無料で実施可能な「EFO対策5選」をマーケのプロが徹底解説

EFO(Entry Form Optimization)とは、「入力フォーム最適化」のことです。ECサイトの注文や問い合わせフォームで、入力しやすさやユーザー体験を向上させ、離脱率を減らすための対策のことであり、具体例として、入力ミスをリアルタイムで指摘する機能、必須項目を明示する、入力項目を最小限にするといった改善が含まれます。

EFOを行う場合は、EFOツールを導入して行う方法が最もカンタンに成果を出しやすいのですが、EFOツールの費用は安くはなく、フォーム開発に費用と工数がかかるため実装の難易度は低くありません。しかし、自分で無料で実施できる対策もあります

◆自分で実施できる5つのEFO対策

① フォームにクライアントロゴや実績を掲載する
② 注意書きを工夫する
③ ファーストビューで「フォーム」を見せる
④ フォームの誘導先とフォームの文言の違和感を持たせないようにする
⑤ 「電話番号」など不要な項目は極力削る

これらの対策は、筆者が自社やクライアントに実施して効果のあるものばかりですので、ぜひ貴社でも実施することをおすすめします。

この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを実施している筆者が、自分でできるEFO対策について解説します。

筆者自身が過去にEFOツールを導入した失敗談

筆者も過去に、ある事業者のWebマーケティング担当者として、会員登録フォームにEFOツールを導入したことがありますが、1か月以上の開発期間と数十万円の費用を投入した割には、目に見える効果が感じられませんでした。その理由は以下のような点です。

◆EFOツールを導入したが成果が出なかった理由

① 数十以上ある必須入力項目を減らすことができなかった
② 他の施策の影響もあるため精緻な効果測定ができなかった
③ 代理店まかせになってしまった

EFO対策を実施しても、このように感じている事業者は少なくないはずです。ですから、筆者としてはEFOツールを導入する前に、まずは自分でできる限りのEFO対策を実施して成果を最大化した方が良いと考えています。そこで本記事では、自社だけで実施できる無料※の5つのEFO対策について解説します。

※フォームを自社でカンタンにデザインできるという前提

自分でできる5つの無料のEFO対策

それでは、筆者の経験を踏まえて自分で実施可能な無料のEFO対策を一つずつ解説します。

① フォームにクライアントロゴや実績を掲載する

まず最初に、問い合わせや資料請求フォームなどに、以下のようにクライアントロゴや実績を掲載する手法を紹介します。

◆forUSERS株式会社のフォーム

EFO対策でフォームに実績をいれている例

引用(画像):forUSERS株式会社「お問い合わせフォーム

このように、フォームにクライアントのロゴや実績を挿入することで、「本当に申し込んでも大丈夫なのか?」というユーザーに対して安心感を演出することができます。筆者もこの方法を実践しておりますが、申込数が微増したことを実感する結果に至りました。

フォームに画像を設置するのは難しいことではないので、すぐに実践してみましょう。ただし、重い画像を設置すると、ページの読み込みが遅くなり逆効果ですので、画像を最適化するのを忘れないようにしてください

② 注意書きを工夫する

フォームの注意書きを工夫することで、CVRを向上させることができます。具体的には以下のような注意書きです。

◆ユーザーの不安を払拭する注意書き

※当社では、しつこい営業や無理な勧誘は一切行っておりません

フォームに個人情報を入力することで、メールやDM、あるいは電話営業などが来ることを嫌がるユーザーもいます。もし、電話営業などをしていない場合は、この文言を設置することでユーザーが安心して申し込みやすくなります。

ただし、このような文言を設置したにも関わらず、実際はユーザーに電話営業するような場合は、不信感を与えますので、このような文言の設置をするのは避けてください。

また、ECサイトの場合は以下のような注意書きを設置することができます。

◆ECサイト向けの注意書き

返品・交換は30日間無料ですので、安心してご購入いただけます。

返品が可能なEC事業者であれば、新規注文の際はこのような文言を設けて、注文への後押しを行います。もし、返品が多数発生するようなケースでは、収益に悪影響を及ぼすので、実施前と実施後のCV率と返品率を計測するべきです

また、以下のような注意書きもあります、

◆希少性や緊急性を示す注意書き

現在、多くのお客様からのお問い合わせをいただいております。お早めにご連絡ください。

このような文言を設置することで、ユーザーに希少性をアピールして入力を後押しする効果があります。実際に筆者の経営するforUSERS株式会社は、筆者が1人で運営している法人であるため、受け入れ態勢が小さく、以下のような文言を仕方なく設けていました

◆多くの問い合わせを受け入れられないという注意書き

現在、多くのお客様からのお問い合わせをいただいており、ご相談をお受けできないケースもあります。

それにもかかわらず、定期的に申し込みがあったことから「希少性」を感じたユーザーからの申し込みがあったのだと感じております。

このように、注意書き一つでもユーザーの行動を変えて、CV率を高めたりすることができるのです

なお、注意点が一つあります。注意書きは太字にして目立つように設置しましょう。いくら注意事項を書いていても、ユーザーが見つけることができなければ意味がないからです。

③ ファーストビューで「フォーム」を見せる

以下のようにフォームボタンを押したにも関わらず、ページのファーストビューで「フォーム」が見えないと、「あれ?このページはフォームではないのか?」とユーザーが違和感を持って、離脱される原因を作ることになります。

◆ファーストビューで「フォーム」が見えない

ファーストビューでフォームが見えない

実は、フォームは少しスクロールした先の画面にあります。

◆フォームは、下にスクロールしないと現れない

フォームが下にある例

引用(画像):forUSERS株式会社「お問い合わせフォーム

このように、フォームが下に隠れてしまっております。そうするとファーストビューだけ見たユーザーがフォームに気が付かず、離脱する可能性があるのです。特に毎日数十件以上の申し込みや注文があるページでは売上に大きな差が生じます

これを防ぐには、ロゴや注意書きを小さくしたり、あるいはPCにおいてはフォームを左に配置して、ロゴや注意書きを右に配置するなどの対策が必要となります。まずは、ご自身の会社のフォームをチェックして、ファーストビューにフォームが見えるかどうかを確認しましょう。

BtoC事業者の場合は、スマートフォンでフォームページのファーストビューを確認してみるようにしましょう。

④ フォームの誘導先とフォームの文言の違和感を持たせないようにする

例えば、フォームの遷移元のフォーム誘導ボタンの文言が以下だったとします。

◆ボタンとフォームの文言が異なり違和感がある

・フォーム遷移元ページのボタン名「ご相談はこちらから」

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

・遷移先ページのページ名「申込予約フォーム」

ユーザーから見ると、フォームの名前が異なるため違和感が生じ、これも離脱される原因となります。そのため、以下のように文言を合わせる必要があります。

◆ボタンとフォームの文言が同じで違和感がない

・フォーム遷移元ページのボタン名「ご相談はこちらから」

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

・遷移先ページのページ名「ご相談予約フォーム」

このように、遷移元のボタン名とフォームのページ名の文言を一度チェックして、名前が異なる場合は、文言を合わせてみるべきです。

⑤ 「電話番号」など不要な項目は極力削る

EFO対策の最も基本的な対策ですが、不要な顧客情報を取得している場合は、項目を削るべきです。例えば、筆者のクライアントの開発会社ですが、フォームに「電話番号」の項目を設置していましたが、この電話番号は活用されていないことが判明しました。

特に電話番号は、今の時代はメールやチャットでのやり取りが一般的になってきたこともあり、営業電話をかけない場合は必要ありませんので、以下のような不要な項目があれば、フォームから削減を検討します。

◆不要な入力項目の例

・電話番号
・部署名や肩書き

このようなフォームの項目は1年に一度は棚卸をして、本当に必要かどうかを営業部門と一緒に協議してみましょう。

フォームの項目数がもともと少ない場合は、EFO対策は効果が出にくい

EFO対策は、もともとフォームの項目数が少ない場合は効果が出にくい面があります。項目数が少ない場合は、EFOツールを導入するよりも、今日紹介した以下の①~④の対策が有効です

◆フォームの項目数が少ない場合に実施すべき対策

① フォームにクライアントロゴや実績を掲載する
② 注意書きを工夫する
③ フォームページのファーストビューで「フォーム」を見せる
④ フォームの誘導先とフォームの文言の違和感を持たせないようにする

なぜなら、これらの対策はフォームの数に依存しないためです。項目数が少ない場合は、EFOツールの導入の優先度は低くなります。

EFO対策で効果測定をするときは、他の施策を実施しない

EFO対策の効果を実施するときは、なるべく他のWebマーケティング施策はやめて、EFO対策のCV数やCVRを測定するようにしましょう。EFO対策は、フォームの項目数がもともと多くない場合においては、結果が2~3倍になるような施策ではなく、成果は微増というケースが多いからです

ただし、微増であっても年間を通じると大きな差になるため、微差であっても、しっかり効果を実感しておくことが重要です。

まとめ

ECサイトでも、公式サイトのマーケティングでも、EFO対策はWebマーケティングでCVRを高めるための代表的施策の一つです。しかし、CVRを高める施策は集客ができてからでないと、CVRを求める母数が少ないため効果が出にくい面があるので、先に集客を優先させましょう

もし、自社のECサイトでEFO対策を実施してCVRを高めたいという場合は、弊社のECコンサルティングサービス「ebisu growth(エビス グロース)」の導入もご検討ください。ebisu growthには多くのECの経験豊富なコンサルタントが在籍しておりますので、必ず貴社サイトのCVR向上に寄与します。

下記の公式ページより詳細をご覧いただけますので、本サービスを他社とともにご検討いただければ幸いです。

ebisu growth 公式サイト

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ABOUT US
井幡 貴司
forUSERS株式会社 代表。 株式会社インターファクトリーのWebマーケティングシニアアドバイザーとして、ebisumartやECマーケティングの支援、多数セミナーでの講演を行う。著作「図解 EC担当者の基礎と実務がまるごとわかる本」では、ECサイトの初心者向けに特に集客方法について解説。