「Webルーミング」とは、消費者がオンラインで商品情報を調べた後、実店舗でその商品を購入する行動を指します。例えば、「枕」が欲しいと思ったユーザーが、インターネットで事前に枕の価格や口コミを調べた上で、最後に店舗で実物の枕を実際に試してから購入に至る行動を指します。
Webルーミングは、主に高級商材や家具や寝具など、実物を見てから購入することが多い商品においてよく見られるユーザー行動であるのに対して、家電や日用品など、どこで買っても品質があまり変わらない商品では起こりづらいユーザー行動と言えます。しかし、家電などではWebルーミングとは逆の意味の「ショールーミング」が行われ、店舗で確認した商品をWebで最安値で購入するユーザー行動があります。
この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、Webルーミングについて詳しく解説します。
Webルーミングを図で解説
それでは、図を使ってWebルーミングを解説します。以下をご覧ください。
◆Webルーミングの図解
出典(画像):筆者作成
このように、Webルーミングとは「ECサイト」や「口コミサイト」など、インターネットで商品を事前に確認して、店舗で実物を実際に確認してから購入することです。また、これとは逆の行動「ショールーミング」もあります。以下の図解をご覧ください。
◆ショールーミング(Webルーミングと逆のユーザー行動)
出典(画像):筆者作成
ショールーミングは、店舗にとっては売上が下がる行為であり、例えば、店舗で家電製品をチェックして、その後、口コミサイトで最安値を探してECサイトで購入する行為のことです。Webルーミングとは逆の行動として、覚えておきましょう。
Webルーミングをするユーザーは、なぜ商品をECサイトで購入しないのか?
では、ユーザーはなぜそのままECサイトで購入しないのでしょうか?以下のようなことが考えられます。
◆Webルーミングをするユーザーの気持ち
・送料がもったいない
・店舗でのポイントの恩恵を受けたい
・店員からアドバイスを受けたい
・すぐに商品が欲しいため配送を待っていられない
もし、ECサイト専業でサービスを実施している企業の場合、ユーザーがWebルーミングを実施し、競合にあたる店舗で購入されてしまうと、ECサイトの売上が下がる要因となるので、Webルーミングをさせずに、ECサイトでの購入を促す必要があります。
では次に、ECサイト専業の会社がどのようにWebルーミングを防ぐかについて解説します。
Webルーミングを防いでECサイトの売上を伸ばす5つの方法
それでは、ECサイト専業の会社向けにWebルーミングを防いで売上を伸ばす5つの方法について詳しく解説します。
方法② 送料無料を実施する
方法③ 会員登録するメリット訴求をしっかり行う
方法④ ユーザーとコミュニケーションをとる工夫をする
方法⑤ ECサイトに商品情報を豊富に掲載する
方法① バーチャルトライオンなどのAR技術を利用する
ARを利用したバーチャルトライオンサービスを自社サイトに導入することで、商品を疑似体験することができます。下記をご覧ください。
◆JINSアプリのメガネ試着機能
出典(画像):「JINS公式アプリ」の試着機能を使用したメガネ試着時の画面を使用して筆者が作成(モデルは筆者)
メガネブランドのJINSでは、スマホのアプリ上で、自分の写真と商品のメガネを合成して擬似的に試着することができます。アパレルや化粧品業界では、このようにAR技術を活用したバーチャルトライオン機能をECサイトに実装することで、実店舗に行かなくても実際に近い形で商品を試すことができるようになるため、Webルーミングの防止につながります。
バーチャルトライオンについては、以下の記事で詳しくまとめてあるので、多くの企業のAR技術を確認してみてください。
バーチャルトライオンは敷居が高く感じるかもしれませんが、株式会社メイキップの「unisize」など、バーチャル試着のSaaSサービスが提供されておりカンタンに導入することができるので、試してみましょう。
方法② 送料無料を実施する
Webルーミングを実施する人の中には「ECでの買い物は送料がもったいない」と考える方が非常に多いです。そのため、Webルーミングを防ぐためにも送料無料を実施してみましょう。
全ての商品で送料無料を実施するのは難しいと思うので、例えば以下のような条件をつけて送料無料を実施するだけでも、Webルーミングの防止につながります。
◆送料無料の条件
・●●円以上ご購入の方
・2点以上お買い上げの方
このような条件をうまく利用すれば、Webルーミングの防止に加え、クロスセルにつなげることも可能です。特に若いユーザーほど、送料無料のECサイトをよく覚えているものです。サイトへのアクセス数が多いのに、CV数が少ないという方は試してみてください。
方法③ 会員登録するメリット訴求をしっかり行う
ECサイトで商品を購入するユーザーに、
「店舗で買えばポイントが付く……」
と思わせないようにする取り組みが重要です。そのために、ECサイトの会員になるメリットをしっかり訴求して、ECサイトで購入することがお得であると思ってもらう必要があります。例えば、以下のようなものです。
◆会員限定メリット
・ポイント・クーポン制度
・会員限定セール
このようなメリットを訴求することで、「店舗で買った方が得するかも」とユーザーに思われる可能性が低くなるはずです。そして単にメリットを打ち出すだけでは不十分です。
一度だけ露出しても、ユーザーがメリットに気が付かない可能性があるため、以下の場所で繰り返し訴求する必要があります。
◆メリット訴求するページ
・カテゴリページ
・各商品ページ
方法④ ユーザーとコミュニケーションをとる工夫をする
店舗の魅力の一つは、スタッフとのコミュニケーションにあります。スタッフがいれば、おすすめの商品や人気の商品など教えてくれるだけではなく、商品の機能の説明を受けることができ、購入意欲を高めることができます。
ECサイトでは、ユーザーとスタッフが対面でコミュニケーションをとることはできません。しかし、ECサイト上でも、以下のようなWeb接客によりユーザーとコミュニケーションをとることは可能です。
◆ECサイト(オンライン)上でユーザーとコミュニケーションを取る手段
・企業LINEアカウントを設置する
・XやInstagramアカウントを設置する
・ユーザーレビュー欄で交流する
・電話やメール問い合わせ
ユーザーとの接点が少ないECサイト上においてこそ、ユーザーとコミュニケーションを活発化させることで、ECサイトでの購入は大きく促進されます。
方法⑤ ECサイトに商品情報を豊富に掲載する
ユーザーが、ECサイトではなく実店舗を選んでしまう根本的な理由は、店舗で商品を最終確認して「確信を得たい」といった消費者心理にあります。確信を得る方法としては、以下のようなものがあります。
◆ユーザーが商品に対して「確信を得る」方法
・店員に詳しい話を聞きたい
・実際に触って確認してみたい
しかし、ECサイト上で豊富に情報展開することで、オンライン上でユーザーが「確信を得る」ことができれば、Webルーミングを防止することができます。そのために、ECサイトやWebサイトに以下のような情報を設置すべきです。
◆ユーザーの確信を促す情報
・その商品に関する豊富な体験談や使用写真
・商品に関するブログ
・たくさんのユーザーレビュー
これらを増やすことで、ユーザーはインターネット上でも「確信を得る」ことができ、Webルーミングを防止し、自社ECサイトで商品を購入してもらうことができるのです。
Webルーミングは一定数発生し防ぎようがないが、あらゆるチャネルで情報発信をすることでWebルーミングを利用して売上を増やす
インターネット上で情報を集めて実店舗で購入するユーザー行動は、筆者自身もよく行う行動でもあり、防ぎようがありません。
しかし、Webルーミングを行うユーザーは、店舗で購入するまでにインターネット上で少しでも多くの情報を集めようとします。一つのサイトだけでなく、多くのサイトで商品をチェックするユーザーも少なくありません。
そのため、ECサイトで販売する以上はあらゆるチャネルで情報発信を広げて、自社のECサイトの商品に気付かせるべきでしょう。
◆各チャネルで情報発信して、Webルーミング中のユーザーに自社商品を気付かせる
・YouTube
・ブログコンテンツ
そうすることで、Webルーミングを行っているユーザーの何人かが、あなたのECサイトに気が付き、あなたのECサイトで購入してくれる可能性が出てくるのです。そのために、あなたのECサイトや商品で差別化を図ったり、確信を得られるように工夫する必要があります。
まとめ
EC専業の事業者もWebルーミングをネガティブにとらえず、自社のECサイトで購入させる気持ちを強くする商品訴求や、ECサイト作りを実施することが大切です。本来、店舗で購入しようとしていたユーザーに、ECサイト上で購入してもらうことができれば、今後は優良なリピーターになってくれる可能性もあります。
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