これからECサイトを立ち上げる事業者の中には、会員登録機能についてお悩みの方もいるのではないでしょうか?
実は、基本的にECシステムには最初から会員登録機能が実装されているので、どのECシステムを選択したとしても会員登録機能を使うことができます。さらに実装されている会員ランクなどの機能を使うと様々な施策を行うことができます。
本日はインターファクトリーでマーケティングの部署に所属する筆者が8つのECシステムを紹介するとともに、会員登録機能を活用するための3つのステップを紹介します。
有名な8つのECシステム(ASP)には会員登録機能がある
下記はこれからECサイトを構築する方に使われることが多い、有名なECシステムの比較表です。
◆有名ECシステム(ASP)の会員機能比較表
会員登録機能 | 会員ランク機能 | 初期費用 | 月額費用 | |
MakeShop | ◯ | ◯ | 11,000円(税抜)〜 | 11,000円(税抜)〜 |
futureshop | ◯ | ◯ | 22,000円(税抜)〜 | 24,000円(税抜)〜 |
ショップサーブ | ◯ | ◯ | 15,000円(税抜)〜 | 25,000円(税抜)〜 |
カラーミーショップ | ◯ | ◯ | 3,000円(税抜)〜 | 4,500円(税抜)〜 |
EC-CUBE | ◯ | ◯(有料) | 無料 | 無料 |
Shopify | ◯ | ◯ | 無料 | 3,650円(税抜)〜 |
BASE | ◯ | × | 無料 | 無料〜 |
STORES | ◯ | ◯ | 無料 | 無料〜 |
出典:MakeShop、futureshop、ショップサーブ、カラーミーショップ、EC-CUBE、Shopify、BASE、STORES(2024年7月10日現在)
こちらで紹介しているECシステムは全てASPです。ASPとはApplication Service Providerの略で、簡単に言うとブラウザ上でアプリケーションを利用するようなサービス、またはその提供者のことです。
表にあるような有名ASPには全て会員登録機能があります。しかし、会員ごとにステージを分けられるような会員ランク機能は、有料オプションになっていたり、機能として装備されていなかったりするものもあるので、事前に把握しておく必要があります。
会員ランク機能は必須ではありませんが、ランクごとのマーケティング施策を検討している場合は、最初から会員ランク機能があるECシステムを選ぶ方が良いでしょう。費用対効果を考えて、自社に合ったECシステムを選択してください。
ECサイトの会員登録機能を活用するための3つのステップ
それでは、ECサイトの会員登録機能を活用するための3つのステップを解説いたします。
ステップ① 会員登録に必要な項目を決める
まずは、会員登録画面でユーザーに入力してもらうべき必要項目を整理しましょう。
どの業種でも必須なのは、「名前」「メールアドレス」「住所」「電話番号」です。
その他、商品の特色に合わせて、例えば化粧品であれば「肌の悩み」、アパレルであれば「お気に入りブランド」なども選択してもらえば、商品をおすすめする際に活用することができます。同じく販促の視点から、「誕生日」の登録も有効と言えるでしょう。誕生月クーポンなどの施策が行いやすくなります。
ただ、入力項目が多すぎてしまうと、ユーザーが離脱する要因にもなり得ますので、全てを必須項目にせず任意の入力項目を作るなど、工夫が必要です。
ステップ② 会員を増やす施策を行う
次に、実際に会員登録をしてもらうための施策を行いましょう。
最も簡単なのは、購入の際に会員登録を必須にすることです。商品を購入する段階で会員登録を促すことで、購入顧客を全て会員にすることができます。ただ、会員登録を必須にした場合はユーザーが購入自体を見送ってしまう恐れがあります。会員でなくても購入可能な、ゲスト購入もできるサイトの方が、新規顧客の心理的ハードルを下げることができるでしょう。
そこで筆者がおすすめするのは、新規会員向け施策の実施です。
新規会員登録で、初回購入時に使えるクーポンをプレゼントという形で、新規顧客に会員登録をするメリットを与えるのです。下記は、アパレルECサイトのZOZOTOWN(左)とSHOPLIST(右)のトップページですが、いずれもファーストビューで新規会員登録特典が目に入ってくるようになっています。
◆新規会員登録の特典訴求
ポイントは、初回からすぐに使える特典にすることです。次回以降使える特典では、もう一度利用する確信のない顧客には響かない施策になってしまいます。また初回に使えることで、さらに新規顧客の心理的ハードルを下げることができるので、売上につながります。
ステップ③ 会員登録機能を使ったマーケティング施策を行う
会員を増やすことができたら、会員に対してリピーターになってもらえるような施策を行いましょう。具体的には「メルマガ」「ステップメール」「会員ランクの活用」があります。
メルマガ
メルマガは、売り手側が伝えたい情報を会員へ一斉にメールで案内するものです。例えば新作商品の紹介や、セールの案内などがあります。
会員登録の際に「お気に入りブランド」などの情報を収集した場合は、その内容に沿ったメルマガを配信すると効果的でしょう。
参考記事:「店舗とEC、双方での集客に成功 パーソナライズしたメルマガで成果を挙げるHMVジャパン」(MarkeZine)
ステップメール
ステップメールは、買い手側であるユーザーの行動を起点とし、ストーリーに沿ってメールを送るものです。売り手側から一斉送信していたメルマガとは異なり、一人一人に合わせて配信します。
例えばアパレルECサイトで商品を購入してくれたユーザーに対しては、以下のようなシナリオが考えられます。
◆ステップメールの例
商品が届いた翌日:購入商品を使ったコーディネートを紹介
3日後:同じカテゴリーの人気商品を紹介
7日後:期間限定のクーポンを配信して購入を後押し
参考記事:「AI×MAでデータドリブンマーケティングを加速せよ/アクティブコアが語る、顧客データ活用テクニック」(MarkeZine)
会員ランクの活用
会員ランクとは、会員の購入金額などに応じて「レギュラー」「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」などのランクに分け、商品価格やポイント還元率を変えたり、特別キャンペーンを行ったりするものです。
ユーザー心理としてランクが上がることは楽しみにもなりますし、たくさん購入することでサービスが向上するので満足感も得やすく、自然にお店のファンになってもらうことができます。
なお、定期的に購入を促すために、会員ランクの維持に期間を設けることも有効です。筆者がよく利用するECサイトでは、一定期間購入がない場合、会員ランクが1ランク下がってしまう仕組みになっています。ランクが高いほどポイント還元が良かったので、ランクダウンのリマインドメールが来ると、ECサイトで買い物をしてランクを維持しておりました。
あまりにも短期間に設定するとユーザーの反感を買うことになりかねないので、期間は短くとも3ヵ月〜半年程度に設定しておいたほうが良いでしょう。
「実店舗の会員」と「ECサイトのみの会員」を一元化する
実店舗もあるECサイトの場合、実店舗とECサイトの会員情報を一元化することで、さらに顧客ロイヤリティを高めることができます。
例えばアパレル業界では、少子化の影響で最も服を購入する若年層の人口が減少しているという背景があります。そこで顧客単価を上げるための施策として、店舗やECなど全てのチャネルを連携させる、オムニチャネルの導入に取り組んでいます。
オムニチャネルを導入するメリットは他にも、「人手不足の解消」や「顧客接点の増加」が挙げられます。詳しくは、こちらの記事にまとめられていますので、あわせてご覧ください。
休眠顧客へのアプローチ
メルマガやステップメールの応用として、休眠顧客へのアプローチができます。休眠顧客を効果的に復活させることができれば、新規顧客を獲得するよりもコストがかからないというメリットがあります。
まずは、自社の商品の特徴によって休眠顧客の定義を決めましょう。例えば、「購買回数」「購買金額」などから会員情報を検索し、その中で「過去6か月間購入履歴がない」顧客を休眠顧客とする、などです。
次に休眠顧客になった理由を考え、メールの内容を決めます。過去に購入している商品を調べ、関連する商品をおすすめしたり、新作を紹介したりするメルマガを送りましょう。
施策の後には効果測定も行い、ステップメールなど次の施策につなげることが重要です。
まとめ
本日は以下を解説しました。
・有名ECシステム(ASP)には会員登録機能が実装されている。
・会員ランク機能は有料オプションになっていたり、機能として装備されていなかったりするものもある。
・会員登録機能活用の3つのステップ
- ステップ① 会員登録に必要な項目を決める
- ステップ② 会員を増やす施策を行う
- ステップ③ 会員登録機能を使ったマーケティング施策を行う
ECサイトを構築する際には会員登録機能を活用し、自社のファンを増やす施策を行いましょう。
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