ECサイトで無料で可能な「顧客体験」を高める7つの施策

ECサイトで売上を安定させるためには、リピーターを増やす必要があり、リピーターを増やすためには、優れた「顧客体験」を生む工夫がECサイトには求められます。

本日は、以下の無料で実施可能な7つの顧客体験を高める施策を紹介します。

◆顧客体験を高める7つの施策

① ユーザーの悩みや不安を解決する商品情報ページ
② 疑似体験を経験できる商品ページ
③ 100件を超えるカスタマーレビュー
④ LINE公式アカウントでユーザーと1対1のやり取り
⑤ メッセージカードを同梱する
⑥ クレームや問い合わせにしっかり向き合う
⑦ SNSをフォローしてもらう

中にはすぐに実施できる施策もあるはずですので、可能なものから試してみてください。

この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトにおいて、無料で実施できる顧客体験を高める7つの具体的な施策について解説します。

【筆者の体験談】思わずリピーターになってしまった楽天市場のスニーカー専門店

顧客体験というと、専門のツールを導入したり、マーケティングのプロの知見が必要かと思うかもしれませんが、どんなネットショップでも実行可能な「顧客体験」を生む施策があります。

数年前の話ですが、筆者はエアジョーダンシリーズの靴が好きで、AmazonやNike公式サイト、楽天市場などのECサイトで、レアなエアジョーダンの靴を探して買い物をしておりました。そこで、とある楽天市場内のスニーカーショップで靴を買ったところ、以下のような手書きのメッセージカードが同梱されておりました。

◆メッセージ内容

「この度は、エアジョーダン3を購入していただきありがとうございます!」

その時は「気持ちが入っているな~」程度にしか考えていませんでしたが、1年後に、たまたまこの店で、前回購入したものとは別のモデルである「エアジョーダン10」を購入しました。すると、以下のようなメッセージカードが入っていたのです。

◆2回目購入の際のメッセージ内容

「前回ご購入いただいたエアジョーダン3はいかがですか?」

感動した筆者は、この楽天市場のショップで繰り返しスニーカーを購入するようになりました。

「1年以上前に購入した靴を覚えていてくれたんだ!」という感動があったからです。このような施策は、顧客情報の登録をしていれば、どんなショップでも実現可能です。このように顧客体験とは「Wow!」という体験を顧客に提供することなのです。

それでは、本日は優れた顧客体験を提供する7つの施策について具体的に解説します。

リピーターを生む無料で実施可能な7つの顧客体験

それでは、ECサイトでの買い物の顧客体験順に、それぞれの施策を解説します。

① ユーザーの悩みや不安を解決する商品情報ページ

商品を購入するとき、ユーザーには悩みや課題があることがほとんどです。しかし、商品ページでその問題が解決されていれば、商品ページの段階で顧客体験を改善することができます。

◆商品を選ぶときにユーザーには「悩み」や「課題」がある

「静かな加湿器が欲しい」
==>静音機能があることや、データで証明して音が少ないことを強調する
「デートで履くズボンが欲しい」
==>ズボンのラインがシュッと細いことを写真や説明で強調する
「テレビでYouTubeが見たい」
==>リモコンにYouTubeボタンがあることをアピール

このように、ユーザーの商品に対する課題を見つけて、商品写真や説明欄でしっかり解説するべきです。また、タイトルに含めるのも有効です。以下のニトリの商品タイトルをご覧ください。

◆ニトリの商品は商品タイトルに「課題」と「解決」が書いてある

ニトリの商品

引用(画像):ニトリネット【公式】

このように、型番ではなく商品の課題を解決したタイトル付けは商品の売上に大きく影響します。商品を探すユーザーには課題や悩みがあるので、それを見つけて商品ページでしっかり訴求することで、顧客体験を高めることで売上に結び付くのです。

② 疑似体験を経験できる商品ページ

ユーザーがその商品を使っているかのような疑似体験を商品ページで得られることは、優れた顧客体験と言えます。商品ページで疑似体験を提供するには、写真や動画の使い方が重要です。

◆擬似体験を提供する写真の使い方

ZOZOTOWNの写真の使い方

引用(画像):ZOZOTOWN

上記の赤枠をご覧ください。ZOZOTOWNでは、あらゆるカットの写真を撮っており、ここまで写真が多いと店舗で手に取ってみる以上のシチュエーションを思い描くことができます。このように多くのカットを用意することで、疑似体験を得ることができるのです。

また、以下の動画をご覧ください。

◆ニトリの商品ページにあるYouTube動画

ニトリの商品ページには、このように商品紹介動画を複数設置しており、実際に商品を試しているかのような詳しい解説があるので、商品のスペックを十分に納得して購入することができるのです。

このように、視覚から得られる情報は多く、自分で使ったかのような疑似体験を経験できるはずです。動画の用意は大変かもしれませんが、写真の用意はどのようなEC事業者でもできるので、「ユーザーがこの商品をどのように利用するか?」を想定して、実際に商品を使っている写真を増やしてみましょう。

③ 100件を超えるカスタマーレビュー

商品を購入する際に、多くの人はカスタマーレビューを見ます。しかし、大手以外のECサイトでは、カスタマーレビューが多いサイトはあまりありません。下記のAmazonのレビュー一覧をご覧ください。

◆Amazonのレビュー(ニックネームは削除)

100件を超えるほどの多くのレビューがあれば、ユーザーは良い口コミも悪い口コミも見ることができ、商品の購入の決定打となります。なぜなら、ユーザーによって気になるポイントは千差万別ですが、レビューが多くのユーザーニーズをカバーしてくれることになるからです。

Amazonでこのようなレビューが多い理由は、単にメジャーなプラットフォームというだけではありません。一度商品を購入すると、何度もユーザーにレビュー依頼が来るようになります。このように、レビューを集める努力を怠っていないためです。

ユーザーレビューを増やす方法は、以下のブログで詳細に解説しているので、この記事とあわせてご覧ください。

参考記事:ECですぐに成果を出すための3つの口コミ・レビュー対策

このようなレビューを増やす施策を実施することで、商品ページの顧客体験を高めて、売上を増やすことにつながります。

④ LINE公式アカウントでユーザーと1対1のやり取り

LINE公式アカウントを作り、「チャット機能」によって、「友だち」になっているユーザーと1対1のコミュニケーションをとることができます。例えば、高額商品を扱う場合など、実際に商品をECサイトで購入するのはハードルが高いのですが、「友だち」になることで、チャット機能で、顧客の購入前の悩みに答えることができます。

このように、まるで店舗での買い物のような1対1のコミュニケーションをとることで、顧客体験を高めることができるのです。

このような機能は、LINEの「無料アカウント」でも可能ですので、実施してユーザーとコミュニケーションを取りましょう。このようにユーザーとコミュニケーションを個別にとれることが、小規模ECのメリットと言えます

実施する場合は、下記の公式LINEのサイトで無料プランについてご覧ください。

参考:LINE公式アカウントの無料プランでできること|有料プランとの違い

⑤ メッセージカードを同梱する

立ち上げたばかりのECサイトは、最初は決して注文は多くないため、比較的ECサイト運営に余力があるはずです。そこで、注文ごとに手書きでメッセージカードを書いて、商品に同梱してみましょう。メッセージは以下のようなものです。

◆メッセージカードの例文

<例文 ①新規顧客向け>

○○様
このたびはご注文いただき、誠にありがとうございます。
心を込めて商品をお届けいたしました。どうぞお手元でお楽しみください。
またのご利用を心よりお待ちしております!

ECサイト○○スタッフ一同

<例文②リピーター向け>

○○様
いつもご愛顧いただき、ありがとうございます!
今回のご注文品も○○様に喜んでいただけることを願っております。
また新商品も続々登場予定ですので、ぜひチェックしてくださいね!

○○ショップスタッフ一同

特に、リピーター向けにメッセージを工夫すると、さらに繰り返し注文をしてくれる可能性が高まりますので、ECサイトに付属する機能の「顧客管理システム」を使って、顧客とのやり取りを管理してみましょう。前回購入した商品についても触れると、顧客体験が高まります。

⑥ クレームや問い合わせにしっかり向き合う

ECサイト運営としては、楽しいこととは言えませんが、クレームや問い合わせにしっかり向き合って対応することが大切です。キッカケはクレームであっても、その対応が良ければ、リピーターになってくれる可能性があります

特に、顧客コミュニケーションがとれる瞬間がほとんどないECサイトでは、クレームや問い合わせは顧客からコミュニケーションをとれるため、顧客体験を高めるチャンスとも言えるのです

筆者の経験ですが、ECサイトで加湿器を購入したところ、1年で故障してしまいました。保証書をなくしてしまったのですが、加湿器のモデルが販売開始から1年未満であることが確実であったことから、配送業者を手配してくれ、商品を受け取りに来てもらい、10日後には修理されて手元に戻ってきました。筆者はこの経験から、2台目の加湿器も同じECサイトで購入するに至りました。

このような経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?クレームや問い合わせをしてくれる瞬間はチャンスでもあるので、ユーザー目線に立って、ポジティブにしっかり対応してみましょう。

⑦ SNSをフォローしてもらう

新規顧客が商品を購入してくれたのなら、商品にSNSアカウントのQRコードを同梱するなどして、公式SNSのフォローを促しましょう。そうすることで、ユーザーが利用するSNSで、自分たちのSNS投稿を目にすることができます。

しかし、フォローしやすく、解除されにくくするためにも、宣伝ばかりの投稿をするのではなく、お役立ち情報の発信を心掛けます。

◆サプリメントのネットショップの場合

健康情報やダイエット情報

◆家電のネットショップの場合

季節ごとに需要が高まる便利な家電紹介

◆アパレルのネットショップの場合

シーズンごとの最先端のトレンドの服の紹介

このようなお役立ち情報を提供することでフォローされやすくなり、またECサイトを思い出してもらうキッカケとなります。多くのユーザーはAmazonや楽天市場などの大手ECサイトを利用するので、自社ECサイトを思い出してもらうための重要な施策となります。

つまり、購入後の顧客体験を起こすキッカケとして、SNSのフォロワーを増やすことが重要なのです。

まとめ

顧客体験を改善するために、ツールを導入する企業も多いですが、本日紹介したような顧客体験を高める施策を実施することで、無料で改善することができます。ECサイト立ち上げ時は、なかなか注文が入らないため、数少ない新規顧客に対してしっかり接客を行うことで、リピーターになってもらうことを心掛けてください。

もし、ECサイトの顧客体験についてプロの知見を借りたい場合は、インターファクトリーのEC支援サービス「EBISU GROWTH(エビスグロース)」までご相談ください。さまざまなECサイトの売上を高めた実績がございますので、下記の公式ホームページよりお申し込みください。

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、EBISUMARTやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。