【最新版】アパレル業界を目指す方が知るべき市場規模や平均年収

「服が好きだからアパレル業界に興味がある!」
「アパレル業界は、将来性があるのだろうか?」

など、ファッションブランドが大好きという方には気になる業界だと思います。

アパレル業界は、1990年代と比べると市場規模が約3分の2になるなど、規模が縮小している業界ですが、アパレル業界を目指すならネット販売(アパレルEC)に力を入れている企業や事業部がおススメです。

なぜなら、アパレル市場の中で、ネット販売は右肩あがりの成長部門です。特に、アパレル市場はネット販売(EC)と相性が悪いとされながらも、オムニチャネルやWEB接客、バーチャル試着など、各社とも様々な施策の取り組みによりEC利用率を高め、EC利用を促進するための様々なサービスやソリューションが誕生しました。

その結果、物販分野全体で見ても高いEC利用率を誇る市場に成長したのです。

このことから、アパレル業界におけるネット販売のノウハウは他の業種でも大いに活かすことができるのは間違いありません。

本日はインターファクトリーで、シニアアドバイザーを担当している筆者がアパレル業界について詳しく解説いたします。

アパレル業界の市場規模は8.3兆円!(2023年)

データ引用先:株式会社矢野経済研究所 プレスリリース「国内アパレル市場に関する調査を実施(2024年)

株式会社矢野経済研究所の調査データによると、2023年のアパレル業界の市場規模は8兆3,564億円です。2020年にコロナ禍を迎えて市場規模は急激に落ち込みましたが、徐々に回復している傾向が見られます

◆国内アパレル総小売市場規模推移(単位:億円)

国内アパレル総小売市場規模推移(〜2023)

しかし、1990年には15兆円を超えていた市場が、10兆円以下にまで縮小しており、この市場規模から考察すれば、アパレル業界は今後も伸びて行く市場というよりも、緩やかに減少していく市場と言えます。

下記リンク先の大前研一氏の考察によると、国内のEC市場が減少した理由は4つあります。

引用リンク:アパレル市場の”3分の1″が消滅した理由

① デート着という「おめかしカテゴリー」の消滅
② 消費行動がリアルから「ZOZOTOWN」などのECに変化してきた
③ メルカリなどの中古衣料流通市場の誕生
④ ファッションレンタル業の流行

大前氏はひと昔前は、女性はおめかし(現代の言葉では勝負服という感じでしょうか?)服を着て、デートに行ったものですが、現在ではオフィスに行く服で、そのままデートに向かう女性が多く、おめかしという考え方そのものが、無くなったために市場縮小につながったと主張しております。

確かにバブル期や1990年代に比べると、服に対しての価値観というか、ウエイトはずいぶん軽くなったと筆者も考えます。

また、アパレルブランドでも「高級ブランド」と「ファストファッション」の間にセグメントするブランドは苦境が続いています。

例えば、筆者が20代のころにあこがれたファッションブランドの「トランスコンチネンツ」は、1990年代は、多くの若者に支持されたブランドでしたが、2000年に入ると急激に業績を悪化させ、商標権の売却が複数回行われたのも一つの証左だと思います。

参考リンク:再復活「トランスコンチネンツ」はるやま商事が出店開始 1号店は銀座に

そして縮小が続くアパレル業界の中で好調なのが「ネット販売」です。下記のグラフをご覧ください。

◆アパレルECの市場規模推移

青色の棒グラフ=>市場規模(単位:億円)
オレンジ色の折れ線グラフ==>EC化率(単位:%)

アパレルECの市場規模推移(〜2023)

出典:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より筆者作成

EC市場規模は堅調に推移している中、コロナ禍に入った2020年には実店舗の売上が急激に落ち込んだ分、相対的にEC化率が大きく伸長し、以降も市場は拡大傾向にあります。

また、下記の表はBtoC-EC市場規模とEC化率を物販分野全体で比較したものです。

◆物販系分野のBtoC-EC市場規模 

物販系分野のBtoC-EC市場規模(2023年)

引用:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

アパレル業界のEC化率は、物販分野全体の平均EC化率である9.38%を大きく上回る22.88%となっており、他業界と比べても比較的高いEC化率を持っています。

このように、アパレルEC(ネット販売)は好調で右肩上がりですが、リンク先の私が書いた記事にもありますが、アパレルECにも5つの課題があります。(下記リンク先は筆者の記事です。合わせてご覧ください)

引用リンク:【2024年版】アパレルECの市場規模と5つの課題をプロが徹底解説

◆アパレルECの5つの課題

① アパレル店舗が多いためECの必要性が薄い
② ECではサイズがわかりにくい
③ ECモールへの依存
④ 在庫の一元管理ができていない
⑤ メルカリなどCtoCの隆盛

こういった課題を解決し、リアルとECの顧客データの一元管理することがポイントです。

データを一元管理することで、ユーザーは店舗でもECでも、好きな服を買うことができ、利便性が高まります。データの一元管理はシステム的なハードルは高いですが、データの一元管理に成功した会社が、アパレル業界でも勝ち組に入ることができるのです。

それでは、アパレル各社の売上ランキングを解説いたします。

【ベスト50社】アパレル業界の売上ランキング(2022-2023年)

データは、下記サイトより引用させていただきました。インターネット上であらゆる業界のランキングがわかりやすくまとまっているので、あわせてご一読ください。

データ引用先:アパレル業界 売上高ランキング(業界動向サーチ)

順位 企業名 売上
1 ファーストリテイリング 2兆3,011億
2 しまむら 6,161億
3 アダストリア 2,425億
4 ワールド 2,142億
5 ワコールHD 1,885億
6 青山商事 1,835億
7 良品計画 1,827億
8 AOKIホールディングス 1,761億
9 オンワードHD 1,760億
10 西松屋チェーン 1,695億
11 パルグループHD 1,644億
12 TSIホールディングス 1,544億
13 グンゼ 1,360億
14 ユナイテッドアローズ 1,301億
15 ストライプインターナショナル 1,008億
16 赤ちゃん本舗 801億
17 コナカ 631億
18 マツオカコーポレーション 627億
19 バロックジャパンリミテッド 588億
20 三陽商会 582億
21 クロスプラス 570億
22 ハニーズHD 548億
23 ルックHD 546億
24 ライトオン 482億
25 サックスバーHD 472億
26 はるやまHD 368億
27 ナルミヤ・インターナショナル 349億
28 イトキン 326億
29 ダイドーリミテッド 282億
30 サマンサタバサジャパンリミテッド 252億
31 アツギ 205億
32 MRKホールディングス 195億
33 ヤマトインターナショナル 193億
34 TOKYO BASE 191億
35 マックハウス 184億
36 パレモ・HD 175億
37 タビオ 152億
38 コックス 148億
39 東京ソワール 142億
40 シャルレ 132億
41 ナイガイ 127億
42 タカキュー 119億
43 山喜 113億
44 ムーンバット 95億
45 クラウディアHD 95億
46 キング 84億
47 YU-WA CreationHoldings 83億
48 セキド 70億
49 シーズメン 63億
50 ANAP 50億

圧倒的な1位はユニクロです。2024年8月の決算資料では、海外ユニクロの店舗数が1,698店舗、国内ユニクロ店舗が797店舗と、海外店舗が国内店舗数の2倍近い数に達しているとし、ユニクロの今後一層のグローバル戦略の強化を強調しております。

またユニクロは早くからECサイトにも力を入れ続けており、店舗にない商品(色やサイズ)に関しては、ECサイトへユーザーの誘導を強めたり、あるいはECサイトで購入した商品を、指定の店舗で受け取れるようにするなどのオムニチャネル施策を展開しています。

ユニクロの2023年8月期の国内EC化率は15%となっており、今後も店舗とEコマースを融合したサービスの拡充やライブコマースなど、情報発信基盤としての役割を強化していくとしています。

参考リンク:店舗数2023年8月期 統合報告書(ファーストリテイリング)

2位のしまむらは、グループ会社を入れて2,000店舗を超す店舗網があり、多品種少量生産による「売り切り」のスタイルで収益をあげてきました。しかし、近年は取り扱い品種を絞り、在庫を抱えるモデルに変更しつつあります。(私の主張は下記リンクを参考にしました。良記事です。)

リンク引用:しまむら、突然に深刻な売上減突入…「しまむららしさ」消失、しまパトの楽しみ奪う

また、昨今ではオンライン限定商品の展開や予約販売システムの導入などの自社ECの強化や、公式YouTubeやInstagramといったSNSの活用など、デジタル施策に注力し売上を高めております。

EC購入品の店舗受け取りなどのオムニチャネル施策も積極展開し、実際に2024年2月期決算においては、EC購入品の店舗受取り比率は87.6%を達成し、店舗送客へ大きく貢献しています。同期において、EC事業は年間売上計画50億円に対し72億円と大幅に計画を上回ったとのことです。

参考リンク:2024年2⽉期 期末決算説明会資料(しまむらグループ)

「青山商事」「AOKI」「コナカ」「はるやまHD」らのスーツ大手4社ですが、スーツの需要は1990年代をピークに下がってきているにも関わらず、売上はむしろ伸びております。

その背景には他業種の買収があり、例えばAOKIはカラオケの「コートダジュール」や漫画喫茶の「快活クラブ」などを買収し、他業種展開を進めています。

スーツ大手各社は、良い立地に店舗を構えており、カラオケボックスや漫画喫茶などの事業は、店舗の立地を最大限活かせるメリットがあり、各社他業種展開によって売上を向上させているのです。(この主張は下記リンクを参考にしました)

参考記事:25年間で「7割減!?」紳士服業界の市場規模、しかし大手4社の業績が堅調である謎?

 

アパレル業界の平均年収は356万円!

平均年収データ引用先:アパレル・ファッション業界「2023年版 平均年収」を発表「平均年収」356万円、「平均年間賞与額」60万円となり、ともに前年より上昇(パーソルキャリア株式会社 / PR TIMES)

上記サイトによると、アパレル業界の平均年収は356万円(2023年)で、あまり給与が高い業界とは言えません。アパレル業界は、30代にはエリアを統括したり、本社に異動してキャリアアップすることができないと、店舗では若い社員が台頭してきますので、非常に厳しい業界です。

アパレル業界の将来性や課題

アパレル業界は、国内市場が縮小トレンドに入っており、その中でも勝ち組と負け組の二極化に分かれる激しい業界です。アパレル業界の勝ち組は、グローバル市場に店舗を展開したり、あるいはECサイトを立ち上げ、店舗とECのデータ統合など、リアル店舗とECのシームレスな連携施策を行っている企業などです。

こういった動きがない企業は、今後どんどん厳しくなります。また、市場が縮小するアパレル業界の中でも、アパレルEC市場は右肩上がりです。もともとアパレルECには、実際の試着のように服を試着できないなどの問題があり、ECと相性が良くないと考えられておりましたが、バーチャル試着や、返品無料などのサービスが増えており、個々の企業努力によってまだまだ市場が伸びて行くと予想できます。

他業種からのアパレル業界への転職は可能か?

慢性的な人手不足な業界であり、未経験者でも転職しやすい業界でありますが、どちらかと言うと、アパレル業界から、他業種への転職が多い業界です。

アパレル業界に行くなら、ネット販売事業部など、アパレルの中でも伸びている事業部や会社を選ぶのがポイントです。

ただし、アパレル業界はトレンドが目まぐるしく変化し、その中で働くためには、常にその変化に対応し、先手を取っていく姿勢が重要にります。

まとめ!こんな方がアパレル業界に向いている!

アパレル業界は、服が好き!というだけではつとまりません。アパレル業界でキャリアアップしていくには、

◆アパレル業界でキャリアアップしていくための3つの要素

・主体性がある人
・メンバーを育てることが出来る人
・数字に強い人

という要素が必要になります。しかし、これだけのことができる方は、他業種でも通用しますので、こだわりがない限りは、給与が安いアパレル業界に、そこまでして行く必要がないかもしれません。

アパレル業界を目指す方は、ネット販売に軸を置いている企業などの方が、将来のキャリアの幅が広がるでしょう。なぜならネット販売のノウハウは、他業種でも応用可能だからです。

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