「自社ECサイトの売上を伸ばすために、もっと良い広告はないだろうか?」と考えているのではないでしょうか。ECサイト(主に物販)は単価が安く利幅が小さいため、広告の出し方に苦戦している方も多いと思います。
この記事では、予算のかからないGoogle広告の無料リスティング枠から、予算がかかるインフルエンサーとのタイアップ広告まで5つの施策を紹介しますので、自社の予算やターゲット層に合う広告を探してみてください。
本日はforUSERS株式会社でマーケティングを実施している筆者が、ECサイトで競合に勝つための広告の考え方を紹介するので、最後までご覧ください。
ECサイト事業者向けの5つの広告
ECサイト事業者が実施している広告は多数ありますが、筆者の経験から、まずは以下の広告の中から実施する広告を探してみてください。
◆ECサイト事業者が行うべき5つの広告施策
広告② Meta広告(Instagram&Facebook)
広告③ Google広告とYahoo!広告
広告④ Twitterダイナミック広告
広告⑤ インフルエンサーとのタイアップ広告
それでは一つずつ広告を解説します。
広告① Googleショッピング広告
多くのジャンルがあるので一概には言えない部分がありますが、とはいえECサイトで最も効果の高い広告とはGoogleショッピング広告だと筆者は考えます。以下をご覧ください。
◆Googleショッピング広告の例
出典(画像):Googleで「高級ダウンジャケット」を検索して表示された画面を筆者が加工して作成
このように、検索キーワードに応じた広告がGoogleの検索結果の一番上に表示されます。物販分野においては、検索結果にビジュアルが表示されていることはクリック率に大きく影響するので、テキスト文字のリスティング広告に比べると効果が高くなります。
しかし、Google Marchant Centerに商品データをアップロードする必要があるので、準備に時間がかかります。まずは利幅の大きい少数の商品から試してみましょう。
また、予算がないからといって諦める必要はありません。実はショッピング広告には「無料リスティング枠」と呼ばれる、無料で広告出稿できる枠があるのです。下記をご覧ください。
◆Googleショッピング広告 無料リスティング枠の例
出典(画像):Googleで「高級ダウンジャケット」を検索して表示された画面を筆者が加工して作成
このように、検索結果のショッピングタブのページで有料のショッピング広告の下に表示されます。
有料の部分と比べて露出は多くはありませんが、筆者のアパレルメーカーのクライアントは、この枠に出稿し、毎月数件のCVを獲得しているため、予算がない方も予算がある方も実施すべき広告といえるでしょう。
広告② Meta広告(Instagram&Facebook)
Meta広告とは、Metaが運営するInstagramやFacebookに表示されるディスプレイ広告のことです。
SNS上に表示される広告であり、ユーザーのタッチポイントとしては、検索広告系の次に効果の高い広告です。Meta広告でも特に力を入れるべきは「リマーケティング」です。リマーケティングとは、一度広告のページやECサイトに訪れた方に対して、繰り返し訴求する広告のことです。
特にMeta広告の場合は、Instagramでインフルエンサー施策とあわせて、以下のように施策を実施するのが効果的です。
◆Meta広告のリマーケティングの例
② Instagramでリマーケティングも設定
③ 多くのユーザーがインフルエンサーの紹介によってECサイトやLPに訪れる
④ その後サイトに訪れた人にリマーケティングによって繰り返し訴求
単にリマーケティングを行うだけでも良いのですが、それだとCV数を明確に増やすことはできませんので、リマーケティングを行う際は、他の露出が大きくなる施策とあわせて行いましょう。
また、Facebook広告もターゲティングが細かく設定できるため効果の高い広告ですが、同じクリエイティブを使い続けると効果が落ちてくるので、効果が落ちてきた際はクリエイティブを変更してみましょう。
広告③ Google広告とYahoo!広告
Web広告で最も基本的な広告が、Google広告とYahoo!広告です。配信先は主に以下の2つとなります。
◆Google広告とYahoo!広告の配信先
・提携先のディスプレイ広告(リマーケティングを含む)
◆Google広告とYahoo!広告のターゲット層の違い
Google広告 | Yahoo!広告 | |
ターゲット層 | 若い層からシニアまで幅広い | 特に40代以降のシニアや主婦層 |
ターゲットのリテラシー | デジタルに強い | デジタルにあまり強くない |
デバイス | スマートフォンがメイン | スマートフォンがメインだが、 PCもGoogle広告に比べて多い |
出典:筆者の経験により、独自に作成
これらの広告は、もともとは費用対効果が高かったのですが、多くの企業がWebに進出したこともあって広告費が高騰しており、費用対効果が高いとは言い難くなってきた印象があります。特に利幅の小さいECサイトへの広告出稿とは相性が良くないといえます。
ですから、予算がないEC事業者の場合は、以下のようなルールを設けて広告費を抑えて利用しましょう。
・ターゲット層が合う方のみ出稿する
また、リスティング広告の運用を外部に委託することが一般的ですが、自社で運用すれば費用対効果を高くすることができるので、予算が少ないEC事業者は、まずは自社運用を実施してみましょう。
ノウハウはGoogleのコールセンターに問い合わせることも可能です。
広告④ Twitterダイナミック広告
Twitterダイナミック広告は、商品データに基づき自動でクリエイティブを生成するTwitter広告(X広告)のフォーマットのことです。
これにより、ユーザーの以下のようなサイト行動履歴を基に、パーソナライズされた広告を動的に配信できます。
◆行動履歴
・自社ECサイトで購入に至っていないユーザー
・自社ECサイトで複数の商品を閲覧したユーザー
また、自社ECサイトに訪問歴がないユーザーに対しても、興味関心がありそうな商品を配信します。特徴的なのは、広告が商品データをもとに自動生成されるため、個別のクリエイティブ作成が不要であることです。
Twitterダイナミック広告は以下のようなカルーセル形式で表示されます。
◆カルーセル形式
出典(画像):Xビジネス「Twitterのカルーセル広告」
このように、1つの広告に複数の写真や動画を掲載して、スライドショー的に見せることができる形式で、アパレルや家具・雑貨などを扱うEC事業者に適している広告です。
筆者の主観ですが、Twitter(X)ユーザーはInstagramユーザーのような広いライト層向けというよりも、より深い情報を常に求めているコア層が多いSNSという印象があります。
そのようなユーザーに支持されており、デザインだけではなく機能性をクリエイティブで訴求することができれば、より効果的になります。
広告⑤ インフルエンサーとのタイアップ広告
競合環境が激化したこととSNS利用者が増えたことにより、広告効果は弱くなりSNSの影響力が強くなってきております。特に化粧品業界においては、Web上の口コミよりも、SNS上の口コミの影響が増しております。
◆数年前までのWeb上の比較検討要素
・2015年頃までの比較検討メディア
・2023年の比較検討メディア
例えば若い主婦が、化粧品がなくなりそうなタイミングや、季節が変わったタイミングで新しい化粧品を求めるようになりますが、筆者が5人の女性(20~40代)にヒアリング調査を実施したところ、5人中4人がInstagramのインフルエンサーの投稿や化粧品ユーザーの投稿をもとに新しい化粧品を探すことが分かりました。
このようなことからも、InstagramなどのSNSの影響力は非常に強くなっているのです。特に、化粧品業界においてはインフルエンサーの影響力は絶大なものがあります。そこで利用するのがタイアップ広告です。
◆インフルエンサーとのタイアップのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・タイアップ広告とはいえ、第三者的に見える
・インフルエンサーは「いいね」や「保存」「コメント」が集まりやすく、SNSのアルゴリズムで優遇されやすく露出力がある ・短期間で効果が出せる |
・費用が高い
・インフルエンサーの管理が難しい ・世界観が異なる露出をされる可能性がある ・何かがキッカケで炎上するリスクがある ・ステマ規制を遵守する必要がある |
インフルエンサーのタイアップ広告の相場は、数十万円から、影響力の高いインフルエンサーによっては100万円を超えるケースもあります。インフルエンサーとの交渉などに手間がかかりますが、相性の良いインフルエンサーを見つけて信頼関係を築くことができれば、高い広告効果が期待できます。
また、Instagramの場合、タイアップ広告を広告として使うことができたり、あるいはリマーケティングを併用できるので、より効果は高まります。
手間がかかる施策ほど広告効果が期待できる
本日は、EC事業者が利用するショッピング広告からインフルエンサー広告まで幅広く紹介しましたが、おそらくショッピング広告、Google広告などは多くの事業者がすでに着手しているでしょう。
しかし、インフルエンサー広告はいかがでしょうか。まだ実施していないという方が多いと思います。
競合他社に勝つポイントは、手間がかかりそうな施策にも着手することです。インフルエンサーとのタイアップはインフルエンサーを探したり、交渉したりと非常に労力がかかりますが、相性が良いインフルエンサーを見つけて工夫を重ねることで、高い広告効果が得られるでしょう。
また、広告に限らず、SEOブログの執筆やSNS投稿など、他の会社がやらないようなことにヒントがあります。予算が少ない事業者は、熱意を持ってこのような手間のかかる施策を積極的に実施していきましょう。
なお、株式会社インターファクトリーでは、EC支援サービス「ebisu growth」にて、皆さまのEC事業の継続的な成長を支援しております。
今回紹介した5つの広告運用はもちろん、ECの売上を伸ばすための実践的なマーケティング施策をお考えの方は、ぜひ本サービスをご検討ください。詳しくは下記公式ページをご覧ください。