ECサイトとは、インターネット上で買い物ができるWEBサイトのことです。Amazonや楽天、ZOZOTOWNもネットで買い物できるサイトは、すべてECサイトです。そもそもECとは「electronic commerce(エレクトロニックコマース)」の略で、電子商取引のことを指すのです。
「ECサイトって会議で話題に出てきたけど、何だろう?」
「そもそもECってなんだけっけ?よくわからない!」
社会人や就職活動中の方なら一度は聞いたことある“ECサイト”という言葉ですが、なんとなく知っていても、ECサイトを他の人に説明できるほど詳しくはないですよね?
そこで本日はインターファクトリーでマーケーティングを担当している筆者がECサイトを理解するためのメリット・デメリットや、ECサイトの種類について詳しく解説いたします。
ECサイトの利用率は右肩あがりの巨大市場
下記は、物販のBtoCのEC市場の伸び率を示すグラフですが、2023年度は14兆円を超える市場規模です。しかも、毎年成長しつづけてていることが下記のグラフからわかると思います。
◆物販系分野のBtoC-EC市場規模およびEC化率の推移
そして、「EC化率」に注目してください。EC化率とは、全商取引においてECによる取引が占める割合を指します。国内のBtoC市場は、右肩上がりの市場にも関わらず、EC化率がたった9.38%(2023年)ですから今後のポテンシャルは非常に大きなものです。
また、上記は物販系分野のEC市場推移ですが、サービス系分野やデジタル系分野のBtoC-EC市場について見てみると、下記の比較表が示す通り、コロナ禍にはサービス系分野が大きく落ち込んだもののV字回復傾向にあり、2023年にはいずれの分野もコロナ前を超える市場規模に成長しています。
◆サービス系、デジタル系分野のBtoC-EC市場規模の推移
このような背景を鑑みて、これからECサイト事業を考えているなら大きなチャンスですし、転職活動でEC業界を目指しているのなら、非常に魅力的な業界です。
それでは、EC市場から、具体的にECサイトとは何か?を解説します。
グラフ引用:経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」
ECサイトをメリット・デメリットから理解する!
おそらくECサイトが何かよくわからない人でも、誰もが、インターネットで買い物する時代ですから、Amazonや楽天で買い物をしたことがあるのではないでしょうか?しかし、当たり前のものほど、言葉で説明するのは難しいものです。ですから、まずはECサイトのメリットとデメリットを整理してみましょう。
◆ECサイトの5つのメリット
メリット① どこでも買い物ができる
メリット② 24時間365日営業することができる
メリット③ 店舗や販売員が必要ない
メリット④ 日本中が商圏になる
メリット⑤ ECサイトを外国語対応をすれば、世界中に販売することができる
◆ECサイトの5つのデメリット
デメリット① 実際に商品を確認ができないから、届いた実物とイメージが異なることも
デメリット② 配送に時間がかかる
デメリット③ ライバルが多い
デメリット④ ECサイトへの集客が難しい
デメリット⑤ IT知識が必要となる
ECサイトの5つのメリット
メリット① どこでも買い物ができる
4Gのエリア拡大や、5Gが普及するなど通信環境も格段によくなっており、スマートフォンやパソコンがあれば、自宅でも電車の中でもユーザーは好きな場所で買い物をすることができます。
また、Amazon等のECサイトでは「履歴から購入」する機能もあるので、繰り返し購入する際などは、ボタン一つで商品をカンタンに購入することができます。
メリット② 24時間365日営業することができる
ECサイトは、人手を介しませんから24時間いつでも、商品をインターネット上で販売することができます。実際に深夜にECサイトで買い物をする人が多く、実店舗であれば深夜営業を行うのは大変ですが、ECサイトは時間を選ばず、ユーザーが望む時間に商品を販売することができます。
例えば、赤ちゃんが生まれたばかりのママさんは、赤ちゃんが寝ついた深夜にネットで買い物する傾向があるので、夜型の人にはECサイトは重宝されており、ECサイトであれば商機を最大限に活かすことができるのです。
メリット③ 店舗や販売員が必要ない
先のメリットと似ていますが、ECサイトがあれば商品を販売するのに店舗も販売員も必要ありません。
実際に店舗を構えるとなると、レジや商品陳列のためのスタッフも必要になりますが、ECサイトがあれば、商品を並べるスペースも必要ありませんし、人の手も介さずに商品を売ることができます。
ECサイトも簡単に作れるようになった今、商品さえあれば、個人でもすぐにネット上でショップをオープンできるのです。
しかし、実際には注文後に在庫確認や発送手続きなどのバックエンド作業には人手を介して行うことになりますし、ユーザーから問い合わせがあれば、メールや電話で対応しなくてはなりません。また、ECサイトは作っただけでは誰も訪れてくれないので、ECサイトを宣伝する活動が必要になり、マーケーティング担当が必要になります。
メリット④ 日本中が商圏になる
実店舗であれば、商圏は店舗のあるエリアに限られます。例えば、目黒に店舗を構えてオリジナルの帽子販売を行っても、目黒に住んでいる人か、そこを通った人にしか商品を売ることができません。
しかし、ECサイトであれば、北海道から沖縄、さらには離島まで日本全国が商圏になり、マーケットが店舗よりも遥かに巨大になります。
メリット⑤ ECサイトを外国語対応をすれば、世界中に販売することができる
ECサイトの表記を外国語対応することで、全世界をマーケットにすることができます。
あらゆるジャンルで日本製品は海外でも高い人気があります。例えば、包丁や刃物を研ぐ”砥石”は、日本製が最上級とされており、こういったものを外国語対応したECサイトで販売すれば、大きなビジネスチャンスとなるはずです。
海外から注文が入った場合は、EMS(国際スピード郵便)を使うことで、発送することができますが、海外に送付する場合は送料が高くなり、例えば500グラム未満のものをアメリカに送付すると送料だけで2,000円かかります。
ECサイトの5つのデメリット
デメリット① 実際(見る・触る・着る)商品を確認ができないから、届いた実物とイメージが異なることも
ECサイトの最大のデメリットは、実際に見て確認することができない点です。
例えば、ファッション商品は実店舗だと試着して自分の体形やセンスにあうものを選ぶことができるため、納得したものを買うことができます。しかし、ECサイトの場合は、写真や商品説明があるとはいえ、イメージをつかみにくいことがあり「うーんサイズが大きいな〜」、「思ったより色が濃いな〜」と商品にガッカリすることもあるでしょう。
こういった点を少しでも改善するために、写真を豊富に掲載したり、あるいはZOZOスーツのようにユーザーの体形を詳細に採寸するスーツが開発されており、こういった点は技術革新で少しずつギャップが小さくなりつつありますし、NIKEのECサイトは1商品1回までサイズや色の変更による返品が自由な仕組みがあります。
デメリット② 配送に時間がかかる
ユーザーは、何かを購入した時に「すぐ欲しい」と思うものです。しかしECサイトは配送の時間があるため、すぐには手に入りません。モノやサービスによりますが、一般的なECサイトでの買い物は家に届くまでに2〜4日待たなくてはなりません。
この点は、Amazonプライムやヨドバシエクストリーム便などの翌日配送サービスが少しずつ出現しており、ユーザーの利便性が高まってきておりますが、日本では物流の人手不足が深刻化しており、解決には時間がかかります。
さらには、物流・運送業界の「2024年問題」もあり、配送に関する課題は複雑化、深刻化する一方であるのが現状です。
デメリット③ ライバルが多い
実店舗の場合、エリアを選べば、ライバルが存在しない地域も数多くあるでしょうが、ECサイトはそうはいきません。下記画面をご覧ください。例えばあなたが「オシャレな椅子」とGoogle検索したとしましょう。
◆「おしゃれな椅子」でGoogle検索した画面
広告や検索結果がたくさん出てきます。つまりこれらの会社全てがライバルです。
「おしゃれな椅子」を扱うEC事業者やサービスは全国にいます。そして、Googleの検索結果はライバル業者で溢れていますし、「楽天」や「価格.com」などの有力サイトは、Googleの検索結果で上位に出てきます。その中で、自社の商品を売るには、SEOと呼ばれる検索結果で上位に行くために施策や、マーケーティング活動が必要になります。
デメリット④ ECサイトへの集客が難しい
実際の店舗であれば、販売経験者でなくとも、チラシを作成したり、目立つ看板を作ったり、店の前で呼び込みを行うなどの集客方法を実践することができますが、ECサイトの集客方法は、経験者でないと実践が難しいのです。
なぜならSEOという、Googleの検索結果で上位にいくための施策や、リスティング広告を行うには、高いITリテラシーを必要とし、実際の店舗の集客活動のように誰でもできるものではありません。
そして、ECサイトはライバルがあまりに多いために、ECサイトを作るだけでは、誰もサイトに訪れてくれないため、ECサイトで一番大変なのは集客なのです。
デメリット⑤ IT知識が必要となる
店舗であれば、全くの未経験者でも「買い物」をユーザー側からした経験があるため、未経験でも、ある程度の接客をすることもできますし、会計も現金であればこなせるでしょう。
ECサイトを運営する場合は全くITが苦手であったり、ITが苦手な高齢の方の場合は、すぐにECサイト運営をすることができないため、ECを運営する場合は最低限のIT知識が必要となります。
ただし、深いIT知識が必要というわけではなく、例えばFacebookのプロフィールを自分で作れたり、ExcelやWordが使えるくらいのIT知識で十分です。
ECサイト種類は3種類!
どれも同じに思うかもしれないECサイトですが、以下の3種類があります。
① 自社ECサイト
② ショッピングモール出店型(例:楽天)
③ ショッピングモール出品型(例:Amazon)
もし、ECサイトで商品を売ることを考えているのなら、それぞれの方法にはメリットやデメリットがあるので、それを踏まえて最も良い方法を選ぶ必要があります。それでは、ひとつずつ解説してまいります。
① 自社ECサイト
これは自社で運営するECサイトのことを指します。有名な自社ECサイトでは、下記のようなサイトがあります。
◆ヨドバシ.com(https://www.yodobashi.com/)
◆ユニクロ(http://www.uniqlo.com/jp/)
これらのサイトは自社製品や、自社で仕入れた製品を販売するサイトです。自社ECサイトには下記のメリットとデメリットがあります。
◆自社ECサイトのメリット
✔ブランディングしやすい
✔集客施策を自由にできる
✔ECサイトのデザインが自由◆自社ECサイトのデメリット
✔集客が大変
✔システムは自社対応
✔有名企業でないとサイトの信頼力が弱い
つまり、自社サイトは自分達で好きなように作れるのですが、その反面、集客も自分達の労力で行わなくてはなりません。有名企業の自社サイトの集客はすでにブランド力があるため、何もしないでも集客ができますが、有名企業でない場合は、ECサイトに誰も訪れないので、WEBマーケティングが行わないと売上が上がりません。
※ECサイトのWEBマーケーティングについては、他のブログで過去に書いたので下記の記事をご覧ください。
ECサイトを作るのはカンタンですが、集客が大変なのです。この点が対比されるのが、ショッピングモールです。次にショッピングモールを解説いたします。
② ショッピングモール(出店型)
楽天市場のように、いろんな店舗が参加しているショッピングモールのことです。テナント型とも言われます。
◆楽天市場(https://www.rakuten.co.jp/)
◆Yahooショッピング(https://shopping.yahoo.co.jp/)
楽天やYahoo自体に売り物はなく、ショッピングモールに参加している店舗の商品を販売している形です。決まったルールの中ですが、デザインや商品説明を編集することが可能です。
◆ショッピングモール(出店型)のメリット
✔ショッピングモールに集客力がある
✔システムはショッピングモールまかせ
✔楽天やYahooショッピングなどのモールは信用力が高い◆ショッピングモール(出店型)のデメリット
✔初期費用や月額料金がかかる
✔お店のブランディングがしにくい
✔デザインに大きな制限がある
有名ショッピングモールに出店すると、数百万人~数千万人という多くのユーザーを囲っているため、集客に苦労せず、最初から売上を上げることが可能です。ECサイトで一番大変なのが集客ですから、この点は大きなメリットです。
しかし、これらのショッピングモールに出店すると、楽天の場合、初期費用や月額料金がかかり、出店料が無料のYahooショッピングの場合は注文が決まる決済のタイミングで、マージンを支払う仕組みになっており、出店のための維持費用がかかるのが大きなデメリットとなります。
各ショッピングモールについて、詳しく知りたい場合は、私が書いた下記の記事をご覧ください。
③ ショッピングモール(出品型)
Amazonのように、お店ではなく出品という形で、販売するショッピングモールのことです。マーケットプレイス型とも呼ばれます。
◆Amazon(https://www.amazon.co.jp/)
◆ショッピングモール(出品型)のメリット
✔ショッピングモールに集客力がある
✔システムはショッピングモールまかせ
✔Amazonなどショッピングモールは信用力が高い◆ショッピングモール(出品型)のデメリット
✔初期費用や月額料金がかかる
✔ユーザーは「Amazonで買った」という意識になりブランディングできない
✔見せるのは商品のみで、価格競争になりやすい
Amazonのようなショッピングモールは、社会インフラに匹敵する強力な集客力があります。多くのユーザーが利用するため、価格の安い商品はカンタンに売れるでしょう。商品が売れる度にマージンをAmazonに支払う仕組みになります。
Amazonのような出品型の最大のデメリットは、お店のブランディングができない点です。
以下はAmazonの商品の画面ですが、これはAmazonが仕入れた商品ではなく、Amazonに参加した企業の商品です。
◆AmazonでNIKEの靴を見ている画面
お店の情報がなくユーザーからすると、「Amazonで買った!」という意識になるため、ブランディングを行うことができず、リピーターを増やすことができません。そうなると、常に新規の売上だけで利益を上げなくてはなりません。
個人でECサイトを作るのはカンタン!「無料ASP」で最短30分の作成も可能!
ECサイトを個人で作るのは難しいことではありません。BASEやSTORESという無料のASPサービス(ブラウザーで管理できるシステム)を使えば、誰でもすぐにECサイトを持つことができます。具体的には下記の3ステップです。
◆無料ASPサービスでECサイトを作る3つのステップ
① メールアドレスやパスワードとURLの登録
② 商品の登録
③ 用意されたテンプレートの中からデザインを決める
商品の写真や説明文があれば、30分以内にECサイトを作ることができます。個人はもちろん、企業がちょっとしたECサイトを持つ場合にも使うことができます。
中・大規模ECサイトを作るならシステムが最新に保たれる「クラウドEC」がおすすめ!
中・大規模のECサイトを構築する際には、以下の2つの選択肢があります。それぞれにメリットがありますが、特性を理解した上で選ぶことが重要です。
◆中・大規模ECサイトの構築方法
・パッケージEC
・クラウドEC
パッケージECは、ECに必要な機能があらかじめ実装されたシステムを基に、業務フローに合わせたカスタマイズが可能です。これにより、基幹システムや物流システムとの連携が柔軟に行える点が魅力です。さらに、ゼロからオリジナルで構築するフルスクラッチ開発に比べて費用や開発期間を抑えられるため、多くの企業で採用されています。
しかし、システムが古くなりやすいという課題があり、3~5年ごとにリニューアルが必要になるため、長期的にはコストと手間がかかる場合があります。
一方、クラウドECは、パッケージECのカスタマイズ性とASPのような自動更新の利便性を兼ね備えています。常にシステムが最新にアップデートされるため、リニューアルの必要がなく、中・長期的には費用対効果が非常に高いのが特徴です。最新技術やセキュリティが継続的に適用されることで、安心して運用することができます。
システムを自社で完全に管理したい場合には適さないケースもありますが、多くの企業にとってクラウドECは柔軟で持続可能な選択肢といえます。
これらを踏まえると、長期的な運用やコストの最適化を目指す中・大規模のECサイトには、クラウドECが最適です。
なお、中・大規模のECサイトの作り方などは、下記の記事で詳しく解説しているので、ECサイトの種類や手法を全て把握したい場合は下記の記事をご覧ください。
ECプラットフォーム企業の「株式会社インターファクトリー」は人材を募集中!
弊社インターファクトリーは、ECプラットフォーム事業を行っておりマザーズに上場している企業です。
弊社では、主にITエンジニアの人材を募集しております。詳しくは下記URL先より、最新の募集要項を確認してみてください。新卒も中途も募集中です。
※時期によっては募集していない時期もございます。まずは上記のリンク先で最新の情報をご確認ください。