EC担当者が行う3つのWEBマーケティングをプロが解説

Asian female entrepreneur stick the ideas on adhesive note written by coworkers onto the whiteboard.

「ECサイトのプロモーション担当になったが、何をすればいいんだろう?」
「ECでWEBマーケティングを加速したいけど、どうすればいいのか?」

このように、ECのWEBマーケティングを実施して売上を高めることができないか思案しているのではないでしょうか?実はEC担当者が売上を高めるためにWEBマーケティングで行うべきことは次の3つに集約されます。

① プロモーション(集客)
② CVRの改善
③ リピーター施策

なぜなら、この3つのポイントは、プロのECコンサルタントがコンサルティングの際に最も注力するポイントであり、ECサイトの売上はこの3点で評価されることが多いからです。

本日は、インターファクトリーでシニアアドバイザーを担当している筆者が、ECサイト担当者向けにWEBマーケティングを解説いたします。

① プロモーション(集客)で、自社ECサイトにユーザーを集める!

まずは、プロモーションから解説します。まずは自社のECサイトに、ターゲットユーザーからのアクセスを集めなければいけません。ただ「誰でもいいからユーザーからのアクセスを集めたい!」というのは大きな間違いです。

アクセス数が容易に集められるディスプレイ広告がありますが、多くのユーザーを集められる反面、見込の浅いユーザーが多く、なかなかCV(コンバージョン)しないため効率が極めて良くありません。

私も前職で1カ月で1,800万円のディスプレイ広告を行った経験がありますが、CVは7件しかとれませんでした(半分の予算のリスティング広告でも数百件のCVがあります)。5年以上前の話で、ADテクノロジーは進化していますが、ベースは今も変わりません。

つまり、ターゲットユーザーを集客しないと意味がありません。また使っているECシステムによっては、アクセス数で課金されるシステムもよくあるため、見込み客ではない人の集客は、広告費用とシステム保守費用のダブルで無駄が発生します。ですから、本日はそれを踏まえて2つのプロモーション(集客)を紹介します。

①-1リスティング広告はCPAを減らす努力が重要!

リスティング広告は、WEBマーケティングのプロモーションで最も基本となります。なぜならあらゆる業界で費用対効果が高い広告だからです。下記の画像の赤い四角の部分がリスティング広告です。

このようにユーザーの検索したキーワードに関して、検索結果上部に広告を出すことができるので、ターゲットユーザーを確実に選び、クリックさせることができます。

リスティング広告運用で重要なことはCPAを下げることです。CPAとは「Cost Per Action」の略で、簡単に説明すると商品1件に対する広告単価です。リスティング広告の運用はCPAを下げて広告の費用対効果を高めることが基本ですが、CPAにフォーカスしすぎるとCV数が下がります。

EC担当者は、広告予算とリスティング広告の成果を見ながら、最適な効果を出す工夫が求めれらます。リスティング広告を最大化する施策の例としては下記のようなものがあります。

①登録するキーワードを増やす
②効果のないキーワードを除外する
③広告文のABテスト
④LP施策で、CV数アップ!
⑤キャンペーン訴求

最も効率の良いリスティング広告ですが、小売りのEC事業者ではあまり使われておりません。その理由は採算があわないからです。例えば5,000円の商品があったとして、仕入れが3,000円で、諸経費に1,500円かかっているとしましょう。さらに利益を出さないといけませんので、広告で使えるお金は1商品あたり500円以内となります。

5,000円(売値) - 3,000円(仕入れ) - 1,500円(諸経費) = 500円未満(使える広告費)

広告費が500円を超えると赤字です。リスティング広告のクリック単価は10円~500円以上であり、採算が合いません。このような理由から、リスティング広告を行うのは大手小売りか、1製品あたりの単価が高い商品に限られております。

ECサイトの広告では、リスティング広告よりも、検索結果に商品の写真を表示できるショッピング広告を利用する方が多いくなってきましたが、こちらもリスティング広告と同じく、利益の安い商品では採算があいません。

やはりリスティング広告もショッピング広告も、大手や利益率の高い商品でないと広告出稿そのものが厳しい現状があります。

①-2コンテンツマーケティングによって、SEOキーワードを独占し爆発的な集客を叩き出す!

先に、リスティング広告やショッピング広告を解説しましたが、どちらも大手か利益率の高い商品でないと、広告出稿は採算がとれないために現実的ではありません。では、EC事業者はどのように見込み客の集客を実現するべきでしょうか?やはり答えはSEOになります。

◆SEOは下記の赤い四角部分の表示

この図でもわかるとおり、SEOは広告ではありませんので広告費というものがありません。ですから、SEO上位に自社ECの商品ページを上位にすることができれば、費用対効果が抜群に良い集客施策となります。昔は多くのSEO業者がいて、彼らに依頼すると対象のページをSEO上位にしてくれる時代がありましたが、それも2011年までです。

Googleが検索結果をSEO業者にコントロールされることを嫌がり、SEO業者によって検索順位を上げたコンテンツにペナルティを加えるようになりました。それ以来、SEOで上位を達成するのは、ユーザーを満足させることができる質の高いコンテンツのみがSEO上位に表示されるようになりました。

そこからコンテンツマーケティングという施策が、日本のEC関係者にも注目されるようになりました。(コンテンツマーケティングはブログ記事だけでなく、動画やPDFなど全てのコンテンツが対象ですが、最も普及している施策としてブログ記事ベースで解説しております。)

コンテンツマーケティングがどれくらい効果があるかと言えば、私が書いている別ブログのebisumart mediaというEC事業者向けのブログがあります。運営3年で、アクセス数が10倍、CV数が3倍になりました。

◆コンテンツマーケティングによってアクセス数が右肩あがりのグラフ(ebisumart media)

コンテンツ・マーケティングの弱点は手間がかかり、コンテンツを作る体制がなかなか作れないことです。なぜならブログ記事をかける人材は少なく、また記事を書くのに労力がすごくかかるからです。私はブログ執筆のプロですが、それでも1記事書くのに5時間~12時間かかります。

このようにコンテンツ・マーケティングはハードルが高い分、成功すれば競合他社には追い付けないくらいCV数を稼ぎ出すことが可能です。

② CVRの改善

それでは次にECサイトにおいてのCVRの改善について解説してまいります。CVRの目安は1%。つまり100人のユーザーが商品ページを見れば、1人はCVするというものです。これを1.1%あるいは1.2%にすれば、売上は10%~20%増となりますから、集客とCVRはECサイトの両輪と言えます。

それではCVRを改善する施策を解説いたします。

②-1ショッピングカート画面(買い物かご)の改善

まず、ECサイト大手が必ずCVR改善のためにチューニングしている画面は、ショッピングカート(買い物かご)です。よくあるのは、UIを改善し、注文を終えるまでのクリック数を減らすといった改善方法です。例えば、下記の画面をご覧ください。2つのデザインのカート画面があります。

 

「デザイン②」の例の方がクリック数が少ないため、ショッピングカートの離脱率も減ります。このようにUIを改善することで、CVRを改善する手法です。

しかし、この施策を行うには、ECシステムが「ECパッケージ」や「カスタマイズ可能なクラウドEC」あるいは「フルスクラッチ」などのカスタマイズが可能なことが条件です。

ASPのECシステムを使っている場合は、このようなカート周りの改善が不可能ですから、次に紹介するマーケティングツールを導入してみるのが良いでしょう。

②-2マーケティングツールを導入して、CVRを高める!

まず、CVRを高める有力なマーケティングツールは「Amazon ペイ」と「楽天ペイ」です。両方とも決済手段を新たに提供するツールで、Amazon ペイで説明すると、Amazon ペイを導入している自社ECサイトはAmazon のアカウントでログインして、決済まですることが可能なツールです。

多くのユーザーは、有名ではないECサイトで購入することにためらいがあります。しかし、Amazon や楽天のアカウントは、日本のユーザーのほとんどが所有しており、それらのアカウントで決済できるとユーザーは、そのECサイトのアカウントを作る手間が省けて、CVRが高まるのです。

下記は、ファッションECモール「SHOPLIST」のカートページです。赤枠で囲んだ箇所に、Amazon・楽天の各ボタンが設置されていることがわかります。

◆ファッションECサイトのカートページ

カートページのID決済

Amazon ペイや楽天ペイについては、以前ebisumart mediaの記事にまとめたので、下記をご覧ください。

2つのID決済「AmazonPay・楽天ペイ」導入前に抑えるべきポイントとは?

アパレルECであれば、マーケティングツールとしてはカンタンなアンケートに答えるだけで、服のサイズ感がわかるメイキップのunisizeが有名です。一度unisizeでアンケートに答えると、unisizeを導入している他のアパレルECでも使うことができます。

下記は、ファッションセンターしまむらのECサイトで導入されているunisizeの画面です。これはほんの一部で、身長・体重などの基本情報の他よく着用しているブランドなど、様々な情報を入力した上で総合的に最適なサイズを提案してくれます。

◆unisizeの画面(一部)

unisize(しまむら)

unisize 公式ページ

このように、CVRを高めるためのマーケティングツールの導入は、費用を計算しCPAを押さえることができるのなら積極的に導入すべきです。その際は、やはりECシステムに対応しているかどうかの確認が必要ですが、Amazon ペイや楽天ペイなどはASPでも対応しているECシステムが多い印象です。

②-3クーポン券訴求で購入を後押しする!

商品ページに、「今なら2,000円OFF」といったお得なクーポン券のバナーを設置して、ユーザーの購入を後押しする施策です。下記画面はZOZOTOWNの商品画面です。

◆ZOZOTOWNのTOPページ上部にはクーポン券が表示!

ZOZOのメインターゲットは若いユーザーです。

若いユーザーは、30代に比べると予算が少ないため、このような訴求は非常に効果的です。しかし、クーポン券の乱用は確実に利益に影響しますし、小売業界の多くの商品単価は安く利益幅が小さいため、導入には事前に売上・利益のシミュレーションと効果測定が絶対に必要です。

②-4商品のレビュー(口コミ)施策

ECサイトの商品ページには、商品レビューがあります。下記はAmazon の商品レビューです。

◆Amazonの商品レビュー

Amazonレビュー

実は、商品購入前にこのレビューを参考にしてるユーザーが多数います。ここで高評価だけではなく、しっかりとした商品コメントはかなり参考にされます。それを裏付けるのが下記のグラフです。

このグラフによると高評価の数と商品売上数に因果関係があるという研究結果です。データがまとまっており、すごく良いPDF資料なので、是非ダウンロードして一読してみてください。

グラフ引用先PDFの参照先:ECサイトのユーザーレビューが購買行動に与える影響に関する研究について

では、因果関係がわかったところで、良質な口コミをどのように増やせばいいのでしょうか?実は下記の3つのステップで良質な口コミを集めることができます。

◆良質な口コミを集める施策

①良い商品を開発する
②購入したユーザーにインセンティブを与えて、口コミを促す
③レビューのサンプルを提示して、詳細にレビューを書いてもらう

商品レビューは良い商品であっても、なかなか書き込まれないので、ポイントやクーポン券などでレビューの書き込みを促さないといけません。

ただし、レビューを集めるためにポイントやクーポンを利用する際には注意が必要です。2023年10月1日より施行された景品表示法の改正によるステマ(ステルスマーケティング)規制により、レビューに対してクーポンやポイントなどを付与する際「高評価の方に100ポイント進呈!」など、レビュー内容や評価を指示・誘導することは違反となるため、そのような誘導は行わないように注意しましょう。

詳しくは、下記の消費者庁のページをご確認ください。

参考:「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(消費者庁

また「よかったです」「ありがとうございました」などのレビューは購入の参考にはなりませんから、どこが良いポイントだったのか?詳細にレビューを書いてあげる必要があります。

1つの商品に100のレビューを集めることができれば、完璧です。なぜならレビューが100もあれば、どんなユーザーにも、心に響くレビューが必ずあるからです。

このように良質な口コミやレビューを集めることで、CVRを確実にあげることができます。

②-5ゲスト購入しやすくしよう!

ECサイトの担当者としては、商品購入の前に会員登録をさせたいのが本音でしょう。しかし、多くのユーザーは、なるべくECサイトで会員登録をしたくありません。アカウントが増えると管理が大変だからです。また、メールマガジンへの登録も嫌がられます。

ですから、CVRを上げる改善としては、ゲスト購入しやすくすることです。会員登録しなくても買えることを、文言やECサイトのデザインで訴求できれば、CVRを高めることができます。ただし、ゲスト購入ばかり優先し会員数が増えなければ、次に紹介する③リピーター施策に影響します。

ECサイトの成長フェーズで、新規客の売上を拡大するか?リピート施策を拡大するか?を検討しましょう。

③ リピーター施策

ECの売上の多くはリピーターが占めています。全売上のうちリピーターが8割いれば盤石と言われており、居酒屋でいう常連のようなものです。常連客が多ければ、売上が安定するので、リピーターを増やすのはECでは大変重要な施策になります。

③-1ECサイトのアプリ化してユーザーにPUSH通知できる!

リピーター施策を促進において最も効果が高いのは、ECサイトのアプリ化でしょう。リピーターほどよくECサイトを繰り返し訪れて新製品をチェックするものです。しかし、ECサイトがスマホアプリであれば、PUSH通知することが可能ですし、常にログインした状態でつながることができます。

効果の高いこの施策の難点は、アプリ制作のハードルが高く、予算が高くつくことですが、Yappli(ヤプリ)という、ツールを導入すれば、プログラミング不要で、簡単にアプリを作ることが可能です。

yappri(ヤプリ) 公式ページ

ただし、ユーザーがわざわざECのアプリを導入するくらいですから、ロイヤリティーが極めて高い大手ECサイトにより向いている施策になります。

ECのアプリ化については、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

売上をグっと伸ばす「ECサイトのアプリ化」を徹底解説

③-2WEB接客ツールを使ってレコメンド!顧客の嗜好を読み取り、リピート促進

WEB接客ツールを導入すれば、リピート施策を促進できます。WEB接客ツールには、会員の過去の購入履歴や、閲覧ページの情報があり、それらのユーザーデータを利用して、ユーザーが購入する可能性の高い商品を、商品画面の下のレコメンドに表示させる施策です。

WEB接客ツールの導入は、月間で数万円のものから10万円以上の高スペックなものがあり、導入は管理画面からタグを発行して、サイトに埋め込むだけで使用できるものが多く、カンタンです。ASPからパッケージまで導入可能です。

ECサイトで実施できるリピーター施策については、下記の記事で具体的に解説しているので、是非ご覧ください。

EC担当者が仕掛ける!ファンを増やすリピート施策5選

ECのWEBマーケティングのまとめ

本日は

① プロモーション(集客)
② CVRの改善
③ リピーター施策

の3つの観点でWEBマーケティングを解説しました。

ECサイトで売上をあげることができていないという方は、「①プロモーション(集客)」から始めるべきです。集客が形になれば「②CVRの改善」に着手し、新規顧客が増えてくれば、「③リピーター施策」に取り掛かってください。

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