越境ECを始める際は、しっかりとしたマーケティング戦略・手法を事前に準備しておかないと、継続して売上を上げることは困難です。
越境ECの市場規模は年々拡大しており、中国や米国向けのECサイトを運営しているという日本企業もすでに多く存在していることからも、越境ECは、売上を拡大するための大きなチャンスです。また、新型コロナウイルスによる影響で、インバウンド消費が減少したことから、海外顧客に向けて今後越境ECを導入したいと考える事業者も多いと思います。
しかし、越境ECを始めるとなっても、どのようなマーケティング施策を行えば良いのか分からない、というのがEC担当者の本音ではないでしょうか?
マーケティング施策としては、越境ECだからと言って、いきなり何か特別なことをするのではなく、まずはユーザーにとって分かりやすいECサイトデザインにする、SNSを上手く活用する、越境ECを行いたい国でよく利用されている決済方法を準備するといった、日本国内でECサイトを運営する上でも必要なことから始めるべきです。
今回は、インターファクトリー(ebisumart)でWEBマーケティングを担当している筆者が、越境ECで成功している日本企業の事例に基づき、越境ECマーケティングについて解説していきます。
2030年には越境EC市場規模が1,032兆円!
まずは、2023年8月に経済産業省から発表された「世界の越境EC市場規模の拡大予測」をご覧ください。こちらのデータによると、2030年には世界の越境ECの市場規模は1,032兆円※となることが予測されます。
※1ドル=130円で計算
◆世界の越境EC市場規模の拡大予測
世界の越境EC市場規模は、中国や米国を中心に、今後も成長していくと予測されます。2021年時点で102兆円だった市場規模が、2030年には、約10倍の1,032兆円まで成長することが見込まれております。
世界の越境EC市場規模が拡大している要因としては、大きく2点が挙げられます。1つ目は、世界中にインターネットインフラが整い、インターネットを使う人口が増えていることです。
統計調査データプラットフォーム「statista」によると、2024年1月時点での世界人口全体に占めるインターネットユーザーは総人口の約66.2%にも上っています。
2つ目の要因は、海外のEC消費が伸びているということです。
下記は、同じく経済産業省の報告書より引用した世界のBtoCのEC市場規模推移を示したグラフです。コロナ禍以降のEC需要の高まりを追い風に世界のEC市場規模は堅調に推移し、2022年の世界のBtoC-EC市場規模は5.44兆USドル、EC化率は19.3%と推計されています。
◆世界のBtoC-EC市場規模推移(単位:兆USドル)
特に中国では、ECプラットフォーム「天猫(Tmall)」や「京東(JD.com)」、「拼多多(pinduoduo)」にて盛んに買い物が行われており、「天猫(Tmall)」が行う中国国内一大イベント「独身の日」では、約23兆6,000億円(2023年)もの流通取引がありました。「天猫(Tmall)」には、日本企業や米国企業も出店しており、日本企業の製品は人気です。
◆中国における3大EC事業者のシェア(2017年〜2023年)
本項記載のグラフ出典元:「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」(経済産業省)※一部筆者追記
中国人向け越境ECの動向はインバウンド(訪日外国人旅行者)に関係している!
越境ECが好調に推移したのは、コロナ禍当時、日本に訪れることができないためインターネットで日本製品を購入する外国人が増えたからだと考える方もいるかと思いますが、そうとも言い切れないことが調査によって分かりました。ここでは、中国人向け越境ECを例に挙げて解説します。
実は、中国人旅行者が越境ECを使う理由に、インバウンドと密接な関係があります。まずは、下記の表をご覧ください。
◆訪日外国人(中国・米国)の推移
出典:「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」(経済産業省)
こちらの表によると、2014年あたりから中国訪日外客が急激に増えはじめ、2019年には959万人に達していることが分かります。中国人旅行者の「爆買い」は一時社会現象となり、「インバウンド」という言葉は2015年の流行語大賞も受賞しました。しかし、2020年にはたった107万人と、コロナ禍の影響により、かつてないほど落ち込んでおります。
次に下記のデータをご覧ください。
こちらのデータによると、日本を訪れた中国人の約35%が、自国に戻ってからも越境ECによってリピート購入を行います。さらにそれだけではなく、訪日経験者のSNSや口コミによって、商品の評判が中国国内で広がることも珍しくはありません。
◆中国人が越境ECで日本製品を購入するまでの一例
① 中国人が日本を訪れ、日本の商品を購入
② 中国に帰ってからも、越境ECを使って、中国国内から日本製品をリピート購入
③ 日本製品を購入した中国人がSNSや口コミサイトでレビューを投稿
④ 日本製品に親しみの無い中国人もレビューから興味を持ち、越境ECで日本製品を購入
このような流れで日本製品のニーズが広がっており、インバウンドが落ち込み訪日中国人の数が減少すれば、結果的には越境ECにも大きな影響があるのです。従って、越境ECの市場規模は2019年から2020年に伸びてはいるものの、もしコロナ禍の影響がなければもっと伸びていたのではないか?と考えることができます。
越境ECで成功している日本企業の3つの事例
ここからは、越境ECを開始して成功している日本企業例を3つ紹介いたします。
今回紹介する企業はそれぞれ、「美容品」「アニメ・マンガ関連」「中古車」を扱っています。
事例① 中国「独身の日」にて、電子美容機器の販売・売上シェア1位を獲得(ヤーマン)
美容機器ブランドのヤーマンは、2020年に中国の大手EC企業アリババ(ALIBABA):「天猫(Tmall)」が開催するセールイベント「独身の日」で、電子美容機器の販売・売上シェア第1位を獲得しました。2023年の同イベントでも第2位を獲得している大人気ブランドです。
商品単体で見ると、美顔器「フォトプラス プレステージ S」は、推定売上高:4.96億円(2020年)を記録しています。
記事の中では、ヤーマンがここまで売上を伸ばせた要因として、扱う製品がユーザーのニーズにマッチしたこと、また現地代理店と協働し、セールではECサイトとライブ配信を組み合わせた販売形態である「ライブコマース」を配信して製品の機能や技術の詳細な説明を行い、視聴者とのコミュニケーションを通して販売促進を強化できたことなどを挙げています。
中国ではライブコマースが大きな市場となっており、インターネット通販に大きな影響を与えています。こういった現地でポピュラーな販売手法を取り入れることは、越境ECでのマーケティング手法のひとつと言えます。
事例② アフリカ市場への参入で売上が10年で100倍に(ビィ・フォアード)
中古車輸出を行っているビィ・フォアードは、アフリカを中心に自動車を輸出販売しており、2007年の売上高約4億円から2016年6月期決算には、売上高が約100倍の約430億円になりました。2023年6月期決算では、売上高は1,084億3,040万円に拡大し、創業以来初の1,000億円を突破しました。
2016年時点では、アフリカだけでなく、モンゴルやオセアニアなど世界126か国に中古車を輸出するようになりましたが、依然として売上の約6割はアフリカビジネスで占めています。
出典:「ビィ・フォアード『アフリカのアマゾン』目指す(日経ビジネス)」
ビィ・フォアードがアフリカビジネスで成功した理由として、「ビィ・フォアードで買えば必ず届く。しかも安く、早い。信用できる」という口コミがアフリカ中で浸透したためだとされています。
ビィ・フォアードは口コミが広まるように、「輸出する車にビィ・フォアードのスタイリッシュなステッカーをあらかじめ貼っておく」、「ビィ・フォアードのTシャツを無料でお客様に配る」といった工夫を行いました。
さらに、アフリカで普及している日本の「LINE」のようなSNSアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」にて情報を発信を行うことで、口コミが拡散され、「ビィ・フォアード」の名前が知られるようになりました。
越境ECを開始する際に、いきなり異国の地で日本企業の知名度を上げることは難しいですが、地道な取り組みやSNSの活用によって、知名度を上げることは可能です。またビィ・フォアードは、ECサイト上にて、車1台あたり少なくとも30枚以上の写真を掲載することで、車の仕様を丁寧に紹介しています。こういったECサイト上での工夫も、自社の売上を上げることにつながります。
事例③ ポップカルチャー関連商品を世界130カ国以上に販売(Tokyo Otaku Mode)
海外向けに日本のアニメやマンガなどに関連するグッズを販売するTokyo Otaku Mode(トウキョウ・オタク・モード)は、Facebookページにて、2,000万Like!を突破(2018年1月時点)しています。
Tokyo Otaku Modeは、Facebookページを通じて、日本のアニメやマンガなどの最新ニュースやイベントレポート、関連グッズなど、日本のポップカルチャーコンテンツを世界中に紹介しています。
Facebookページの投稿からは、グローバルEコマースサイト「Tokyo Otaku Mode Shop」に送客することができ、「Tokyo Otaku Mode Shop」では、ポップカルチャー関連商品を世界130カ国以上に販売しており販売量も年々増加しています。
越境ECを成功させるためには、自社ECサイトの存在を知ってもらう必要があり、そのためのツールとして、Facebookは最適のツールです。
日本国内でもECサイトへの集客施策として、SNS施策が候補として挙げられますが、Tokyo Otaku Modeは、SNS施策を海外で成功させた事例と言えるでしょう。
参考記事:日本のポップカルチャーを世界に発信するTokyo Otaku Mode、ニッセイ・キャピタルから資金調達を実施(PR TIMES)
越境ECを成功させるための5つのマーケティング手法
ここからは、越境ECを成功させるためのマーケティング手法を5つ紹介いたします。
① コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、広告ではなく、価値のあるコンテンツ(情報)の発信を通じて、見込み顧客の育成から購入までにつなげるマーケティング手法です。
具体的には、SNSやオウンドメディア、ホワイトペーパーなどを用いて、価値のある情報を発信するといったことが挙げられます。先ほど成功事例として挙げた、Tokyo Otaku ModeのFacebookページを通じての情報発信が、主な例です。
コンテンツマーケティングについては、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらも併せてお読みください。
② KOLマーケティング(キーオピニオンリーダーマーケティング)
KOLマーケティングとは、その国内で発信力のあるKOL(キーオピニオンリーダー)を起用して、SNSなどのプラットフォーム上で、自社商品の紹介やサービスの訴求を行うマーケティング手法です。
SNS上で多くのフォロワーを持っているKOLによって情報が発信されることで、顧客に興味を持ってもらいやすく、購買意欲を高める効果が期待できます。KOLとインフルエンサーの違いは専門性の有無です。
例えば、商品やサービスを認知させることが目的であれば、インフルエンサーを起用するのも問題ありませんが、商品やサービスを顧客に強く訴求したい、顧客の購買意欲を高めたいというのであれば、専門性を持つKOLを起用すると良いでしょう。
KOLマーケティングはライブコマースと親和性が高いので、中国で越境ECを行うことを考えている事業者におすすめです。
③ 動画マーケティング
動画マーケティングとは、動画を用いて、自社商品やサービスの魅力を伝えるマーケティング手法です。商品・サービス紹介動画やインタビュー動画が動画マーケティングに当てはまります。
動画といえば、多くの方は「YouTube」を連想するのではないでしょうか?
世界のYouTube月間アクティブユーザー数は約25億人です(2024年2月時点)。日本だけでなく、世界中でYouTubeは視聴されているので、越境ECを行う上では押さえておきたいマーケティング手法です。
動画であれば、SNSやブログなどで情報を発信するよりも、実際にデモを行うなどをして、より具体的に商品やサービスの魅力を伝えられることがメリットです。現在はWi-Fiも普及しており、今後は5Gの環境も整備されていくので、より注目されるマーケティング手法の1つと言えるでしょう。
④ 口コミを活用する
実際に商品やサービスを購入してくれたユーザーに、口コミで知人などに紹介してもらうという手法です。知人からの紹介であればユーザーも信頼しやすく、なおかつ、WEB広告やSNSなどでリーチできないターゲット層へ訴求できることもあるので、集客と購入のどちらにも生かせます。
ビィ・フォワードの事例から見ても、信用の薄い海外の企業側からの訴求よりも、現地の方からの紹介の方が、ユーザー心理には刺さる可能性は高いです。口コミをしてもらうために、ビィ・フォワードのように現地の方に広告塔になってもらったり、よく日本でも活用されている「友達紹介キャンペーン」や「SNSで発信するとポイントをプレゼント」といった施策を行ったりするのも効果的です。
また、ECサイトの商品ページに、レビュー一覧を設けて書き込んでもらうことで、商品やサービスの特徴を第三者視点で訴求できます。
さらに口コミがしっかり書かれていれば、商品やサービスの信用性の向上につながり、顧客の購買意欲を高められる可能性があります。信用性が必要な越境ECにおいては、口コミを活用する手法を上手く活用できれば、最も効果を発揮する手法だと筆者は考えます。
⑤ ユーザーにとって使いやすいサイトデザイン設計(UI・UXの向上)
ユーザーにとって使いやすいサイトデザイン(UI・UXの向上)を考えるというのもマーケティング手法のひとつです。
どんなにECサイトで集客できても、そのECサイトが使いづらければ、売上UPには繋がりません。ユーザーにとって使いにくいサイトになっていないか?ということを考えるのは非常に大切です。ここでは、サイトデザインについて押さえておくべきポイントを3つ紹介いたします。
1:商品を探しやすいか?
→必要以上にデザインに凝りすぎて、サイト構造が分かりにくくなってしまうと本末転倒です。
ユーザーが使いやすいサイト構造にするという点を意識しましょう。また、「関連商品」のようなユーザーニーズに合った商品を表示することも大切です。
2:商品を購入するまでの導線はスムーズか?
→商品購入までのプロセスが分かりにくくなっていないか、自分で確認してみましょう。ユーザーは欲しい商品があっても、どうやって購入すればいいか分からなければ、離脱する恐れがあります。購入ボタンは、分かりやすい位置に設置しましょう。その他には、個人情報などの入力を最低限に抑えるなどといった工夫も必要です。
3:ユーザーに信頼感を与えられているか?
→ユーザーは信頼できないECサイトでは購入するのをためらいます。それが越境ECであれば、なおさら警戒するでしょう。そうならないためにも、商品ページでは商品の詳細写真をたくさん載せる、商品説明を詳しく書く、商品の値段は分かりやすく表示するなどの基本的なポイントをしっかりと押さえておきましょう。
その他、越境ECであれば、決済はどうすればいいのか、商品はどのように届くのかといったことが気になるユーザーも多いので、決済方法や購入後の流れも詳しく記載すると良いでしょう。
上記の内容は越境EC以外でも、すべてのECサイトデザインで押さえておきたいポイントです。
しかし、国によって定番のサイトデザイン(UI・UX)があります。例えば、中国ECサイトでは、サイト上部に検索バーがついているなどです。
このように、それぞれの国によって、定番のサイトデザイン(UI・UX)は異なる可能性があるので、越境ECを行う国のECサイトはどのような感じなのか?というのを確認しておくと、サイトデザインの参考になるかもしれません。
越境ECにおいて各国で導入すべき決済方法
越境ECを行う上で、知っておかなければならないのが、越境ECを行う国の決済使用状況です。
外国からお金を送金してもらい、送金が確認できてから商品を発送するのは現実的ではないので、越境ECを行う国のキャッシュレス決済事情は押さえておきましょう。
ここでは、米国・中国・英国の3つの国でよく使われている決済方法について紹介いたします。
日本の2倍以上もキャッシュレス決済が進んでいる米国
米国のニュース放送局であるCNBCによる2019年の調査では、調査対象者の80%がクレジットカードを利用していたそうです。次によく使われるのがデビットカードで59%、さらにオンライン支払い(PayPal)が44%と続きます。
◆アメリカの各キャッシュレス決済の使用状況
出典:「アメリカのキャッシュレス決済事情とは?(ヒトトキ)」
過去に株式会社野村総合研究所が発表した資料によると、2016年の米国における全決済額に対するキャッシュレスの比率は46.0%でした。同時期の日本は19.8%ですから、米国は日本の2倍以上もキャッシュレス決済が進んでいる国と言えます。
モバイル決済が圧倒的なシェアである中国
中国で代表的な決済は、QRコード決済です。その中でも、Alipay・WeChat Pay・UnionPayの3つが代表的な決済です。
◆中国で利用数の多いモバイル決済
この中でも、Alipayは中国国内でのモバイル決済シェアの50%を占めると言われており、圧倒的なシェアを誇ります。
また、上位3つの決済は、日本法人も契約でき、売上金を日本円で受け取ることができるサービスであるため、越境ECを始めるにあたって欠かすことのできないものです。
キャッシュレス決済比率が世界1位である韓国
キャッシュレス推進協議会が発表した「キャッシュレス・ロードマップ 2023」によると、2016年には韓国のキャッシュレス決済比率が世界で最も高い95.3%となっています。
韓国では、クレジットカード・Tマネーカード・ゼロペイの3つのキャッシュレス決済が多く利用されています。その中でも、クレジットカードが韓国で最も利用されている決済手段であり、日本の財務省によると、個人消費額に占めるクレジットカード決済額の割合が2017年時点で75.4%を占めています。
その他の、Tマネーカード(T-money card)とは、鉄道や地下鉄、バスなどの交通機関の決済で利用されている韓国の交通系ICカードです。また、ゼロペイ(Zero Pay)とは、ソウル市が2018年12月に開始した、QRコードを利用して決済するモバイル決済サービスで、カフェや雑貨店、薬局などで利用できます。
以上から、韓国で越境ECを始める際は、クレジットカード決済の導入は必須と言えるでしょう。
越境ECで考えておくべき3つの配送方法
越境ECを行う上で、「配送方法」についてもしっかり考えておく必要があります。
越境ECでの配送方法については、この記事が非常に分かりやすくまとめているので、ぜひこちらも参考にしてください。
越境ECの配送方法は、大きく分けて3つあります。
① 消費者に直接配送をする
日本国内から消費者(海外)へ向けて直接配送する方法です。
メリット | 日本郵便など民間の国際便を利用すればよいので、初期費用がかからない、現地事業者と契約しないで始められる |
デメリット | 配送費が高くなる、税関手続きを自社で行う必要がある |
②代行会社に依頼して配送してもらう
代行会社と契約して配送してもらうという方法です。
メリット | 代行会社の物流拠点に商品を送付すれば、あとは税関の手続きや梱包作業は対応してもらえる |
デメリット | 直接消費者に配送できない分、配送期間が長くなってしまう |
③対象地域に物流拠点を設置する
対象地域に物流拠点を設置し、現地から消費者に配送する方法です。
メリット | 物流拠点に事前に商品を輸出しておけば、受注後に現地の物流拠点からすぐに消費者に配送できる |
デメリット | 在庫保管のコスト、多額の初期投資が必要 |
以上の3つが越境ECの配送方法ですが、これから越境ECに本腰を入れてやっていきたいという事業者は、「②代行会社に依頼して配送してもらう」のが一番良いでしょう。⽇本郵便やDHLなど、国内外の事業者がすでに代行サービスを行っているので、自社の事業状況に合わせて事業者を選定できるという点もポイントです。
もし、個人で越境ECを始めたい、または海外ですでに多くの顧客を抱えている、というのであれば、他の配送方法も視野に入れてみてください。
越境ECを始めるための3つの販売形態
越境ECを始めるとなると、自社ECサイトを立ち上げて、海外のユーザーをECサイトに送客するといった販売形態を1番に思いつく方が多いのではないでしょうか?
越境ECを始める上では、これから紹介する3つの販売形態を押さえておきましょう。
① 自社ECサイトを立ち上げる
日本国内で自社越境ECサイトを立ち上げる形式です。
日本国内のECベンダーにシステムを構築してもらい、多言語化を対応させることで、実現できます。ASPやパッケージなどのシステムを利用するのであれば、海外対応のタグ付けや多言語対応のサービスを導入する必要があります。
メリット | ECサイトのデザインをある程度自由に決めることができるため、自社ブランドの訴求がしやすく、一度購入してくれたユーザーとの関係を持ちやすい |
デメリット | 集客・マーケティング施策を行わないと、ECサイトに人が集まらない |
②国内モール型サイトへの出品・出店
Amazonや楽天市場のような、日本国内のモール型サイトに出品・出店する形式です。今回の3つの販売形態の中では、最もハードルが低く始められる手法です。
Amazonであれば、「Amazonグローバルセリング」というサービスに登録することで、米国や英国などの地域に向けて出品できるようになります。
また楽天市場では、「海外パートナー旗艦店」という、楽天が日本のブランド・メーカーから商品を買い取り、海外のECサイトに出店して商品を販売するというサービスがあります。
メリット | 本項で挙げた3つの販売形態の中で、最も簡単に始めることができる |
デメリット | 別途手数料がかかる、ECサイトのデザインに制限がある |
③海外モール型サイトへの出品・出店
越境ECを始めたい国のECモールに出品・出店する方法です。
米国であれば「Amazon」や「e-bay」、中国であれば「天猫(Tmall)」や「京東(JD.com)」といった、それぞれの国ごとに違ったモール型サイトがあります。
特に「Amazon」や「天猫(Tmall)」は、すでに出品している日本企業も多く、成功事例で取り上げた、「ヤーマン」は「天猫(Tmall)」の独身の日にて大きな売上を上げています。
メリット | 集客が行いやすく、保税区を利用するため配送時間が短くなる |
デメリット | 別途手数料がかかる、ECサイトのデザインに制限がある |
まとめ
今回は越境ECのマーケティングについて、事例をもとに解説しました。越境EC市場は年々拡大している魅力的な市場ですが、しっかりとしたマーケティング戦略・手法を準備しておかなければ、集客ができずに売上が上がらないといった状況に陥ることもあります。
国内外問わず、自社ECサイトを立ち上げた際は、決済方法の選定や物流方法の整備、集客・マーケティング施策を行う必要が出てきます。これらのことを越境ECで行う場合、自社にノウハウがなければ、かなり大変です。
これから越境ECを始めようと考えているのであれば、国内・海外のモール型サイトに出品・出店して、まずは商品・サービスを売ることに注力することをおすすめします。そこから、事業が軌道に乗った際に、自社ECサイトの立ち上げを検討してみてはいかがでしょうか?
もし自社ECサイトの立ち上げをご検討中の方は、ぜひ弊社のクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」を、他社サービスとともに検討していただければ幸いです。
また弊社では、EC支援サービス「ebisu growth」にて、ECサイトを知り尽くしたコンサルタントが、集客・マーケティング施策を支援するサービスも提供していますので、ぜひ併せてご検討ください。
クラウドコマースプラットフォーム:ebisumart(エビスマート)
ebisu growth「EC戦略PM支援サービス」