売れるECサイトとはカスタマイズとシステム連携が可能であること

売れるECサイトとは、つまり注文件数の多いECサイトのことです。注文件数を増やすには、以下の2つの要素を工夫する必要があります。

◆売れるECサイトに必要な2つの要素

・集客力が強い
・CVRが高い

この2つを実現する方法は無数にあり、また商品のジャンルやビジネスモデルによっても大きく変わってきます。例えば、あるネットショップはSEOによって高い露出力があり、あるネットショップは、Google広告の口コミを増やす戦略で売上を重ねている、などです。

つまり、売れるECサイトを作るには、「集客」と「CVR向上」を実現するためのECプラットフォームのカスタマイズと、システム連携の柔軟性や拡張性が求められるのです。

この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、売れるECサイトについて詳しく解説します。

売れるECサイトの条件はたった2つの要素の掛け算

この記事では、リピート購入や利益率については言及しませんので、あくまで初回購入の注文数にフォーカスして解説します。

まず、売れるECサイトをつくるための条件は「①集客」と「②CVR」の2つです。

①集客 × ②CVR = 注文数

つまり、①と②の要素を向上させるための施策を行うことが売れるECサイトの条件となるのです。

それでは、①と②の要素を向上させる施策を紹介します。

集客力を向上させるECサイトの施策とは?

ECサイトへの集客力を向上させる施策としては、以下の3つがあります。

◆ECサイトへの集客力を向上させる3つの施策

① ブログSEO
② SNS
③ Web広告

そして、これら3つの施策のメリットとデメリットは以下の通りです。

◆3つの集客施策のメリットとデメリット

集客施策 メリット デメリット
①ブログSEO ・継続的な集客が見込める
・見込みユーザーを集客できる
・成功した場合、費用対効果が高い
・効果が出るまでに半年以上の時間がかかる
・SEOノウハウ理解と継続的な対応が必要
・Googleのアルゴリズムの影響を受けやすい
②SNS ・すぐに実施することができる
・フォロワーが増えれば継続的に集客可能
・成功した場合、費用対効果が高い
・フォロワーを増やすのに時間がかかる
・SNSのノウハウ理解と継続的な対応が必要
・投稿内容によってはクレームのリスクあり
③Web広告 ・即効性のある集客が期待できる
・細かいターゲティングが可能
・費用が継続的にかかる
・効果の高い広告は限定的、多くは費用対効果が悪い

ブログSEOとSNSは、集客力が付くまでは半年以上はかかる中長期的施策となりますが、SEOで検索結果上位になったり、SNSのフォロワーが3,000人を超えると費用対効果が高い集客方法となります。

特に、SEOは検索結果で上位になるまでが大変ですが、一度上位に到達すると、何もしなくてもECサイトへのアクセス数が増えるようになります。

SEOブログで集客する場合はWordPressを連携させるのが良い

SEOブログを開設する場合は、カスタマイズやシステム連携が必要となります。なぜなら、SEOで結果を出すには、ブログシステム(CMS)に以下のような要件が求められるからです。

◆SEOブログで結果を出すためのブログシステムに求められる要件

・URLやカテゴリを自由に設定できること
・図表の挿入ができること
・太字や色字、下線などが使えること
・HTMLモードにできること

もちろん、これらの機能がなくてもブログ記事を作成することは可能です。しかし、これらの機能があるのとないのとでは、記事の品質=SEOの結果に大きな差が生まれます。

ECサイトのプラットフォームに付属しているブログ機能では、これらを満たしていないことが多く、そのためECサイトでSEOをしっかり実施する場合は、ブログプラットフォームのWordPress(ワードプレス)と連携することが多くなります。

つまり、ECサイトでSEOブログによる集客を実施するには、WordPressなどのブログ専門のCMSと連携できる必要があるのです。そして、有名ECプラットフォームの多くはこの連携が可能ですが、一部連携ができない場合もあります。

SNS施策を実施する場合は、ECサイトへのカスタマイズやシステム連携などは必要ありませんが、ブログで本格的に集客を実施する場合は、WordPressのようなブログシステムと連携する必要があるので、ECプラットフォームの選定においてはこの点に留意しておくべきでしょう。

また、筆者のクライアントの事例で、WordPressと連携ができないECプラットフォームを利用していたため記事ごとに静的ページを作って対応するケースがありましたが、都度コーディングの工数が必要となるのでおススメしません。

SNSやWeb広告で集客する場合はシステム連携は必要はないが、専門ツールがあった方が効果を出しやすい

SNSやWeb広告で効果を出す場合は、ECプラットフォームとの特別なシステム連携は不要です。しかし、以下のようなツールがあった方が効果を出しやすくなります。

◆外部にあると効果を出しやすいツール

・SNS分析ツール
・広告効果測定ツール

SNSもWeb広告も、外部の広告代理店に依頼している場合は、最適化は代理店が実施してくれるのでこのようなツールは必要ありませんが、代理店を入れずに自力で効果を出す場合は、効果測定ツールで効果を分析しながらやるべきでしょう。

具体的には以下のようなツールを使うべきです。

◆SNSやWeb広告の効果測定ツール

・Social Insight(ソーシャルインサイト):SNS分析
・Moribus(モリバス):インスタ分析
・WebAntenna(ウェブアンテナ):Web広告やSNSからのCV分析

以上が、集客に関して必要となるツールです。つまり集客でブログSEOを実施する場合は、WordPress等の外部システムへの連携が必要となります。

それでは、次にCVRを向上させる工夫について解説します。

ECサイトのCVRを向上させる施策とは?

CVRを向上させる施策には、以下のようなものがあります。

◆CVRを向上させる施策

① 商品写真と商品説明文、タイトルを工夫する
② クーポンを適切なタイミングや位置に設置する
③ スペシャルページ(ランディングページ)を作る
④ 訪問から購入までの導線を分かりやすくする
⑤ ECサイトデザインを信頼感あるものにする
⑥ ECサイトの高速化を行う
⑦ かご落ちツールやチャット受付などの外部ツールを利用する

これらは代表的な施策の一部であり、これ以外にもCVRを向上させる工夫は無限にあると言っても良いでしょう。また、CVRを向上させる施策は競合環境や商品ジャンルなどの要素によっても変わってきますので、一概に「この施策が良い」と言い切れるものはありません。

しかし、どんなジャンルのECでも予算を抑えて効果の高い施策を実施するには、①の施策に注力すべきでしょう。

◆どんなECサイトでもCVRを向上させるために注力できること

・商品写真
・商品説明文
・タイトル

例えば、商品写真の登録はECプラットフォームの上限数をなるべく満たすように写真や動画を用意しします。

特に写真については、卸のメーカーから用意されたものだけではなく、使用感のある写真を撮影することでユーザーも利用シーンを想像しやすくなり、疑似体験を少しでも提供することでCVRを向上させることができるのです。

以下の、ユニクロとニトリの事例をご覧ください。

◆利用シーンを活用した事例:ユニクロ、ニトリ

ユニクロの商品写真の掲載例 ニトリの商品写真の掲載例

出典:「ユニクロ公式オンラインストア」、「ニトリネット【公式】」より筆者が一部加工して作成

アパレルにおいては、ユーザーが利用シーンをイメージするために着用写真は必須ですが、ユニクロは着用動画も加えて、さらにイメージが伝わりやすくなる工夫をしています。

ニトリでは、カラーボックスに実際に収納物を入れて部屋で使用している写真を掲載して、ユーザーが自宅に設置した場合をイメージすることを助けています。

また、商品説明文も同様です。メーカーが用意した文章だけでなく、可能ならば商品を使ってみて、スタッフレビューとして使用感や注意点を具体的に書いてみましょう。

例えば、Tシャツなら以下のような文言です。

◆Tシャツの具体的な説明文の例

身長●●センチで体重××キロのスタッフの私が本商品のLサイズを試着してみたところ、少し大きく感じましたので、ジャストで着たい方はワンサイズ落としてみてください。

そして、商品タイトルは有名商品でもない限り、商品名や型番を書いてもユーザーに響かない可能性があります。

◆工夫のないタイトル

A社製カメラC100

そこで、以下のように商品タイトルを工夫します。

◆工夫のあるタイトル

YouTube動画撮影用カメラ!C100(A社製)

このように、ユーザーのニーズにあわせたタイトルを付けてみてください。

CVRを向上させるなら外部ツールとのシステム連携やカスタマイズが必須

以下のような施策を実施する場合は、それぞれに最適なツールやシステムがあるため、ECサイトとのシステム連携やカスタマイズが必要となります。

◆CVRを向上させる施策

① クーポンを適切なタイミングや位置に設置する
② スペシャルページ(ランディングページ)を作る
③ 訪問から購入までの導線を分かりやすくする
④ ECサイトデザインを信頼感あるものにする
⑤ ECサイトの高速化を行う
⑥ かご落ちツールやチャット受付などの外部ツールを利用する

そのため、まずは利用しているECプラットフォームに対応しているシステムを選ぶべきです。

ちなみにインターファクトリーのECプラットフォーム「ebisumart」では、ホームページに対応しているシステム一覧を下記のように掲載しております。

参考:提携サービス一覧│ebisumart

もちろん、UIを向上させたりランディングページを作ったりする方法は、外部システムに頼らなくてもできますが、それでも効果を上げるためにPDCAサイクルを回す必要があるので、外部ツールとの連携が必要になるのです。

このように、CVRを向上させる工夫を行うためには、ECプラットフォームが外部システムと柔軟に連携できる必要があるのです

まとめ

売れるECサイトとは、やはり外部ツールやシステムと柔軟に連携しカスタマイズできるプラットフォームということになりますが、多くの有料のECシステムであれば、多くのツールと連携ができるので、問題はありません。

しかし、どんなツールと連携しても、具体的なノウハウや経験がないとECサイトで成果を上げるのは困難であるため、プロのアドバイスが必要となります。

インターファクトリーでは、EC事業者向けにEC支援サービス「ebisu growth」を展開しており、EC運営における基本的なマーケティング手法をはじめ、豊富なECノウハウで事業者のEC運営を継続的にサポートしております。

◆EC支援サービス「ebisu growth」の提供サービス

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。