ECサイトにブランディングが絶対必要な3つの理由

ECサイトにおいて、どのようにブランディングをすべきか悩んでいるのではないでしょうか?

ECサイトで長期的、継続的に売上を向上させるためには、ブランディング(世界観の構築)は欠かせません。

なぜなら、ユーザーはインターネットを使って、カンタンに最も安い商品を探すことができるため価格競争になりやすい面があるからです。そのため、ユーザーに対しては、価格以外の要素で自社商品を選択してもらう工夫が必要になり、その方法の一つにブランディングがあります。

本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトにブランディングが絶対に欠かせない3つの理由を解説いたします。

ECサイトでブランディングが必要な3つの理由

それでは、ECサイトになぜブランディングが必要なのか、3つの理由を順に解説します。

理由① ECサイト(インターネット)は価格競争になりやすい

ECサイトに限らず、インターネットで商品を販売するということは、日本中(あるいは世界中)を商圏にできる反面、日本中のECサイトがライバルとなります。ユーザーから見ると、AmazonやGoogle検索、比較サイトを使えば、日本中から最も安い商品を探すことはカンタンです。

以下をご覧ください。実際に「価格.com」を利用して、日本で一番安いiPhone14を探してみました。

◆価格.comで最も安いiPhone14を検索

価格コム比較

検索にかかった時間は、1分未満です。このように誰でも日本で最も安い商品を探せる環境があるのです。また、Amazonや楽天市場などのECモール内でも同様に、最も安いiPhone14を検索してみます。

◆Amazonで最も安いiPhone14を検索

amazon比較

◆楽天市場で最も安いiPhone14を検索

楽天比較

このため、ユーザーから見れば、価格以外に「あなたのECサイト」で購入する理由がなければ、なかなか商品を売ることができません。

理由② インターネット広告費の高騰

以下のグラフで、インターネット広告費の推移をご覧ください。

◆インターネット広告費の推移

出典:経済産業省令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2022年8月発表)

このように右肩上がりとなっており、広告単価は非常に高騰しております。

例えば、筆者は今から10年ほど前、大手英会話スクールでWebマーケティングを担当しており、その際、リスティング広告のCPA(CV1件あたりのコスト)はおおよそ1万円でした。

しかし、昨今は相場が3万円となっております。つまり1件のCV(注文や申込)を獲得するためにこの10年で3倍のコストがかかるようになったのです。そして、このような広告費の高騰は、筆者が所属した英会話スクール事業だけでなく、ECサイトを含む、ほぼ全ての分野で見られます。

広告費が高騰した理由は、日本では2010年頃から普及したスマートフォンの影響が大きく、スマートフォンにより、日本中のユーザーにおいて世代に関わらず、インターネットに日常的に触れるようになり、テレビや雑誌、新聞の広告効果が減り、インターネット広告を多くの事業者が利用するようになったためです。

以下は、マスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)広告費とインターネット広告費の推移を比較したグラフです。

◆マス広告 VS インターネット広告

インターネット広告vsマスコミ広告

出典:「2021年 日本の広告費」解説-広告市場は大きく回復。インターネット広告費がマスコミ四媒体の総計を初めて上回る(ウェブ電通報)

インターネット広告は日本中の事業者が参入している反面、インターネット広告の表示エリアというのは実は限られております。例えば、広告において最もCVが獲得しやすいと言われるリスティング広告は、Googleの場合、検索結果上部の以下のエリアにしか表示されません

Google広告エリア

そのため、コストが上昇しやすいのです。

理由③ SEOにおいては、ブランド力がSEO順位の一要素となる

かつては無名のECサイトであっても、SEO対策を行っていれば上位表示を独占することは難しいことではありませんでした。そのためノウハウに長けたECサイト事業者が多くのトラフィックを獲得し、売上を上げていました。

しかし、2010年からGoogleで実施された、パンダアップデートペンギンアップデートという検索アルゴリズムのアップデートにより、Googleのガイドラインに違反している企業やECサイトの順位を下げるようになりました。

また、昨今のGoogleの検索アルゴリズムにおいては、E-E-A-T(Experience:経験、Expertise:専門性、Authoritativeness:権威性、 Trust:信頼性)が重視されるようになり、大手企業や有名ブランドであってもSEO上位を獲得することが難しくなってきたのです

参考:E-A-Tに経験を加えたE-E-A-TがGoogle品質評価ガイドラインの2022年12月更新版で導入(海外SEO情報ブログ)

つまり、SEO対策においても、ブランドが持つ権威性の力が重要になってきているのです。権威性というのは、カンタンに解説すると「その分野において、どれだけ有名か?」というものであり、つまりブランディングと密接に関係しています。

EC事業者がブランディングを行うには、まずはポジショニングマップを作成しよう

では、これから有名になるには、どのようにブランディングをしていけば良いのでしょうか?まずは自社の強みと弱みを把握した上で、ポジショニングマップを作ってみましょう

◆例:ワークマンのポジショニングマップ

ワークマンポジショニングマップ

画像引用:ワークマン公式サイト

このように、最初にポジショニングマップを作り、業界の中で自社と競合との位置関係を把握することで、どのようにブランディングすべきかかが分かるからです。上記の例のワークマンですと、

・低価格
・高機能

という分野に競合がいないことに着目し、ブランディング活動をしていった結果、今では「ワークマン女子」と言った言葉が生まれるほどに、一般ユーザーに対してもブランディングを通じて認知されるようになりました

ワークマンのようにマーケットにおいて唯一の価値を見出すことができれば、ブランディングは非常にやりやすくなります。

このように、ブランディングを実施する前に、どのようにブランディングすべきかを、自社の強みや特長だけではなく、マーケットから考えてみるべきでしょう。

ブランドストーリーを整理しよう

例えば、ECサイトやカタログのデザインをどれだけ作り込んでも、ユーザーが店舗を訪れたり、あるいは、ECサイトに問い合わせた際に、満足いくような対応ができなければ、「ブランドのイメージと違う」と思われかねません。

そのため、ユーザーと接するスタッフにも、自社のブランディングに関して深く理解してもらう必要があります。ブランドを大切にしている企業に入社すると、創業者や商品開発のストーリーに関する研修を受けることが多いです。

社内で、自社のブランディングを認知させるためにも、ブランドのストーリーを整理しておくべきです。なぜなら、ストーリーというのは非常に人間の記憶に残りやすく、また、相手に説明しやすいというメリットがあるからです。

例えば、アウトドアブランド「コロンビア」では、ECサイトにブランドストーリーのページを設けるとともに、店舗内装や商品タグにもブランド発祥の地であるオレゴンの山々や、ブランドアイコンである創業者の写真を使用しております。

これにより、ユーザーもブランドのバックボーンへの理解が深まり、ひいてはブランドに対する「信頼感」にもつながっております。

参考:コロンビアの歴史│コロンビア(Columbia)公式通販サイト

自社ECブランドのファンを作ろう

本日は、ECサイトにブランディングが必要な理由を解説しました。筆者の考えではありますが、ブランディングとは、自社のファンを作ることです。筆者は無印良品が好きなのですが、その理由は、ブランドのストーリーやコンセプトに裏打ちされた統一感のあるデザインにあります。

決してぶれないコンセプトがあるからこそ、どの商品であっても一目で無印良品と分かり、商品に説得力が生まれるのです。だからこそ、筆者も無印良品のファンになり、「身の回りの物をこのブランドでそろえたい」と思うようになったのです。

これからどのようにブランディングをしていくかを考えるのであれば、まずは、ポジショニングマップを作って、競合を含めて自社の強みと弱みをはっきりさせてみましょう。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。