企業が社内報を作成する3つのメリットについて解説!

企業の広報担当者の中には、「社内報」の発行に携わる方もいるかと思います。

社内報の発行にあたり、「広報担当者になったが、社内報は作るべきだろうか?」と、社内報を発行すべきか考えている人もいるのではないでしょうか?

社内報の発行には会社に以下の3つのメリットがあると筆者は考えます。

・社員が他の部署、チームの社員について知ることができる
・経営陣の考えや企業文化を社員に伝えることができる
・社員の離職率低下につながる

実際、社内報作成を専門として対応する企業があるほど、「社内報の企画をどうすべきか」というような、社内報に関する悩みを解決したいニーズが国内企業には多くあるように感じます。

今回は、インターファクトリーのマーケティング部で広報を担当し、社内報作成の経験がある筆者が、社内報を作成する上でのメリットや、社員が読みたくなるポイントについて解説いたします。

社内報発行の3つのメリット

そもそも社内報は、すべての企業が作成しなければならないというものではありません。企業は売上を上げるためにさまざまな施策を行いますが、社内報は売上の面から考えた際、発行したことで売上に直結するわけではないからです。

むしろ発行にあたり費用も労力もかかってしまいますが、その上でも社内報を発行した方が良い点について3つ解説します。

メリット① 社員について知ることができる

社内報は、会社や社員に焦点を当てて情報を発信をすることができるので、自分の会社にはどのような人が働いているのか、どのような業務内容があるのかを知らせることができます。

特にリモートワークの普及が進んだ昨今では、社員同士のコミュニケーションが希薄になりやすく、実施している社員の53%は「社内コミュニケーションが取りづらい」と感じているそうです。

参考記事:テレワーク中のコミュニケーション方法を徹底解説! 課題や事例、ツールをご紹介NTT東日本

筆者は社内報で社員に焦点を当てた企画を行うことで、社員同士のコミュニケーションが活性化すると考えます。

また、コミュニケーションの活性化だけではなく、社員のモチベーションアップにもつながるように、社員インタビューなどの企画では、個人としてや社員として大事にしていることなど、質問する内容やインタビュー方法にも工夫をしましょう。

メリット② 企業文化を伝えることができる

そもそも、企業文化や理念を社員に伝えることで、会社にどのようなメリットがあるのでしょうか?

企業理念は経営や組織の軸を作り、社会からの信頼を得るために必要なだけではなく、企業の方針を明確にすることで社員の行動指針となり、それが社員の業務効率化を図り、強い組織へとつながるため、企業理念には、「社員の自発的な行動や、企業の向上につながる」というメリットがあるといえます。

下記の記事では、企業理念の浸透に成功した事例が紹介されています。

参考記事:理念浸透に成功した4社事例に学ぶ、理念浸透を実現する4つのポイントONE TEAM Lab

この記事によると、事例のほとんどが、企業理念を社内に浸透させたことで「社員が自らの仕事に誇りを持ち、自発的に行動するようになった」「経営が傾いた時期に企業理念に立ち返り危機を乗り越えた」という内容が記載されています。

経営陣が企業理念をただ設定して満足するのではなく、社員が仕事をする上での糧となるように広めることが重要です。

また、企業理念を伝えることで、社員が日々の仕事を行う中でも企業理念を意識しやすくなると考えます。
社内報に企業理念や経営陣のメッセージが伝えられるような企画を掲載しましょう。

メリット③ 社員の離職率低下につながる

社員の家族に社員個人の業務を理解してもらうことで、社員の離職率低下にもつながります。

なぜなら、社員の家族にとって自分の家族がどのような仕事をしているのかを知ることは、家族の安心感や、社員個人に対する敬意につながるからです。それにより、家族から感謝や称賛されることで社員のモチベーションが保たれ、離職率の低下につながるでしょう。

社内報はできる限り社員の家族にも見てもらいやすいツールを使用し、かつ、社員が自分の家族にも見てもらいたくなるような企画や内容にする工夫をしましょう。

社内報の発行ツールは「紙か?」「Webか?」

社内報の発行には、紙面での発行と、社内のイントラネットやアプリなどのWebでの発行など、さまざまな方法があります。
アプリについては後ほど解説しますが、ここでは、よく使われている紙面とWebでの発行のメリット・デメリットについて解説します。

「社内報の発行を考えているが、どのツールが読まれやすいのか分からず迷っている」という方は、ぜひ参考にしてください。

紙面・Webで発行するメリットとデメリット

メリット デメリット
紙面 ・Webよりも手に取ってじっくりと読むことができる
社員の家族にも読んでもらいやすい
・紙ならではの表現が可能
コストがかかる
落としてしまった場合など、セキュリティを保証しにくい
・過去分の保管が負担になる
Web版 コストがかからない
・情報の検索や、アーカイブの管理が容易
閲覧権限のない社員の家族が好きなときに閲覧できない
・最後まで読んでもらいにくい

参考記事:Web社内報と紙社内報の使い分けとは?社内報の教科書

このように、紙面、Webそれぞれにメリット・デメリットがあるため、発行の際は併用して発行することをおすすめします。

なぜなら、大企業になるほど組織が複雑化するため、紙面、Webのそれぞれの特性を生かした方が、社内の情報共有の効率が良くなるからです。

「社内報白書2020」によると、社内報の発行は、紙面で発行している企業は全体の51.5%ですが、従業員が3,000人以上の企業の場合、紙面のみよりも紙面とWebを併用している企業が44.4%でした。
つまり、全体では紙面のみが過半数ですが、従業員3,000人以上になると、印刷だけより紙面とWebを併用している企業の方が多いことが分かります。

参考記事:『社内報白書2020』発行! 最新状況や注目のツールがまるわかり社内報ナビ

企業規模や方針によって、どのツールで発行を行うのか、どのように発信したいかを考慮し、作成にあたりましょう。

増えてきた「スマホで見る社内報」

先に紹介したWebを活用した社内報の中には、アプリなどスマートフォン対応のものが増えてきています。

これは、近年ペーパレス化が進んだことと、スマートフォンの通信速度が速くなったことで、より速報性・更新容易性に優れたツールを活用した方が良いと考えている企業が多いからです。

先ほどの「社内報白書2020」によると、「次年度以降は、個人のPCで社内報の閲覧が可能になるよう検討したい」と回答した企業が39.0%、それに対し、個人のスマホ・タブレットについては、半数を超える51.2%の企業が、「次年度以降、閲覧を可能にしたい」と回答したデータがあります。

アプリ対応の例として「Solanowa」があります。「Solanowa」は、PCやスマートフォンのアプリ上で社内報を読むことができるWeb社内報サービスです。

ペーパレス化だけではなく、どの程度の人が社内報を読んでいるのか、どの記事が人気なのかといった分析機能や、読んだ内容に関して「いいね」などのリアクション機能があるなど、Webのメリットを生かした機能が多くあります。

社内報をWebで、特に「スマートフォンでも見ることができるようにしたい」とご検討されている広報担当者の方は参考にしてください。

参考:Web社内報のソラノワ

社内報を社外公開することのメリット

社内報を社外に公開する企業もあります。パナソニックグループは2024年3月より、これまで社内に向けて発行してきた社内報を、グループコミュニケーションマガジン「幸せの、チカラに。」としてインターネット上で社外に公開しました。

幸せの、チカラに。
※公式サイトより画像引用

同社は社内報を公開することで、社員の家族はもちろん、顧客や取引先とより積極的なコミュニケーションを展開することを目指すとしています。社内報を社外に公開することには、他にも下記のようなメリットが考えられます。

◆社内報を社外公開するメリット

・企業の透明性の向上
・ブランドイメージの強化
・人材採用の強化
・競合との差別化
・社員のモチベーション向上
・プロモーション効果

このように多くのメリットがありますので、企業のブランド強化のために社内報を広く公開することを検討するのも良いでしょう。

参考:パナソニックグループの「社内報」をインターネット上で社外に公開~ グループコミュニケーションマガジン『幸せの、チカラに。』を発刊パナソニックホールディングス株式会社

社員に読んでもらえる社内報のポイント3つ

発行ツールだけではなく、内容についても工夫することで、社員に読んでもらえる社内報を作成することが可能です。

ここからは、社員が読みたくなる社内報のポイント3つを解説します。

ポイント1.なるべく多くの社員が登場できるような企画を立案する

社内報を企画・作成する際は、可能な限り多くの社員が登場できるようにしましょう。

新規案件に関わった社員の特集や、社内制度を利用した社員の取材記事など、さまざまな観点から社員をピックアップできるよう企画し、多くの社員が登場できるような紙面の作成をおすすめします。

社内報は、役員だけではなく現場の社員にも取材したり、多くの社員を取り上げることで、社内報に掲載された社員と、社内報を読んだ社員同士がコミュニケーションをはかるきっかけになるからです。

ポイント2.分かりやすさに気を付ける

社内報は、ターゲットに伝わるような分かりやすい内容かどうかについて気を付ける必要があります。
社員だけではなく社員の家族や、「これから入社する内定者にも配布したい」と考えている企業は、社内用語や業界用語を多用してしまうと、伝えたいことが非常に伝わりにくいからです。

原稿を作成する際は、「チーム名は略語ではなく正式名称を記載する」「業務紹介を行う場合は、基本的な用語も分かりやすく記載する」など、丁寧に記載することを意識しましょう。

また、文字ばかりの社内報も読みにくいと感じるため、極力文字数は多くしすぎず、所々にイラストや写真の添付をおすすめします。

下記は、筆者が過去に発行した社内報をもとに作成したイメージ図です。
筆者が社内報を作成する際は、A4サイズの見開き1ページに1500字前後でおさまるように作成し、取材する社員の人柄が分かるような写真を多く使用しています。

このように、社員が読みやすいと感じる文字数のボリュームやイラスト・写真の添付をするようにしましょう。

◆イラストを多用した社内報

ポイント3.シリーズものの企画はデザインをテンプレート化する

さまざまな社内報の企画の中で、毎号シリーズ化する企画もあるかもしれません。

その場合は、一度デザインを決めたらテンプレート化し、次号以降は内容を変更させるのみのスタイルにしましょう。
テンプレート化することで、作成時間の削減や、社員にシリーズ企画だと認識してもらいやすくなるからです。

テンプレート化するデザインも、通年使用できるデザインにするなど工夫をして作成にあたりましょう。

まとめ

ここまで、社内報を発行するメリットや作成のポイントについて解説しました。

上記で記載したように、「社内報」とひとくちに言っても、発信する内容や方法はさまざまです。
自社が社内報を作成する目的は何か、社内報を発行することで、社内報を読んだ社員にどうなってほしいか、どう感じてほしいかを考えましょう。

そして、社内報発行後に社員からレビューをもらうなど、社員の反応も取り入れながら作成していきましょう。

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ABOUT US
首藤 沙央里
2019年9月、株式会社インターファクトリーに入社。 マーケティングチームにてオウンドメディア運用を担当し、年間40本以上の記事を掲載。 社内広報、採用広報に加え、EC業界やクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」についての情報発信も行う。