これからオウンドメディアを開設したり、あるいはオウンドメディアにアクセス数が集まってきたタイミングで「KPIをどのように考えるのが良いのか?」と悩まれている方が非常に多い印象です。
筆者はオウンドメディアのコンサルを実施しており、そのような方には、以下の3つをKPIとすべきと伝えております。
◆オウンドメディアの3つのKPI
・CV数(購入、注文、資料請求、セミナー申込数)
・コメント数(ブログ下部のコメント欄の入力数)
PVとCVは、ほとんどの方がKPIとしていると思いますが、コメント数をKPIとしている事業者はほとんどいないのではないしょうか?
質の高い記事が多かったりファンが多いサイトにはコメントが集まります。つまり、コメント数というのはどれだけユーザーに支持されているオウンドメディアなのかというKPIにもなるのです。
この記事では、forUSERS株式会社でマーケティングを実施している筆者が、オウンドメディアのKPIについて詳しく解説します。
オウンドメディアの3つのKPI(アクセス数、CV、コメント数)
それでは、筆者が推奨するオウンドメディアの3つのKPIについて解説します。
※広義の意味では、オウンドメディアはブログメディアに限りませんが、この記事ではブログメディアに絞って解説します。
KPI① アクセス数(PV、セッション、ユーザー数)
まず、オウンドメディアの大きな目的は「集客」です。どんな企業であっても、自社サイトやECサイトへのアクセス数を増やすために実施しており、その集客が成功しているかどうかは、このアクセス数が最重要KPIとなります。
アクセス数を見る場合は、Google Analyticsのような解析ツールで以下の指標を見ます。
◆オウンドメディアのアクセス数
オウンドメディアを適切な手法で運営している場合、上記のように必ず右肩上がりとなります。
なぜなら、オウンドメディアのブログ記事は、企業が書きたいことではなくユーザーが検索するキーワード(ユーザーが知りたいこと)について記事を書くためです。そのような記事を増やしてSEO上位を達成することで、このような右肩上がりのアクセス数推移となるのです。
オウンドメディアの成功の基準ですが、以下で判断すると良いでしょう。
◆オウンドメディアのアクセス数のKPIの評価基準
BtoC事業者 | BtoB事業者 | |
成功するための土台が完成 | 月間1万セッション | 月間3千セッション |
成功している | 月間10万セッション | 月間3万セッション |
大成功している | 月間30万セッション | 月間10万セッション |
では、このようにオウンドメディアのアクセス数が増えるまでには、どのくらいの労力で、どのくらいの期間をかければ良いのでしょうか。
筆者の経験ですと、以下のようになります。
◆オウンドメディアにかかる期間や記事数の目安
期間や記事数 | BtoC事業者 | BtoB事業者 |
半年から1年(15~50記事) | 月間1万セッション | 月間3千セッション |
1年から2年(50~150記事) | 月間10万セッション | 月間3万セッション |
2年から5年(150~300記事) | 月間30万セッション | 月間10万セッション |
もちろん、大手企業などドメインが強い企業であれば、もっと早く効果が出る例もありますし、記事の質によっては、千単位の記事数が必要な場合もあります。
いずれにせよ、オウンドメディアのアクセス数はSEO順位の上昇を待つ期間が発生するため、効果が出るまでの期間は半年から1年くらいが基準となります。
KPI② CV数(購入、注文、資料請求、セミナー申込数)
オウンドメディアの2番目のKPIは「CV数(コンバージョン)」です。企業マーケティングにおいては売上を分解して出てくるのがCVであるため、非常に重要なKPIとなります。
オウンドメディアでCV数を計測するときにCVの総数は把握しやすいのですが、課題となるのが、どのページからどれくらいCVがあったのか、あるいは、どのページがCVに貢献したのかが分かりにくい点です。
オウンドメディアで正確にCVを計測する手段には以下のようなものがあります。
◆オウンドメディアでCVを計測する3つの手法
② ページごとにCVページへの導線を分ける
③ Google AnalyticsやMAツールを使い設定をカスタマイズする
まず①ですが、誰でもできる計測手段である代わりに、ページごとにCVのためのフォームを作らなければならないため、フォームが増えて管理が非常に大変です。この手法を利用する場合は、アクセス数が特に多いページに限定して実施すると手間が省けます。
②については、例えばECサイトのオウンドメディアである場合、以下のように1対1の導線を作ります。
◆個別に導線を設ける
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リンクを貼る(導線を設ける)
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ECサイトの商品ページ(自社のワイヤレスヘッドホンの商品)
このように、オウンドメディアの記事と関連性の高い商品ページに導線を設定し、ECサイトの商品ページのリファラルと注文数の相関関係を見ることで、オウンドメディアからのCV数を個別に計測することが、ある程度可能となるのです。
③に関しては、Google AnalyticsやMAツールなどを個別にカスタマイズすることで、どのページを経由して、どのくらいCVがあったのかを計測できます。この設定を実施するには専門知識が必要となるので、自身で設定が難しい場合は、外部の業者や専門家に依頼する必要があります。
KPI③ コメント数
コメント数は、オウンドメディアのファンの支持率や、ブログ記事の質を図るKPIとなります。熱量が高かったり、専門的な独自の知識を公開するブログには必ずコメントが集まるようになります。以下をご覧ください。
◆筆者の海に関するブログのコメント欄の様子
筆者は、プライベートでは関東の海を専門にしたシュノーケリング愛好家であり、実際に経験したことをブログにしているため、熱狂的なファンも多いブログとなっています。このような専門知識や実際に体験したことを記事にすることで、多くのコメントが集まるようになります。
コメント数が多いブログというのは、通常のKPIでは測りにくい以下のようなことを数値化することができます。
◆コメントで数値化できるKPI
・ファンの熱量
・ユーザーとのエンゲージメント
もちろん、コメントはアクセス数やCV数ほど精緻なKPIとは言えません。しかし、継続して計測することで、以下のようなことに気が付きます。
◆コメントで気が付くこと
コメント数の計測の仕方は、月間などの時間軸ではなく、どの記事にどのくらいコメントが入ったかというように記事ごとに計測します。
◆コメント数の集計方法
B記事:5件
C記事:0件
また、過去記事に対するコメントが新しい記事のコメント欄に書かれる場合もあるので、明らかに他の記事の内容に関するコメントの場合は、コメント数を手集計で修正するべきでしょう。
また、コメント数を増やす方法には以下の3つがあります。
◆コメント数を増やす3つの方法
② 記事中でコメントを促す「○○を知っている方はコメントをください」
③ コメントがあったら、返信する
①に関しては、文中に「筆者は」という言い回しを使うと、読者が「この筆者はどんな人なのか?」と気になるようになり、記事の最下部のプロフィールを発見したり、あるいは筆者に質問をしたくなります。
②はYouTube動画によく使われるテクニックですが、ブログの文中でコメントを促す方法です。そして③はコメントに対して返信することで、それを見た他のユーザーが「この筆者はコメントに返信をくれるんだ!自分もコメントしよう」という状態を作りやすくなるのです。
コメントが増えるとSEOにも有利
以下のURLによると、Google関係者はコメント欄もメインコンテンツと扱われることを明言しております。
◆Googleのジョンミュラー氏によるコメント
最終的には、あなたの考え次第であると思う。我々の視点から話すと、我々はコメントをコンテンツの一部として見ている。多くの場合、それらがコメントであるということは認識できているため、扱い方は変える必要がある。しかし、最終的には、ユーザーがこうしたコメントに基づいてあなたのページを発見した場合、あなたがこうしたコメントを削除してしまうと、そうしたコメントに基づいて我々があなたのページを発見することはできなくなる。
つまり、コメントが増えるということは自動的にSEOを改善するエンジンとなるのです。そのため、コメント数を増やす目的は、ブログの質や熱量、ファンとの距離を計測するKPIですが、SEOを有利にしてアクセス数を増やし、CVにもつながる非常に大切な指標であることが分かります。
まとめ
オウンドメディアの3つのKPIについて解説しましたが、本日紹介したKPIと同じくらい重要なことは、ユーザーを納得させるだけの質の高い記事を、月にどれくらい投稿できるかという点です。
もし、オウンドメディアの立ち上げや記事更新が上手く行かない場合は、株式会社インターファクトリーのEC支援サービス「ebisu growth」の活用をご検討ください。
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