BtoB向けにECサイトを構築する際は、BtoB向けの業務フローや独自のビジネスモデルを考慮する必要があります。BtoBのECサイトには「オープン型」と「クローズド型」がありますが、多くのBtoB企業で求められるのはクローズド型のECサイトです。
そして、そのようなECサイトには本日紹介する以下の7つの機能が求められるケースが多いです。
② 割引機能
③ 取引先管理・与信管理機能
④ 電話受注機能(代理注文機能)
⑤ カタログ販売機能
⑥ マーケットプレイス型のBtoB-ECサイト
⑦ 代理店管理機能
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、BtoB向けのECサイトの構築方法について解説するので、これからBtoB向けのECサイトを開設するという方は、最後まで記事をご覧ください。
BtoBのECサイトの基本はクローズドEC
BtoBのECサイトには、以下の2種類があります。
・クローズド型のBtoBサイト
オープン型のBtoBサイトとは、カンタンに言えば、BtoCのECサイトのように誰でも自由に購入することができるECサイトのことです。有名なオープン型のBtoBサイトには「モノタロウ」があります。モノタロウでは個人としても買い物をすることができます。
それに対して、クローズド型のBtoBサイトとは、会員登録時に審査を通過した企業のみが取引をすることができるサイトです。その大きな理由は、BtoBサイトの商品は非常に高額な上、日本のBtoB企業の商習慣として掛け売りが基本となるからです。
掛け売りの決済は後払いのため、もし納品後に支払いが滞った場合、債権の回収が非常に大変です。そのようなリスクを避けるためにも、BtoBのECサイトではクローズド型が基本となるのです。
次に、そのようなクローズド型のBtoBサイトに必要な7つの機能について解説します。
BtoB向けECサイトの7つの機能
それでは、BtoB向けECサイトに必要な7つの機能を解説します。
機能① 見積書の自動作成機能
機能② 割引機能
機能③ 取引先管理・与信管理機能
機能④ 電話受注機能(代理注文機能)
機能⑤ カタログ販売機能
機能⑥ マーケットプレイス型のBtoB-ECサイト
機能⑦ 代理店管理機能
機能① 見積書の自動作成機能
商品の価格が数万円から数十万円以上になるBtoB向けのECサイトでは、取引先の担当者の一存で購入されることはあまりなく、まずは見積書を取り寄せます。そのためBtoB向けのECサイトでは、見積書を自動生成する機能が必要となります。
取引先の担当者は、その見積書をもとに社内で稟議を通したり、上長の承認をもらったりして発注に至ります。そして、見積書に重要なのは見積期限です。特定の割引を適用した見積の場合、その見積の有効期限内に商品を購入しないと割引が適用されないようにする必要があるからです。
機能② 割引機能
BtoBにおいては、取引先によって割引率が異なることが一般的です。カンタンに説明すると、取引量の多い大手取引先であれば割引率が高くなりますが、取引量が少ない中小企業の場合、割引率は低くなります。
割引機能において重要なのは、他の企業の割引率を見せないことです。このため、クローズド型のBtoBサイトではログインアカウントで割引率を管理します。この割引率を管理する機能は、取引量に応じて割引率を変更するなど、柔軟な管理が可能である必要があります。
機能③ 取引先管理・与信管理機能
BtoCと違い、BtoBのECサイトは誰でも商品を購入できるわけではありません。なぜなら商品は高額であるため、特に新規取引先においては「十分な支払い能力があるのか」を見極める必要があります。そのため、まず新規取引先に関して審査が実施されます。
審査に通った顧客については、審査に応じて決まった与信枠の範囲内で、ECサイトで購入することができるようになります。
また、既存顧客においても与信管理機能で取引額を管理します。もし、顧客が与信枠を超えて取引をしようとすると、アラート表示され購入が制限されます。もし、このような与信管理を行わないと、万が一、顧客企業が倒産した場合、債権を回収することができないからです。
与信枠を超えて商品を購入したい顧客がいた場合は、その顧客が請求書払いではなくクレジットカード決済なら取引ができるようにするなどの方法がとられることあります。この方法であれば、万が一の場合も、債権はカード会社から回収することができるためです。
機能④ 電話受注機能(代理注文機能)
BtoB-ECサイトを構築しても、全ての受発注がECサイトで可能になるわけではありません。取引先の中には、従来の電話やFAX注文を希望する顧客がいるからです。このようなケースを残してECサイトを用意しても、業務効率が上がりません。
そこで、電話受注機能(代理注文機能)があれば、電話やFAXで受けた注文を自社の担当者が代理でECサイトに入力することで、個別に処理を行わなくとも、受注処理を行うことができます。また、このような機能があれば、営業が得意先に伺い、商談の場で代理注文を行うこともできます。
機能⑤ カタログ販売機能
取引先に商品カタログを配ることで、そこから注文が発生します。その際、電話やFAXによる注文ではなく、専用のECサイトで受注できるようにする機能のことです。ECサイトには、カタログに記載されている型番を入力する機能と、複数注文も可能なように入力項目を複数設ける機能が必要となります。
◆複数注文の入力フォームのイメージ
カタログ番号と実際の商品番号が異なる場合は、ECサイトに変換用のテーブルが必要となります。ECサイト上で注文した顧客が混乱しないようにする配慮が必要となります。
機能⑥ マーケットプレイス型のBtoB-ECサイト
マーケットプレイス型とは、カンタンに言えば、楽天市場のように出店できるECモールのことです。楽天市場内には何万社という多くの企業が出店しており、そのようなマーケットプレイスを自社で作ることを指します。
特に卸売業を実施している企業や、多くの取引先や販売代理店を持つメーカーがこのようなマーケットプレイス型のECモールを構想することが多いです。
マーケットプレイスの構築はそこまで難しいわけではありません。運営企業と参加企業のアカウントを分けて、参加企業にECモールの出店者として必要な機能を実装するだけです。
マーケットプレイス固有の機能としては、運営アカウントにロイヤリティ管理機能が必要となります。マーケットプレイスでは、出店料あるいは商品を販売したときの手数料が運営側の利益となるので、出店者が商品を販売した額にロイヤリティを引いた金額を振り込むことになります。
また、マーケットプレイスでは参加企業が確認できるような、アクセス数や売上に関するレポート機能が必要となります。
機能⑦ 代理店管理機能
代理店管理機能とは、例えばメーカーが販売代理店に対して提供するBtoB-ECサイトで必要となる機能のことです。代理店は、提供されたECサイトを使って受発注処理を行ったり、あるいはエンドユーザーから直接ECサイトで注文してもらうことで、エンドユーザーに商品を販売することができます。
代理店販売機能では、割引の際にメーカー側に割引率の承認を行う機能や、販売額(あるいは販売個数)に応じたロイヤリティを支払うためのロイヤリティ管理機能が必要となります。
そのほかにも、注文された商品の納品を確認する機能があれば、メーカーと代理店間の取引がスムーズになります。
BtoB-ECサイト構築の注意点:ECサイトを作る前に業務フローを整理しよう
もし、紙やFAXによる独自の業務フローを、そのままECサイトに置き換えることを考えているのなら、まずは業務フローを整理することから着手しましょう。もし、そのままECサイトに業務を置き換えてしまうと、無駄な作業や承認フローがあるため業務が効率化しないからです。
まずは現場担当者に聞き込みを行い、業務全体のフローチャートを作成し、そのフローチャートにおいて無駄や省力化できる部分がないかを検討することで、現行の業務フローを改めてみましょう。その上でECサイトを導入した方が、はるかに効率的になるでしょう。
ECサイトの構築方法は、主に4種類
ECサイトは、以下の4種類の方法で構築できます。以下の表をご覧ください。
◆BtoB-ECサイトの4つの導入方法
導入費用 | 導入期間 | カスタマイズ | システムの陳腐化 | |
ASP | 数万円~数十万円 | 1か月~ | △ | 常に最新 |
パッケージ | 数百万円~ | 3か月~ | 〇 | 陳腐化する |
クラウドEC | 数百万円~ | 3か月~ | 〇 | 常に最新 |
フルスクラッチ | 数千万円~ | 1年~ | ◎ | 陳腐化する |
独自の業務フローが多い場合、最もカスタマイズ性の高い方法がフルスクラッチとなりますが、ECサイトのような変更の多い(機能更新やセキュリティの観点から)システムをフルスクラッチで作ってしまうと、システムがすぐに陳腐化してしまうため投資対効果が見込めません。
パッケージも、BtoB専用のサービスがあり比較的早く導入できますが、システムの陳腐化を招いてしまいます。そのためカスタマイズの幅が少ない小規模事業者であれば、ASPを基準に考えて、中堅以上のBtoB事業者であれば、カスタマイズが可能なクラウドECにすべきでしょう。
BtoB-ECを構築するならカスタマイズ可能なクラウドECがおすすめ
高額な商品を取り扱うBtoB-ECサイトの構築は、クローズド型のECサイトが基本となります。また、修正や変更が頻繁に発生するシステムである以上、クラウド型のECプラットフォームを検討することをおすすめします。
なぜなら、最新のEC機能やセキュリティ機能のアップデートが定期的に配信されるため、常にシステムが最新に保たれ、保守運用コストを抑えることができるからです。
インターファクトリーが提供するクラウド型のECプラットフォーム「ebisumart」は、フルカスタマイズから各種のシステム連携まで柔軟に対応可能なクラウドECシステムです。
本記事で解説した機能を搭載したクローズドBtoB-ECの構築を検討しておりましたら、ぜひご検討ください。スモールBtoB-ECから中・大規模まで幅広く対応可能です。