市場規模が回復傾向の小売業界を目指す方が読むべきまとめ

「スーパーやコンビニって業界としてどうなんだろう?」
「小売業界ってどんな感じだ?」

将来の転職や就職活動先として、小売業界に興味を持っている方は小売業界の将来性が気になることでしょう。

1990年からの小売業界の販売額推移は横ばいになっており、コロナ禍には大きく市場規模が落ち込みましたが、2023年現在、国内およびインバウンドともに客足は順調に戻り、市場は回復傾向にあります。

しかし、結論から言えば、日本は少子高齢化に突入するため、業界全体で売上が大きく伸びることはないと予測され、業界の統廃合が進みます。そのため生き残る企業はネットを上手く使う企業や、売ること以外に付加価値を生み出すことができる企業に絞られます。

また、市場規模が回復傾向にあるとは言え、長く続く物価高の影響も大きく、今後の発展を考えると依然として厳しい業界であることも間違いありません。

本日はインターファクトリーでシニアアドバイザーを担当する筆者が、小売業界について詳しく解説いたします。

国内小売販売額推移(1980年~2022年)

下記の国内小売販売額推移のグラフをご覧ください。

小売販売額推移(-2022)

データ引用先:時系列データ|商業動態統計 – (経済産業省

このグラフを見てもわかる通り、1990年代をピークに、以降小売業の販売額推移は横ばいでしたが、2016年頃から再び上昇しております。これには下記2つの理由があります。

① インバウンド需要
② 2016年より、この統計に「無店舗小売(EC・ネットショップ)」が追加

このため、小売業界の販売額推移を見ると伸びているように見えますが、2016年以降はインバウンドとネットショップの影響があります。

そして、2020年のコロナ禍においては、外出自粛や休業要請により、卸売り事業者や店舗型の小売事業者は販売額を相当落としましたが、一方でECが奮闘し、全体的な販売額はわずかながらもプラスに推移しました。

百貨店とスーパーの年間販売額の商品別内訳(2016年 vs 2022年)

総務省が公開しているデータに「百貨店」と「スーパー」の年間販売額の内訳をまとめているデータがあったので、2016年と6年後のデータとして2022年を比較して見てみましょう。(コンビニや専門量販店は含まれておりません)

2022年のデータ引用:2022年小売業販売を振り返る
2016年のデータ引用:平成27年小売業販売を振り返る – 経済産業省

百貨店の年間販売額は6年間で1.3兆円の減少

◆百貨店販売額の商品別内訳の比較

百貨店販売額の比較

百貨店の2016年度(平成27年)と2022年度(令和4年)の内訳を比較すると、6年間で約1.3兆円も販売額が減少しています。その中でも「婦人・子供服・洋品」の落ち込みは激しく約5,000億円も販売額が下がっています。

コロナ禍の外出自粛による店舗の長期休業の影響もあると考えられますが、昨今の消費者の指向として、ユニクロや、H&M等のファストファッションブランドが定番となり、服にお金を使う意識が若い人を中心に弱くなってきていることが原因と考えられます。また、OLが過去10年で私服で仕事ができるようになってきたため、私服は仕事着にも使える地味目の服を選ぶ嗜好が強くなり、そのためファッションブランドの服が敬遠される結果を招いたことも要因にありそうです。(下記の記事を参考にしました)

参考リンク:ファッション氷河期

百貨店全体で言えば、1980年以降に「ビックカメラ」や「ユニクロ」、「紳士服の青山」など、全てのカテゴリーにおいて専門店が続々誕生してきており、品揃えや価格、あるいは立地においては太刀打ちすることができないため、年々販売額が減少する結果になっているのです。

百貨店業界全体としては、今後は店舗販売だけではなく、ECサイトなどオンラインにも販売の主軸を置いて百貨店ならではの価値を再構築することが重要になってくるでしょう。

スーパーの年間販売額はコロナ禍の影響により2兆円増!

◆スーパー販売額の商品別内訳の比較

スーパー販売額の比較

2016年と2022年のスーパーの年間販売額を比べると、約2兆円の伸長が見られます。内訳を見ると「飲食料品」が約2.7兆円も拡大しており、コロナ禍において外食から家で食事を食べる方が一時的に増加したのではないか?と筆者は考えます。

しかし、2023年の統計は、円安による輸入コストの上昇から物価高が続いているため、スーパーの販売額も大きく影響を受けるのではないかと考えます。

【ベスト10社】小売市場の売上企業ランキング!(2021-2022年)

データ引用:小売業界の現状、動向、ランキングなど-業界動向サーチ

順位 企業名 売上高
1 セブン&アイ・HD 87,497
2 イオン 87,159
3 ファーストリテイリング 21,329
4 パン・パシフィック・インターナショナルHD 18,312
5 ヤマダHD 16,193
6 ウエルシアHD 10,259
7 ツルハHD 9,157
8 ビックカメラ 8,340
9 ニトリHD 8,115
10 ライフコーポレーション 7,683

前年度ランキングでは、三越伊勢丹HDやケーズHDがランクインしておりましたが、今回のランキングではランク外となり、ニトリHDやライフコーポレーションがランクインしました。家具・インテリアのニトリとスーパーのライフは、コロナ禍の影響により需要を高めたものと考えられます。

1位のセブン&アイホールディングスは、2023年2月期決算の連結売上高が前期比35%増の11兆8,113億円で、国内の小売業で初めて10兆円を超えました。また、営業利益、純利益も過去最高を更新しました。

2021年にアメリカのコンビニエンスストア「スピードウェイ」を買収したことで、北米の店舗数が大きく拡大したことで海外事業が好調となり、大きな伸長につながったと見られます。

参考リンク:米7-イレブンのスピードウェイ買収、米当局が承認

2位はイオンです。売上高9兆円を超える巨大企業にも課題はあります。利益率のほとんどは金融などの非小売業が占めており、全体の売上高の大部分を占める小売事業の利益率が極めて低いことです。

商品の原価率においては、イオンのような巨大グループには「規模の経済性」が働くため、原価率を下げることができるのですが、業態が多様化したために規模の経済性が働きづらくなってしまい、利益率の悪化につながっているのです。(下記リンク先を参考にしました)

参考リンク:あなたが「イオングループCEO」ならばどうするか?

不調な百貨店に対して好調なのは4位のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスで、つまりドン・キホーテや子会社にもつグループ会社ですです。ユニーと共同で「MEGAドン・キホーテUNY」を出店するなど攻勢が進んでおります。

小売業界の将来性や課題

日本は今後、少子高齢化社会に突入し、国内需要はどんどん下がります。しかし、一方でインターネットで買い物をする人は、増えていきますから、利便性の高いネットスーパーなど、顧客視点での業態変更が求められます。

また単に、モノを売るだけではなく、ドン・キホーテのように、「ショッピングの楽しさ」という付加価値をつける企業が、顧客から支持され生き残っていくでしょう。今後20年で、小売業界は大きく統廃合を繰り広げていく厳しい業界の一つです。

小売業界の平均年収は約500万円

小売業界の平均年収は他の業界と比べると安めであり約500万円です。小売りの中でも、有名企業は600万円を超えてきますが、業界全体では年収が300~400万円代の会社が多く、店舗で働く社員は人件費というコストで見られる傾向があるため、どうしても給与が低く抑えられがちです。

小売業界でキャリアアップをしていくには、本社勤務になるか、エリアマネージャーになっていくかのどちらかが求められます。

小売業界に他業界から転職は可能か?

小売業界への転職は、常に人手不足の業界であるためか、年齢や経験に関わらず難しくはありません。しかし、すでに説明したように、給与の安い業界であり、業務時間も長く、そもそも他業界からモチベーションを高く転職する人は多くはありません。

他業界から転職する場合は、将来の事業の独立を視野にいれたりする人が多いでしょう。

小売業界に向いている人は?

単に言われたことだけをこなすのではなく、数字や顧客視点を意識し、経営者視点を持つことが大切です。まかされた商品棚も、自分の事業としてとらえて売上を伸ばしていく人こそ向いています。

また、将来、自分で小売事業を行いたい場合も、その修行先として小売業界はうってつけです。

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