かりやすいカテゴリ名の例
・シャンパン等の炭酸系のお酒
・ノンアルコールやソフトドリンク
このように改善することで、誰でもカテゴリの意味が分かり、クリックして自分に合うお酒を探しやすくなるのです。自社関係者や一部のファンにしか分からない独特な表現や形容は、カテゴリ名では避けた方が良いでしょう。
商品ページの改善方法
改善方法① 商品名を分かりやすくする
商品名を外国語の表記にしたり、あるいはBtoB事業者が型番表記をそのまま商品名にしたりしているケースでは、ユーザーが商品名を覚えにくくなっている可能性があります。
◆覚えにくい商品名の例
・型番表記
・仕入れ先の商品名(覚えにくい)でそのまま商品登録
このような商品名は、ユーザーにとって瞬間的に覚えることができないものと考えられます。ECサイトに再訪問したユーザーが、前回気になった商品を探そうとしたとき、手掛かりになる商品名が覚えにくいものであればどうなるでしょうか。ユーザーはECサイト内の検索窓や検索エンジンを使って上手く検索することができず、結果的に購入機会を逃してしまうのです。
商品名の変更が難しい場合も、ユーザーが覚えやすいキャッチコピーを付けるなどして、再訪問したユーザーの購入機会を逃さないように工夫しましょう。
改善方法② 商品ページに登録する写真を工夫する
ECサイトのデメリットは、商品を直接手に取って確認できないことです。それを補うために、ECサイトでは多くの写真が必要となります。ユニクロでは、素材感まで分かるように接写した写真を掲載しています。
◆ユニクロのECサイト
またニトリの取り組みは大変おもしろく、下記をご覧ください。
◆ニトリのECサイト
参考:ニトリネット
このように、商品画像に直接メッセージを載せることで、商品の魅力を伝えているのです。商品説明欄は写真よりも目立ちません。そのためECサイトの写真登録を利用して商品説明を補完することで、ユーザーに商品の特長を訴求している例となります。
改善方法③ 商品説明文にお悩み訴求を追加してみる
商品説明文には、もちろん商品の魅力を伝える宣伝も必要ですが、それだけではいけません。ユーザーの悩みが解決するような商品説明を追加して書いてみましょう。
例えば、デザインやブランドが訴求の中心となるアパレル商品においても、以下のような、ユーザーの悩みに訴える説明を加えてみましょう。
◆お悩み訴求をする説明文の例
・速乾性の素材だから、洗濯してもすぐ乾く
・伸縮性の高い素材だから、繰り返し洗濯しても首回りが伸びない
このような訴求があれば、商品の購入を悩んでいる方向けに背中を押すことができるメッセージとなります。
小規模事業者が優先すべきでない改善ポイントとは
ページ速度の改善は大手ECでないと意味がない
ページ速度を改善するために、画像を軽くしたりHTMLやCSSを見直すことは有効です。ただ、ページ速度にこだわっても、小規模事業者ではあまり効果がありません。このような改善に効果を発揮するのは、商品点数の多い、大手事業者に限られます。
よほど、動きの重いECサイトでないかぎり、優先的に改善する内容ではないのです。
SEO対策では「ジャンル名」などの検索数の多いキーワードを狙わない
ECサイトのSEOは、例えば検索数の多いジャンル名や、有名な商品名はほとんど大手サイトが独占しています。下記をご覧ください。
◆Googleで「スニーカー」と検索した結果
SEO2位:ABCマート
SEO3位:楽天市場
SEO4位:Amazon
SEO5位:ロコンド
※筆者調べ
◆Googleで「32型テレビ」と検索した結果
SEO2位:価格.com
SEO3位:楽天市場
SEO4位:ビックカメラ
SEO5位:Amazon
※筆者調べ
このため、小規模事業者がSEO対策に注力しても、このようなキーワードでは、ほとんど効果がありません。ですから小規模事業者がSEO対策を行うなら、「商品名」+「○○」のような複合キーワードで対策するようにしましょう。検索数がそこまで多くはないですが、小規模事業者でもSEO対策がしやすくなるからです。
まとめ
本日紹介した、9つの改善ポイントは、小さな改善点が多かったように思われるかもしれませんが、ECサイトの改善というのは、実はこのような小さなことの積み重ねが多いのです。いずれもすぐに改善できる内容ばかりなので、もしまだ着手していないポイントがあれば、すぐにでも実践してみましょう。
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