送料無料のECサイトが増えつつあり、ユーザーの間にも「送料無料は当たり前」という雰囲気が醸成されつつあります。そのような中で送料無料は事業者にとって負担が大きいですが、検討だけは始めておくべきでしょう。
送料無料を実施するには、以下の5つの方法があります。
方法②期間限定で送料無料を実施する
方法③2商品以上の購入で送料無料を実施する
方法④会員限定で、送料無料を実施する
方法⑤初回の購入者限定で送料無料を実施する
まずは、いずれかをテスト的に導入して、送料無料を実施することでECサイトにどのような影響を与えるかを把握するのが良いでしょう。
本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、送料無料について解説いたします。
Amazonプライムの影響により「送料無料」は広まった!
Amazonプライムには映画や音楽が見放題、会員限定のセールなどさまざまな特典がありますが、最もEC業界に衝撃を与えたのは、以下の2つの点でしょう。
◆Amazonプライムの影響
・送料無料
下記は、アメリカの調査結果ですが、Amazonプライムが消費者に実施したアンケート調査結果がまとめられております。
◆Amazonプライムがユーザーに実施したアンケート調査結果
出典:Digital Commerce 360とBizrate Insightsが実施した「How has being an Amazon Prime member influenced your perception and expectations surrounding online order deliveries? Please select all that apply」の調査結果をもとに日本語表記の表を筆者が作成
つまり、Amazonプライムのサービスが普及した結果、「より早い配送スピード」と「送料無料」を期待するユーザーが増えたのです。これはアメリカの調査結果ですが、日本でもAmazonプライムは普及しています。
Amazonプライムの日本のユーザー数は公開されておりませんが、筆者は500万~800万人程度が加入していると予想します。このためAmazonプライムが日本のEC業界に与える影響はかなり大きいはずです。
その影響により、日本国内のAmazonのライバル企業である楽天市場も、3,980円以上に限り※、送料無料の実施を義務化しました。※一部例外あり
日本国内においては、Amazonと楽天市場が送料無料化を推進しようとしており、他の大手ECサイトにも確実に影響を与えております。例えばニトリも一部商品の送料無料を実現しております。
このような考え方が広まると、自社のECサイトの送料無料を検討せざるを得ませんが、中小規模のEC事業者だけでなく、大手事業者であっても送料の負担は大変なものです。では、次にどのように送料無料を実現していけば良いのか?解説してまいります。
送料無料を限定的に実施する5つの方法
完全に送料無料を実施することは、難しいと思います。ですから、もし送料無料を検討するのでしたら、限定的に送料無料を実施して、どのような影響があるのか見定めて行うべきでしょう。送料無料を限定的に実施する方法として、以下の5つの方法があります。
方法②期間限定で送料無料を実施する
方法③2商品以上の購入で送料無料を実施する
方法④会員限定で、送料無料を実施する
方法⑤初回の購入者限定で送料無料を実施する
それでは一つずつ解説いたします。
方法①商品を限定して送料無料を実施する
商品を限定して送料無料を実施する場合は、以下のような商品に絞るやり方が考えられます。
・人気の商品を送料無料にする
・売れ残り商品を送料無料にする
どの方法であっても、ユーザーに送料についての混乱を起こさせないことを念頭にして施策を実施する必要があります。そのため、送料無料の商品に関しては、太字+赤字で「この商品は送料無料」と強く表示しましょう。
なぜなら、一部の商品を見て、全ての商品が送料無料と勘違いするユーザーもいるはずであり、ユーザーとしっかりコミュニケーションを取るべきだからです。
方法②期間限定で送料無料を実施する
以下のように期間限定で送料無料を実施する方法です。
・毎月○日は送料無料にする
・母の日、父の日などの繁忙期に送料無料にする
この方法は、売上を増やすための施策につながるため、マーケティング施策の要素が強くなります。ユーザーには「今だけ感」を訴求することで、購入率(CVR)を高めることにつながります。
注意点としては、ひっそりと送料無料をアピールしても、ユーザーにはあまり伝わらないので、トップページ、カテゴリページ、商品詳細ページなどの主要ページの全てで「今なら送料無料」であることをしっかりアピールしてください。
方法③2商品以上の購入で送料無料を実施する
商品単価の安いECサイトでおススメの方法です。ユーザーからみても1,000円未満の商品に対して、送料がかかるのは割高に見えてしまいますが、2商品以上で、送料無料にすることで、ユーザーも「それなら、もう一つ何か買ってみようかな?」という心理が働くためです。
この手法はアウトレットのショッピングモールで良く使われる手法です。
ただし、気を付けてほしいのが、購入率が逆に下がる懸念もある点です。例えば1商品をカートインさせたときに、「2商品以上で送料無料!」というバナーを見て「1商品だけでいいし、送料が無料にならないなら、他のサイトで買おう!」と思われる可能性もあるからです。
まずは、テスト的に実施して売上の推移を見てから、本格的に実施を検討してみるべきです。
方法④会員限定で、送料無料を実施する
この方法は、会員登録を促すための方法です。ECサイトの売上を安定させるコツはリピート購入です。そのリピート購入させるための第一歩が会員登録となります。そのために送料無料を訴求していきます。
会員登録を訴求するには、送料無料だけでは訴求としては大きくありません。他にも以下のような訴求と合わせて「会員登録の5つのメリット」というような形で会員登録を訴求すべきでしょう。
◆他のメリットもあわせて会員登録を訴求する例
・会員限定商品
・セール、キャンペーン情報
・返品無料
会員登録をしたユーザーに対して送料無料を実施すると、自社ECサイトの利益に与える影響は大きいので、コストシミュレーションを事前に実施しておいて、コストコントロールをしっかり行いましょう。
方法⑤初回の購入者限定で送料無料を実施する
自社のECサイトを初めて利用してくれるユーザーに対して、購入してもらいやすくするための施策です。「初回購入の成功率を高める」というのは、ECサイトで最も重要な考え方です。なぜなら一度ユーザーが、ECサイトで買い物をして、無事に商品が届けば、次回も購入してくれる可能性が生まれます。そしてそのようなユーザーからリピート購入やファンが生まれるのです。
つまり、ECサイトで売上を上げるための第一歩とは、初回購入から始まるのです。その訴求として送料無料を実施するのです。これも方法④と同じく、他の訴求とあわせて行う方が、効果が高くなります。
◆送料無料とともに初回購入を促す訴求の例
・ゲスト購入が可能
・Amazon Payや楽天ペイが利用可能
初回購入を成功するために、このように何でも訴求してみるべきです。
まとめ
送料無料を検討したくない企業でも、テスト的に実施してみるべきでしょう。なぜなら、あなたのライバル企業や大手企業が送料無料を実施している確率が高いからです。その中で、いつでも送料無料を検討できるようにテスト的に実施しておくべきです。
もし、送料無料を検討する際、プロに相談したい場合は、インターファクトリーでは、EC支援サービス「ebisu growth」にて、EC事業の成功を支援いたしますので、ぜひ他社とあわせてご検討ください。