GoogleやYahoo!で自社ブランド名や店舗名の指名検索によってECサイトに流入する人が増えれば、広告単価を抑えることができ、結果としてECサイトの利益を伸ばすことにつながります。
指名検索を増やす方法は、筆者の経験を踏まえると以下の6つが最も有効です。
方法① ECサイトや商品名をユニークな名前にする
方法② アフィリエイト広告を出稿する
方法③ 楽天市場やAmazonなどのモールに出店・出品する
方法④ SNSで自社商品をバズらせる
方法⑤ プレスリリースを出して、メディアに取り上げてもらう
方法⑥ オウンドメディアやブログでの情報発信
難しいと感じるものもあるかもしれませんが、どの方法も真剣に取り組めば、小規模事業者でも成果を出すことができるはずです。なぜなら、この6つの施策は大きな予算がなくても実施可能なものだけを紹介しているからです。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、自社ECサイトの指名検索を増やすための6つの方法を解説します。
指名検索を増やせば広告費がグンと下がる
もし、指名検索を増やすことができれば、ユーザーが広告経由ではなく、あなたのECサイトに直接訪れてくれるようになるので、広告予算をグンと下げることにつながります。例えば、このブログ運営会社のサービスの「EBISUMART(エビスマート)」というECプラットフォームですが、下記のグラフをご覧ください。
◆Googleトレンドで「EBISUMART」の過去12年の人気推移を調査

EBISUMARTは2007年から始まったサービスですが、当初は認知度はありませんでした。しかし、認知が広がるにつれて、Googleで「EBISUMART」や「エビスマート」と検索する人が増えるようになったため、広告費を使わなくても、問い合わせや資料請求が発生するようになりました。
通常であれば長い営業活動の結果、指名検索が増えていくものですが、比較的短期間で指名検索を増やす方法もあります。では次に小規模EC事業者でも実施が可能な指名検索を増やす6つの具体的方法について解説いたします。
小規模EC事業者でも実施可能な指名検索を増やす6つの方法
この記事では、「テレビCM」「交通広告」などの大きな予算が必要な施策は除外して、小規模事業者でもすぐに実践できる施策を紹介します。
◆指名検索を増やす6つの方法
方法① ECサイトや商品名をユニークな名前にする
方法② アフィリエイト広告を出稿する
方法③ 楽天市場やAmazonなどのモールに出店・出品する
方法④ SNSで自社商品をバズらせる
方法⑤ プレスリリースを出して、メディアに取り上げてもらう
方法⑥ オウンドメディアやブログでの情報発信
方法① ECサイトや商品名をユニークな名前にする
一度聞いただけで覚えられるようなユニークなECサイト名や商品名を付けることです。ECサイトに訪れる99%の人は、CV(購入)せずにサイトを離脱します。しかし、ユニークなECサイト名や商品名があったとしたら、後で指名検索してくれるはずです。
例えば、筆者の体験ですが、Amazonで防災用のライトを探していたところ「にぎっ照るライトⅡ」という商品を見つけました。そのユニークな名前は脳裏に焼き付き、その場では購入に至りませんでしたが、後日改めて購入しました。
◆筆者の行動
② 「にぎっ照るライトⅡ」を発見し、名前が印象に残ったが、購入せず
③ 後日、Googleで「握ってるライト」と検索、Amazonの商品ページが表示され、購入
つまり③が指名検索となったのです。
◆筆者が購入した商品「にぎっ照るライトⅡ」

引用(画像):「にぎっ照るライトII」(Amazon)
しかし、もったいない点があります。実は、「握ってるライト」と指名検索で入力した場合、SEO上位に表示される公式サイトは、ECサイトではないため商品を購入することができません。
そのため筆者は「にぎっ照るライト」をAmazonで買うしかありませんでした。もし自社でECを運営していれば、Amazonの出品にかかる手数料や広告費を使わずに商品を販売することができ、利益を増やすことにつながるからです。
方法② アフィリエイト広告を出稿する
もし、1万円を超えるような高単価商品やサービスであれば、アフィリエイト広告を出稿すると良いでしょう。そうすることで、アフィリエイターが自分のサイトやSNSで、商品を紹介してくれるようになり、商品を知る人が増えていきます。
例えば、あなたが時計のECサイトを運営している場合、「プレゼント 男」と検索してみてください。そうすると男性へのギフトを紹介するアフィリエイトサイトが出てきます。これらのアフィリエイトサイトにあなたの商品(時計)が取り上げられるようになると、ユーザーの認知度が上がります。
◆「プレゼント 男」でGoogle検索した結果

ただし、この例のような有力なアフィリエイターやアフィリエイト企業に自社商品を取り上げてもらうには、期間限定でアフィリエイターへの報酬を高単価で実施してみるのも良い方法です。なぜならSEO上位のアフィリエイターほど、高単価な報酬には敏感に動くからです。
認知のことだけ考えると、小さく長く予算を使うよりは、一気に短期間で予算投じてアフィリエイトを掲載した方が認知につながる可能性が高くなるでしょう。SEO上位で取り上げられると、ほかのアフィリエイターサイトが「こたつ記事」のようにSEO上位記事を真似をします。そうすると他の多くのアフィリエイトサイトにも自社の商品が勝手に取り上げられる状況を作ることができます。
方法③ 楽天市場やAmazonなどのモールに出店・出品する
やはり商品を売る場としては、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングのようなモールが、最も影響力があります。下記をご覧ください。
◆各ショッピングモールの比較表
楽天市場 | Yahoo!ショッピング | Amazon | |
出店数 | 5万店以上(2024年度)(※1) | 約120万店(2024年)(※1) | 30万店舗(2022年11月時点・推測)(※5) |
売上 (国内EC流通総額) |
5兆9,550億円(2024年度)(※2) ※他の楽天グループの国内ECサービスを含む |
1兆6,658億円(2023年度)(※4) ※LINEギフト、ZOZOTOWN、LOHACOを含む |
4兆1,375億円(2024年)(※6) ※1ドル=151円 |
利用者数(国内) | 6,631万人(2024年5月)(※3) | 3,541万人(2024年5月)(※3) | 6,724万人(2024年5月)(※3) |
出典:以下の数値に基づき筆者作成
※1:楽天市場 出店案内「比較検討されている方に 他社ショッピングサイトとの違いー店舗数は楽天市場の21倍以上!」
※2:ネットショップ担当者フォーラム「【楽天グループの2024年国内Eまとめ】流通総額は1.5%減の5兆9550億円。4四半期連続のマイナス成長から4Qでプラス転換」(2025年2月17日掲載)
※3:eccLab「ニールセン調査、2024年5月国内モールユーザー数、Amazon6,724万人、楽天市場6,631万人、Temuが急伸し3,106万人」
※4:ネットショップ担当者フォーラム「LINEヤフーの2024年3月期】ショッピング取扱高は1.7%減の1.6兆円。5四半期連続のマイナス成長から4Qにプラス成長へ転換」(2024年5月9日掲載)
※5:eccLab「【2023年最新版】国内のECサイト・ネットショップの総稼働店舗数」
※6:ネットショップ担当者フォーラム「アマゾン日本事業の売上高は約4.1兆円。ドルベースでは274億ドルで5.4%増【Amazonの2024年実績まとめ】」(2025年2月12日掲載)
この表を見ると、国内EC市場において大きな影響力があることが分かります。筆者自身もAmazonでほとんどの買い物を済ませてしまうのですが、そのように、Amazonや楽天市場など特定の有名モールでしか買い物をしないというユーザーも非常に多いと推測できます。
そのようなユーザーに対しては自社ECサイトだけでなく、モールにも積極的に出店することで、認知度向上を目指すのです。もちろん、モールに出店するだけで露出が増えるわけではありませんので、それぞのモールで、広告を打つなど対策していく必要はあります。
商品名の認知度を上げるならAmazon、商品名とあわせて店舗名の認知度も上げるなら楽天市場が良いでしょう。ただし、それ以前に、上記の表に記してあるように各モールの属性と、商品属性の相性を見て、出店・出品を検討してみてください。
また、メルカリも最近では、事業者も出店できるようになったので、ターゲット層が合う場合は、非常に露出力が強くなります。
このように、露出が多いモールに自社商品を置くことで、商品の認知度が上がり、指名検索を増やすことにつながります。
方法④ SNSで自社商品をバズらせる
これは、難易度が高い方法にはなりますが、TwitterやInstagram、TikTokなどの拡散性の高いSNSで、自社商品をバズらせる方法です。例えば、下記のUHA味覚糖株式会社の商品がSNSで大きく話題になり、商品の売上にも非常に大きな影響がありました。
参考:「UGCと売上は相関する! SNSの感覚的なバズを数値として可視化!効果測定からキャンペーンでのフォロワー増施策まで幅広くSocial Insightを活用」(Social Insight / 株式会社ユーザーローカル)
このように、SNSでバズることで、急激に認知度が上がって指名検索が増え、売上も伸びることになります。また、Googleからの認知度も上がることになるので、Googleのクローラーが頻繁に自社サイトに訪れ、SEOが強くなることも期待できます。
ただし、狙ってバズを起こせることはまれであるのが現状です。筆者も過去(2015年)に自分の書いたブログが大きくSNSでバズったことがあります。
これはバズを狙ったわけではなく、書いた記事を自社のTwitter(フォロワーは当時1万人程度)で紹介したことが拡散のきっかけで、指名検索も増やすことができました。このようにバズは意図しないで生まれることが多いのです。
しかし、非常に高い効果が期待できるので、もしバズを狙うのなら、過去に起こったバズを調査し、そこでバズが生まれた経緯や要素を研究して実施してみてください。
そのためにも、普段から自社SNSのフォロワーを増やしておくことは非常に大切です。筆者の先ほどの事例でも、日常的にフォロワーを1万人程度まで増やしていたことで、バズを生むことができたのです。
方法⑤ プレスリリースを出して、メディアに取り上げてもらう
プレスリリースを出して、自社商品についてメディアに情報発信していきます。記者が興味を持てば、メディアに取り上げられて、自社の商品名の露出を高めることができます。
ただ商品のメリットを伝えるだけのプレスリリースでは、メディアに取り上げてもらうことは難しいでしょう。例えば、コロナ禍であれば感染症対策やテレワークなどが世の中で注目されましたが、そのような世の中で注目されているものと自社商品を掛け合わせることで、メディアに取り上げられやすくなります。
筆者も失敗談があります。10年近く前、大手のニュースサイトに自社サービスのメリットを訴求した記事広告を出稿しましたが、残念ながら全く話題になりませんでした。
この失敗談からも分かるとおり、世の中で共感を生まないと、大きなメディアで取り上げられても何も生まれないのです。
つまり、プレスリリースを使って露出を高めて指名検索を増やす場合は、世の中で話題になることを意識しなければいけません。その点はSNSを使ったバズを生む方法と同じ考え方となります。
方法⑥ オウンドメディアやブログでの情報発信
オウンドメディアやブログを活用し、商品やサービスに関連する有益な情報を定期的に発信することで、ユーザーの関心を引き、ブランド名や商品名での指名検索を促進できます。特に、専門性の高い内容やユーザーの課題解決に役立つ記事は、信頼性の向上にも寄与します。
指名検索を行うユーザーは、既にブランドや商品についての認識があり、購買意欲が高い傾向にあります。そのため、オウンドメディアやブログでの情報発信は、コンバージョン率の向上にも寄与します。
オウンドメディアを効果的に運用するためには、以下のポイントが重要です。
ユーザーの関心やニーズに応じた情報を発信することで、信頼性を高め、ブランドへの関心を引き出します。
②継続的な情報発信
定期的にコンテンツを更新することで、検索エンジンからの評価が向上し、指名検索数の増加につながります。
③SNSとの連携
オウンドメディアのコンテンツをSNSでシェアすることで、より多くのユーザーに情報を届け、ブランド認知を広げることができます。
オウンドメディアやブログでの情報発信は、長期的な視点で取り組むことで、ブランドの信頼性を高め、指名検索数の増加につながります。特に、小規模事業者でも始めやすい施策ですので、ぜひ検討すべきです。
指名検索を増やす最高の方法は突出した商品を生むこと
以上、6つの指名検索を増やす方法を解説しました。しかし、最も指名検索を増やす方法とは、突出した商品を世に出すことです。
例えば、筆者の知り合いの経営者ですが、姿勢が良くなる「姿勢改善ペン」というものを開発したところ、子供の姿勢に悩む全国から問い合わせが一斉にありました。また、テレビやメディアにも取り上げられて、一気に指名検索が増えました。
◆「姿勢改善ペン」の検索ボリュームが0だったのに一気に需要が生まれた

このように、世の中にないサービスを作ることで、指名検索を増やすことができるのであり、この方法が最善であることがわかるでしょう。
まとめ
指名検索が増えれば、ユーザーが広告を経由せずに自社ECサイトに訪れるようになるため、CPAを下げ、広告費を抑えることができます。なにより、指名検索を増やすことは、商品名や店舗名の認知度を上げることにつながりますから、利益率だけでなく売上を伸ばすことにつながります。
本日紹介した6つの方法の中から、実施可能な施策を検討してみてください。
株式会社インターファクトリーでは、EC支援サービス「EBISU GROWTH」にてEC事業の成功を支援しております。
本記事で解説した指名検索でサイト流入を増やす方法など、多くのECノウハウを知りたいという方はぜひご検討ください。経験豊富なコンサルタントが貴社ECサイトを成功に導きます。